「危険な窓の修理も フランス流?!」
先週ね、ボクのうちで事件が起こったよ。 なんと、キッチンの大きな窓ガラスが 割れたんだ!
ボクたちのパリのアパルトマン、 小さな小さな住まいなんだけど、 10階建ての建物で、最上階。 周りには遮るものがなくて、 バルコニーがある部屋側の大きな窓と、 お隣のバスルームにある大きな窓と、 そしてちょうどその窓と反対側に位置する キッチンの窓とで、 ちょっと良すぎるほど風通しがよくてね。
▲我が家の部屋にあるバルコニー側の窓。 この部屋の並びのバスルームにも大きな窓が。
反対側に位置する窓を両方同時に開けると けっこうな風が通り抜け、 普段は気持ち良いのですが、 ちょっと風の強い日だと大変なことに。
風の影響でバタン! と窓が閉まることもしょっちゅうなので、 常に布やゴムを挟んで気をつけているのですが、 ついに先週のバタン! で 窓がズタズタのひび割れに‥‥。
人的被害はなかったので、 とにかくそれが何よりだったのですが、 もう震えながら、崩れないようにテープで貼って、 フィルムでグルグル巻きにして、 風の強い夜を過ごしたのでした‥‥。
▲窓の上の方だけが開くようにしているこの窓。 風の強い夕方、バタンとしまりついにこんなことに!
こういう時はすぐに大家さんに連絡。 大家さんが修繕してくれるかどうかとか、 借りている人が どうにかしなくちゃいけないのかとか、 賃貸物件では揉めることも多いのだけど、 幸いもう10年以上のおつきあいになる ボクたちの大家さんはとても良いひと。
「そんな可哀想なことになって大変だったわね。 お金は払ってあげるから、すぐに窓ガラス屋の 見積もりを取って直してもらいなさい。 見積もり額に そこまで大きな額の違いはないだろうから、 早く対応してもらえるところに決めなさい。」
と言ってくれてね、2日後には無事に 新しい窓ガラスがはめられたよ。
▲キッチン側の窓。 この窓と部屋やバスルームの窓を同時に開けると 風通しがよすぎてバタンと閉まることが。
親切な大家さんのおかげもあり、 結局いちばん信頼できそうな会社に お願いしたのですが‥‥、 やっぱり工事内容はおフランスだった〜!!
ガラスを外すために、 枠についている粘土みたいのを ガンガン叩いて削っていくのですが、 思いっきり外(下はアパルトマンの中庭)に 全部飛び散ってるのに何にも気にしないし、 新しくはめた窓ガラスの切り方は雑だし (若干失敗してるし傷ついてる‥‥)、 切り取った余計な部分のガラスを 細かく割ってバケツにどんどん投げ入れるから、 キッチン中にガラスの破片が飛び散るし。
ガラスをフィックスさせるパテの塗り方も そぎ方も雑すぎて 小学生の工作みたいになってるし、 仕上げに塗り込む透明パテみたいのは 4辺のうち3辺しかやってないし、 ベッタベタの指紋と取り切れていないパテを 窓中に残したまま終了だし。
さいごには、 「危ないから、掃除機しといてね〜。」 って帰っていくし‥‥。 もう「苦笑」しか出てこない‥‥。
▲ガラスと窓枠をくっつけている部分をガンガン叩いて削っていく。 窓は外さずやるので、上下や左側を削るときの破片は外に飛んでいく‥‥ が気にしない‥‥。
▲新しくはめたガラスを測って切るのかと思ったら、 適当に定規も当てずにピーっと傷をつけてカット。 適当すぎて曲がってるから切りすぎて隙間が多すぎたところにはパテをねじ込む。 テキトーすぎる!
▲2人組でやってきた子分の方のパテの塗り方。まあまあきれい。
▲2人組でやってきた親分の方のパテの塗り方。 テキトーすぎるやろ。おいっ! って塗り方‥‥。
修理前の電話対応もとても良かったし、 工事に来てくれたお兄さんたちは 良い人だったし、 約束の時間ぴったりにやってきたし、 フランスにしては上出来だったのだけど‥‥笑。
「日本じゃこの仕事の仕方はありえねーな。 俺の方がよっぽどきれいに仕上げるわ。」 って、ボクのパパ、ご主人様が嘆いてたよ。
もう全部が全部こんな感じだから、 誰もこの工事や仕上がりに 疑問を持たないのかもしれないけれど‥‥。 日本のパーフェクトな職人の仕事ってのを 見せてあげたい‥‥。 きっとみんなびっくりするはず。
とりあえず、 出来上がりの美しさはさておき、 安心して暮らせれば良いのかね。 って、ボクたちも おフランス流で考えるように?!
▲とりあえず安心して暮らせるようになってほっと一息‥‥。
※この連載を再編集し、 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)
2021-05-11-TUE