OK! Yeah! ─── 『風が吹けば、桶屋が儲かる』
No.0
風が吹けば、
うなぎ屋の匂いが街中にひろがる
いい匂いにつられて、みんなご飯がはずむ
食がはずむと、米が足りなくなる
コメ不足に農林大臣が緊急発言「国民はイモを食べるように」
イモ食になると四六時中オナラが出る
で、町の会話「このごろ空気が臭くなってきたわね」
大気のへイ害に環境庁長官緊急発言
「早急に排出ガスを規制したい」
さあ環境庁が忙しくなるから、自然保護まで手が廻らない
監視の目が甘くなると乱開発する奴が増える
彼らは切った木材をどんどん安値で、おろす
そこで、
桶屋がもうかる   土屋耕一(コピーライター)
 
 
風が吹けば、
電線が唸る
電線が唸ると、気になって眠れない
眠れないから、起きて探偵小説を読む
探偵小説を読むと、殺人をやってみたくなる
殺人をすると、逃げねばならぬ
逃げるために、足を鍛えておく
足を鍛えるために、マラソンをする
マラソンをすると、のどがかわく
のどが渇けば、水を飲む
みんなが水を飲むと、水不足になる
水不足だと、水洗トイレが使えない
水洗トイレが減るとまた汲取式トイレがふえる
汲取をするには、肥桶が必要だ
肥桶の注文が殺到して、
桶屋がもうかる   和田誠(イラストレーター・エッセイスト・映画監督)
 
※この2つの文章は、
 『土屋耕一ことばの遊び場。』にも収録されています。
2013-05-01-WED
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illustration:Toshiyuki Fukuda (c) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN