「男子と女子、両方にぴったりの、
理想の白いシャツは、ないのかもしれない!」
そう、このコンテンツをお読みのみなさんも、
「ほぼ日」が白いシャツをつくるのだとしたら、
男性も女性も同じように着られる、
“究極のふつう”的なものを
想像なさっていたのではないかと思います。
ぼくら白いシャツチームも、
「ほぼ日」としてひとつの答えを見つけよう、
それはユニセックス的なものなんじゃないかな、
ということをめざしておりました。
なんなら、あたらしい白いシャツを
つくっちゃおうか! というくらいの勢いで。
ですから、伊勢丹新宿店に
「まずは自分の白いシャツを買ってみよう」
と、選びに行くにあたっても、
男子・女子混交チームでいっせいに、
それぞれがお気に入りの一着を見つけ、
「よかった、よかった」となるという、
そんな青写真を描いていたのです。
けれども。
じっさいに伊勢丹に行ってみて、
男性と女性の「買い物に対する楽しみ方のちがい」、
そして「白いシャツについての考え方のちがい」を
まざまざと思い知ることになるのでした。
なにしろ男は時間が早い。
女性は、たっぷりなのです。
伊勢丹新宿店というのは、
ご存知のかたも多いと思いますが、
「売上げ日本一」という百貨店です。
規模も大きいし、質も高い。お客さんの目も肥えています。
ここにある商品はいろいろな意味で「ほんもの」であると、
ぼくは何度かの伊勢丹の取材を通じて感じてきました。
そしてここに勤務するバイヤーさんや、
スタイリストさん(伊勢丹では店頭に立つ
店員さんをそう呼びます)たちというのは、
その「日本一」にふさわしい知識と経験を持つ、
すご腕ぞろいだということも。
今回、買い物を体験してみてわかったのは、
バイヤーさん、スタイリストさんの性別にかかわらず、
お客さんに「すすめる」「提案する」アプローチに
二通りあるようだな、ということ。
おもに男性には「いきなり結論」を提案します。
男性(お店)×男性(お客さん)だと、
それがかなり顕著です。
「いまはこういうスタイルが主流ですね。
お客さまはこうですから、
ずばり、これがおすすめです」
というような感じです。かなりはっきりしている。
選ぶときは「買うか、やめるか」の二択になるので
あんまり時間はかかりません。
かかるとしたら、最初のスペックを丁寧に聞くとき。
いっぽう女性には「目利きの選択肢」を提案します。
女性×女性だと、やっぱりそれが顕著。
「お客さま、こういうコーディネートがお好きそうですから
こういった印象のものはいかがでしょう。
そのバリエーションでこういったものもありますよ。
あるいは、こちらもおすすめです」
と、複数を提案。
お客さんは、それをすべて試着して、
いっしょに、すごく楽しく迷うんですね。
ここでは「買うのをやめる」という選択肢は少なくて、
「だったら‥‥こういうのはないかしら」的に
バリエーションが増えていく傾向にあるみたい。
もちろん、性別によらず、
買い物のスタイルは人ぞれぞれですから、
一概には言えないのですが、ぼくの観察からして、
その傾向が強いな、ということです。
なんて話をしておりましたら、
弊社男子たち(妻あるいはパートナーあり)が
「そうなんだよ、彼女の買い物に付き合うと、
時間がかかってしまうんだ。
さっさと決めればいいのに」と愚痴をいいます。
ちがうよねえ、あれは楽しんでいるんだよねえ。
迷う時間も含めて買い物だよね。
いっぽう女子(夫あるいはパートナーあり)は
「男の人って、試着してよかったらすぐに
『これください』じゃない?
あれって、考えナシに見えるんだけど!」とも。
そうじゃないんだ、ちゃんと考えているんだ。
そして「これでいいのだ」ってちゃんと思うんだよ。
さて、男子編です。
じつはこの日、廣瀬(50代痩せ型)、
武井(40代後半小太り)、
西本(40代前半ランナー体型)、
田路(20代後半長身痩せ型)の
年齢も体型もことなる4人が、
伊勢丹新宿店のメンズ館に集合しました。
そう、ここには、紳士ものだけを集めた別棟があります。
いまではそんなに珍しくないのですが、
伊勢丹がその前身となる「男の新館」をつくったのは
昭和43年のことだといいますから、すごく早い。
当時から「男性と女性の買い物スタイルのちがい」を
わかっていたのかもしれないなあ。
4人は、それぞれ「お気に入りの白いシャツ」を
着ておりました。これから白いシャツを買うのに、
すでに白いシャツを着ているというのは、
「過剰に力が入っている」感じもしますが、
意地悪に言えば「どれくらい変わるもんかなあ?」、
期待を込めて言えば「こんなに変わった!」と、
そういう実感がほしかったのです。
当日つきあってくださったバイヤーの佐藤巧さんは
オシャレで、とてもやさしいかたなので
「みなさん、とてもよくお似合いですよ」
と言ってくれました。
そうでしょ? と、みんなそれぞれ思っていたはずです。
西本など、あの「ARTS & SCIENCE」を着ています。
ぼく(武井)も、JUNYA WATANABE MANです。
廣瀬も田路も「これがオレの白だ」といわんばかりに
ちょっと胸を張っていました。
「悪くないでしょ?」くらいに思ってたはずです。
まず通されたのは、1階でした。
ぼくは伊勢丹新宿店メンズ館は、
けっこうよく行くんですけれど、
1階って、じぶんにはあまり関係ないと、
スルーしていたんです。
わりと「ビジネスマン寄り」といいますか、
ネクタイをすると似合いそうなきちんとしたシャツが並び、
もちろんネクタイもずらり。
カジュアルウエアも上質なコンサバで、
激しいデザインのものはありません。
ですが、佐藤さんは言うのです、
「まずは、この1階で」と。
くわしい説明は次回にゆずるとして、
見ていただきましょう。
ぼくらがどう変わったかを。
★廣瀬
★武井
★西本
★田路
一目瞭然。ぜんぜん違います。
いったい、なんで?!