2匹のねこがやってきて、去ってった。〜牛と海苔の思い出〜あれは4月のことだった。我が家に2匹のねこがやってきた。誰に飼われているのか、名前も、性別も、年齢もわからない。わかっていることは、同じ家で飼われていたっぽいということだけ。5か月間の共同生活の記録を、「文と写真:ゆーないと」でお届けします。
第17回

ねこを飼うということは、たのしいだけではなくて、
もちろん、たいへんなこともある。
それが、いきものを飼うということ。

ある日、
海苔が、水槽用のやわらかいチューブを
棚から引っ張りだしてきて、
目を離したすきに、かじっていた。
かじってるだけかと思ったら、なんと、食べていた。
すると、血便をして、元気もなくなった。

病院へ行って、レントゲンを撮ると、
体内にあるチューブが、しっかり写った。
大事をとって、一晩入院することになった。

次の日、迎えに行ったときには、
「これが、便から出てきました」
と、噛み切った何本もの短いチューブと、
洋服についていたであろう、細いリボンを渡された。
リボンも、いつのまにか食べていたらしい。

どうしてそんなものを食べてしまうのか。

自分の家の子ではないし、
飼い主さんもまだ見つかっていない状態で、
もしものことがあっては‥‥。
それはそれは、気が気じゃなかった。
帰ってきてからも、
長いチューブをたくさん出して、
なんとか、一件落着ということも、あった。

いきものを飼うということは、いろいろなことが起こる。
病院では、
「こんな子は初めてです」
と、おほめのことばをちょうだいした。
わたしは、すこし、てれた。

元気でいてくれることが、なによりの
仮親孝行なんだよ。たのむよ。


しかし海苔は、ピントが合いづらい。


(つづく)

2011-10-07-FRI
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