梅 | 今日は、わざわざ取材に来てもらって ありがとうございます。忙しいのに。 |
── | いえいえ、それはこっちのセリフです。 |
梅 | はい、どうぞ。 |
── | このチョコパイは‥‥もてなしですか?(笑) |
梅 | うん、忙しいのに わざわざ来てもらったっていうのでね。 |
── | お気づかい、ありがとうございます。 梅佳代さん、こう言ったらなんですが お会いしないうちに ずいぶん大人になったような気が。 |
梅 | すっかりオトナよ。韓流ドラマみてるし! |
── | 韓流いきましたか。 |
梅 | ついにハマったわよ。おばさん化の証よ。 |
── | でも、いつぶりなんですかね、 こうやって、梅佳代さんとお話するのは。 |
梅 | 2年ぶりくらいです。 |
── | ほんとですか。 |
梅 | じゃ3年ぶり。 |
── | どっちですか(笑)。 前回はたしか「芋煮会」でお会いしたはず。 |
梅 | あれって、いつの話? |
── | たぶん、2010年くらいです。 |
梅 | 冬なのに 銀杏ボーイズの人が真っ裸になってた日だ。 たのしかったね。 |
── | でも、思えば「ほぼ日」と梅佳代さんとの お付き合いは 衝撃のデビュー作『うめめ』より前なんですよね。 |
梅 | そうそう。そうとう昔よ。 |
── | こういってはなんなんですけど、 そのときの梅佳代さん、 まだまだ、ぜんぜんブレイク前なんですよ。 |
梅 | ほんとほんと。 |
── | 2006年に「+LOVET」というTシャツの イメージフォトを撮っていただいて。 |
梅 | まだ浅草の洋品店でバイトしてたころやわ。 |
── | ただ、その後はトントン拍子で おたがいの「おかしな写真」のことについて 天久聖一さんと対談していただいたり、 「男子」ということについて ホストクラブで零士さんと対談していただいたり、 「報道系である」ということについて スチャダラパーのアニさんと対談していただいたり、 糸井重里と対談していただいて 勝手にノーベル賞を授与されたりしていただいて。 |
梅 | わー、いろいろ、あったねぇ。 零士さんとか、 私のこと1ミリも覚えてないと思うけど。 |
── | そんなことないでしょう(笑)。 |
梅 | ほんと、いい人だったよね。 「梅佳代ちゃんって、こんな人だよね」とか いろいろ言ってくれて、 聞いてると「そうかもしれん!」ってなって。 「結局、すべては零士のお見通し」って 思えてくるのがヤバかった。 |
── | そうやって初期にたくさん出ていただいたので 「ほぼ日」が 「梅佳代さんの窓口」だと思われていた時期も あったんですよ。 |
梅 | そうっ! 私もメッチャ「ホームページ見てますぅ」って 言われた時期があって そのたびに 「ホームページ持ってないけど」って言うと 「えっ?」とかなるんや。 よく聞いてみたら「ほぼ日」の話なん、ぜんぶ。 |
── | インターネットの検索で 上のほうにヒットした「ほぼ日」あてに お仕事の依頼メールが来たりとか。 |
梅 | お世話になりました(ペコリとする)。 |
── | ぜんぜん大丈夫です。 でもじつは、もっと前の思い出があって。 |
梅 | ああ、あの、 『smart(スマート)』のときでしょ? |
── | はい。 個人的なことで恐縮ですが 僕、7年くらい前まで 宝島社の『smart』というファッション誌の 編集部にいまして、 梅佳代さんを知ったのは、そのときでした。 |
梅 | オータさんのね。 |
── | そう、僕の先輩の編集者の「オータさん」が 「おもしろい子がいるんだよ!」って おっしゃっていて、 それが、まだ20代前半の梅佳代さんでした。 オータさんというのは 今や『smart』編集長の太田智之さんですが。 |
梅 | そう、オータさんが 「おもしろい!」って言ってくれて、 まわりに声かけてくれて、 ラーメンズの片桐仁とか わたしの好きな人にいろいろ会わせてくれて、 『smart』で いろいろ撮らせてくれたんだった。 |
── | はい。 |
梅 | 「ぜったい、くるりの岸田(繁)さんにも 見せたほうがいいよ!」 って言ってくれたのも、たしかオータさん。 |
── | 当時、梅佳代さんに撮ってもらったという 「みうらじゅんさんの写真」を 太田さんに見せてもらったことがあって、 それが、 新米編集者的には、ものすごい衝撃でした。 ‥‥覚えてます? どんな写真か。 |
梅 | 覚えてる。あれはヤバかった。 |
── | 梅佳代さんに撮っていただいたのは 「smart VIP ROOM」という ロングインタビュー連載のトビラの写真で、 いつもなら その回のゲストの「バストアップ写真」を 「裁ち落とし」で使うんです。 |
梅 | はあ。 |
── | 「裁ち落とし」というのは 「ページいっぱいに写真を使うこと」で、 イメージ的には 『AERA』の表紙みたいな。 |
梅 | はああ。 |
── | でも、あのときの梅佳代さんは みうらさんに 大きなビルの何階かのベランダから ひょこっと顔を出してもらって、 それを、地上から撮ってるんです。 |
梅 | すごい若さね、その攻めのところ。 |
── | つまり、全体としては完全に「ビルの写真」で みうらさんのお顔なんて ほんの「豆粒」くらいにしか写ってないんです。 その写真に 「ゲスト みうらじゅん」って 大きく書かれていて‥‥。 |
梅 | あははっ、攻めすぎじゃない? |
── | 衝撃的でした。 |
梅 | オータさん、わたしのこと忘れたかな。 |
── | いや、忘れてないでしょう絶対(笑)。 |
梅 | あのときは、若かったねぇ。 |
── | そうですね。 たぶん、もう10年以上前の話ですから。 |
梅 | 若かった、若かった。10年前は。 今日のテーマは「オ・ト・ナ」やけれども。 |
── | あ、そうなんですか(笑)。 |
梅 | そう。韓流ドラマにもハマってしまったし、 もう、32歳になったしね。 |
── | 承知しました。 では、なんとなくそのような感じで。 |
梅 | だって、そろそろいいでしょ? 今日のテーマは「オ・ト・ナ」です、 とか言ったって、いいでしょ? |
<つづきます> |
梅佳代『ウメップ』より。
2013-07-11-THU |