バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「パリの病院は
 アパートの一室で、
 お宅訪問気分?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「パリの病院は
 アパートの一室で、
 お宅訪問気分?!」

バブー

フランスと日本。
両方で病院に通っていると
病院システムの違いにびっくり!

どちらが便利か便利じゃないか、
いいか悪いかは
それぞれ両方の側面があるので
いまだにわからないけれど‥‥。
全然違うんだよね。

とのまりこ

今回の日本滞在でも
何度か病院に行きました。
フランスでも行けるものの
やっぱり医療用語となると
難しいフランス語が
さらにチンプンカンプンになり、不安も増大。

そんなわけで、私はいまだに
フランスで病院に行くのは
毎回けっこうドキドキで。
できる限り日本に帰っている間に
病院用事を済ませてしまいたくなるのです。

まず大きく違うのは、
フランスで病院に通うには
予約が必須ということ。
これは以前も「パリこれ!」で
フランスでは何もかもに予約が必要という
記事を書きましたが、
病院にもまさにその法則があてはまります。

眼科も整形外科も婦人科も内科も。
なにもかもが予約制。
人気のあるお医者さんだったりすると、
1ヶ月以上先まで予約がいっぱいで
「え〜っ。。。」と
いうことになることなんか、
しょっちゅうです。

(ちなみに、救急で運ばれる場合や、
 一部私立の医療機関などには
 例外もあります。今日のお話も
 「一般的には」というお話です)

バブー
一方日本は、完全予約制のところもあるけど、
ほとんどの病院が予約なしで
思い立った時に行けるよね?!
ボクが日本で通っている獣医さんは
つい最近「予約制」に変わっていたけれど、
歯医者とかごくごく一部の医療機関以外は
ほとんど全部予約なし。

その代わり、長〜い時間待合室で
待つことになったりするんだよね。

とのまりこ
私も今回、診察券を出してから
2時間も3時間も待って疲れ果て、
「完全予約制」で行きたい時に
すぐ行けなくて困るのと、
「予約なし」の代わりに
ぐったりするまで待たされるのと。
どっちがいいもんかな〜。
なんて色々考えながら待合室で
悶々としていたのでした。

ちなみに、
「完全予約制」のおフランスでは
待ち時間はあまりありません。
予約している人しかこないので
待合室も混み合って
ぎゅーぎゅーなんてこともないし。
ずいぶん違いますよね‥‥。

バブー
日本って、例えば11時半までが
午前中の診療時間受付だったとしても、
そのあと長い間待ったりするじゃない?

午後の診療時間受付開始までもうすぐ、
なんて時間まで待つことも。

ってことはつまり、
先生たちはほとんどお昼休みを取れずに
午後の診療を開始ってことも
多いってことだよね‥‥。

「休み・バカンス」命のおフランス。
そんなことは絶対にありえない。
お昼休みは2時間取るのが当たり前。

ってわけで、先生たちのお昼休みや
就業時間終了を確実に確保するためにも
「予約制」なのかな、
なんて考えちゃったよボク。

とのまりこ
さて、日本とフランスの病院システムの違い。
「予約制度」よりもさらにさらに違うことは。
病院自体も完全分業制ということ。

例えば、お医者さんの診察を受けて、
尿検査や血液検査や
エコーやレントゲンが必要になったら、
その指示書をもらって、
専門検査機関に検査に行く。
(だから町のあちこちに
 検査機関「ラボ」があります。)

薬も処方箋が出たら、どこか町の薬局へ。
日本みたいに病院の中、もしくは同じ敷地内に
「処方箋受付」の薬局が併設されていたりは
しないんですよ〜。

これも最初は驚きの面倒くささでした。
正直‥‥。

バブー
ちなみにね、フランスでは
内科医、眼科、婦人科などなど
病院は普通のアパルトマンや
オフィスビルの一室に入っているんだよ。
(「病院」という建物じゃないんだ!)


▲街中の普通のアパートの入り口。
 扉の横にある金色のプレートのようなものが
 この建物に入っている医者や弁護士や会計事務所などの名前。


▲こんな感じでドクターの名前、専門の科や
 電話番号などが記されている。

通りに面しているアパルトマンの入り口などに、
「内科医の◯◯先生」
「婦人科の◯◯先生」
など、プレートが貼ってあるんだけど、
観察してみると、かなり多くのアパルトマンに
何かしらの先生が入っているのがわかるんだ。


▲普通のアパートの一室が待合室や診療所


▲これがなんと病院の入口。ドアに貼られている名前プレートがなければ
 一般の住人の部屋との区別はつかない。

アパルトマンの一室だから、
待合室や診療室も、病院というよりは
誰かのオフィスを訪ねてきた感じ。

白を基調とした「病院」っぽい内装は
ほとんどなくて、そこの先生のセンスが出る、
おしゃれな部屋も多いんだ。


▲とある病院の待合室。
 オフィスに打ち合わせに来た気分になるくらい病院感はない。

同じ病院内に、何人か先生がいる時も
先生の部屋によって全然雰囲気が違ったり。
「お宅訪問」みたいでちょっとおもしろい。
フランスの病院ならではの
楽しみだったりするんだよ!

 


※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!

 

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バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

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東京都杉並区西荻北4丁目5−24
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2016-11-15-TUE


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illustration:Jérôme Cointre