白いシャツをめぐる旅。2020 わたしのマスターピース。 白いシャツをめぐる旅。2020 わたしのマスターピース。
フィジカルなシャツと、かわいいブルゾン。HITOYOSHI × ISETAN ×HOBONICHI
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「白いシャツをめぐる旅。」で
毎年お届けする、オリジナルのシャツ。
もちろんことしもつくります。



オリジナルシャツ・チームの中心メンバーは、
熊本の人吉市に工場をもつ
メンズのドレスシャツメーカー、
HITOYOSHI(ヒトヨシ)の
松岡佳博さんと大坪正信さん
(HITOYOSHIの工場についてはこちら
社長の吉國さんについてはこちらをどうぞ)、
伊勢丹からは新宿店メンズ館の
アシスタントバイヤーである和泉圭さんと、
本館レディスウェアのアシスタントバイヤーである
清水文恵さん、
そして「ほぼ日」からは武井・平野が参加。
3社で何度もミーティングを重ね、
幾度かのサンプルづくりを経て、
1年ちかくかけ、今年のシャツができあがりました。



まずは発表しちゃいましょう、
伸縮性のあるタイプライター生地を使ったシャツと、
かなーりかっこいい、シャツブルゾンです。
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▲HITOYOSHI ストレッチラウンドシャツ(メンズ)

 17,600円(税込み)
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▲HITOYOSHI ストレッチラウンドシャツ(レディス)

 16,500円(税込み)
「いま、快適さを求めてのシャツ用の素材って、
すごくたくさんあるんです。山ほどあります。
テクニカル素材、機能性素材って呼ばれる生地ですね。
形状記憶、ストレッチ、におい対策、汗じみ対策‥‥、
いろんな機能がうたわれていて、
どれも、すばらしいんですよ。
そんななか、自分たちが着たいシャツってなんだろう? 
それを実現する生地はどんなものだろう? 
というところから、スタートしましたね」(和泉さん)
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そうなのです。「機能的=快適性」が大事ですよね、
そういうシャツをつくりましょう、
‥‥というところまではすんなり決まったんですが、
あまりにいろんな生地があるものだから、
しょうじき、目移りしちゃって、
どの機能に絞ったらいいのか、
コンセプトが定まらない時期がありました。



「そんな時、キーワードで出たのが、
デジタルの反対語としての
『フィジカル』でした」(松岡さん)



「フィジカルなシャツ」この言葉が出たときに、
ぱっと目の前がひらけた気がしました。
デジタルの反対語はアナログ、という言葉もありますが、
電脳に対しての身体というか。
これをシャツの生地に落とし込むと、
「ストレッチ」ということになります。
すでに世の中にはストレッチ素材のシャツはありますが、
「白いシャツをめぐる旅。」でつくるのだから、
シャツとしての美しさがきちんとあって、
一見、ストレッチ素材とはわからないようなものがいいね、
と、生地探しをはじめたのでした。
その担当はHITOYOSHIチーム。
苦労をかけました。



「いえいえ! 探すの、楽しかったですよ。
ストレッチ素材はいっぱいあったんですが、
シャツとしていい風合いのストレッチということで、
かなり時間はかけましたけれど。
このコンテンツでも何度も登場している、
高密度で織ったタイプライターという生地は、
通常、コットン100%でつくるんですね。
その高密度な布のよこ糸だけを
伸縮性のあるポリエステルにして、
ストレッチ性を出した素材を見つけたんです。
たて糸はコットン100%です。
ふつう、ストレッチ素材は、
ひんやりしたイメージのものが多いんですが、
この生地は、バイオ加工といって、
生地にした後に、ちょっと起毛をさせるんです。
それでこういうさわり心地、
パウダータッチというんですが、
温かみがあるニュアンスが生まれているんです」
(松岡さん)
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そうなのです。
さわりごこちが、すごく気持ちがいい生地なのです。
色もちょっと柔らかく、
やさしげで、品があるので、
一見、ストレッチとはわかりにくい。
そしてこの素材でシャツを仕立てるにあたって、
どんなデザインにしようかというのが、
次のステップでした。



「ストレッチ性をいかすならば、
あんまりオーバーサイズのシャツでは
意味がないので、
あるていどフィット、
でも、ぴったりしすぎない快適さを追求しました」
(和泉さん)



メンズとレディスのつくりは、
レディスのほうが、ゆったりめ。
ストレッチ素材であるという共通点はあるけれど、
パターンは変えました。
そしてもうひとつの共通点が「丸襟」です。
ここでもうひとつ出たキーワードが「ふたり」。
一緒に着て歩きたくなるシャツだけれど、
ペアルックではない、というニュアンスです。



「男性と女性を丸襟でくくって、
ちょっとテイストを寄せています。
コンセプトは同じですけれど、
パターン、デザインは全然違っていて、
丸襟の角度も、メンズはメンズらしく、
レディスはレディスらしくなっています」
(清水さん)



さらに、メンズにはスポーティな遊びを加えました。
後ろ襟のセンターに、リフレクターを入れたのです。
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「フィジカルっていうコンセプトで、
素材もストレッチ性があるので、
たとえば自転車に乗るとか、
アクティブなことを連想させるようなイメージを足そう、
と話しましたね」(松岡さん)



HITOYOSHIがつくっているわけなので、
当然、きっちりとしたメンズのドレスシャツの仕立て。
運針や針目の細かさ、
襟などの立体仕上げのていねいさ、
全部がメンズのドレスシャツのつくりかたで、
お針子さんの高い技術もあって、とにかくすごいのです。
そのディテールを見ていきましょう。
まず目につくのが、貝ボタンと襟ですね。



「貝ボタンのなかでも、いちばん高級な白蝶を使ってます。
襟のつくりも、ドレスシャツと同じで、
立体的なカーブをつけて縫うんです。
そうすると、ボタンを開けても広がりすぎず、
きちんとした感じが出るんですよ」(大坪さん)
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ここからは、わかっていただきにくい部分ですが、
あえて説明します。
袖とカフ(手首まわりの部分)のつくりのていねいさ。
まずカフの内側と外側では、布の長さが違います。
外側のほうが長くて、それを縫い合わせると、
手首に沿うように丸みを帯びたカフスになるのです。
袖とカフスを縫い合わせるときも、
独特の、とても丁寧な方法でつける。
それが、カフスのステッチにあらわれているんです。
普通のシャツとは、ステッチの位置が、違う。



「すっごくわかりにくいですけど。
こうすると、すっきりした仕上がりになるんです。
ふつうの2倍くらい、時間がかかるんですけどね。
でもこれが、うちではふつうのやり方です。
去年のシャツも、これでやってましたよ」(松岡さん)



去年は説明してくれなかったですよ! 
でもHITOYOSHIはこれがスタンダード、
特別なことじゃないからなんですね。



「今回のシャツは、
ちょっとカジュアルに落とし込んではいるんですけど、
つくりはもう、ドレスシャツと一緒です」(大坪さん)



さて、こんどはレディスシャツ。
素材も一緒だし、丸襟っていうことも一緒。
ディテールはどうですか。



「袖も、カフスも違います。
裾も、ラウンドじゃなくて直線に近く、
着たときに脇に下がらないように微調整して。
背中のタックも、センターにつけている。
そして本格的に違う印象を生んでいるのが
ドロップショルダー。
お揃いだけど、ちがうシャツなんです」(松岡さん)



「たとえば、カップルやご夫婦など、
ペアで着ていただきたいな、
っていうイメージで考えましたね。
メンズのほうが先に丸襟にしようと決めましたよね」
(清水さん)
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ハイ、丸襟といっても、
甘くはなりすぎず、かといって
トラッドにも寄せすぎない、
ちょうどいい丸襟になるよう、
アールの感じを試行錯誤して決めました。



「それに合わせて、女性の丸襟は、
ベーシックなんだけれど、
ちょっと遊び心があるような印象になっています」
(清水さん)



「襟の周りもステッチを入れずに、
やわらかい感じに仕上げました。
それにあわせて、前立ても、裏前立てといって、
メンズとは違う方法です」(松岡さん)



さて! もう一着。
(例年、そうですが、オリジナルシャツの解説が
力が入って長くなっちゃって、すみません。)
ことしは、アウター的なシャツをつくりました。
シャツブルゾン、です。
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▲HITOYOSHI シャツブルゾン(オートミール・ブラウンシュガー)

 18,700円(税込み)
シャツなの? ブルゾンなの? 
その両方。カジュアルな羽織りもの、という感覚の服です。



ブルゾンというのは、実は、つくりが開襟シャツと同じ。
つまりHITOYOSHIの得意とする技術が
いかされている服なのです。



「開襟シャツをベースに、
通常のシャツよりはちょっと肩幅をゆったりさせ、
ストンと、スクウェアにすることで、
シャツ感よりも、ブルゾン感を出しています」(松岡さん)



裾の切り替え、
角の丸みをなくしたカフス、
フラップ付きのポケット、
大きめのボタン。
ディテールにブルゾンっぽい要素を加えることで、
シャツなのにブルゾンという、
おもしろいアウターができあがりました。。
こちらはユニセックスとしてつくっています。



「着丈もちょうどいい感じで、野暮ったくない。
Tシャツの上に着ても、シャツの上からでもいいですよ」
(和泉さん)



この素材、ちょっと面白いですよね。
シャツ用の生地なんですか?



「純粋なシャツ用ではないですね。
でも軽いんです。
そして変なシワがあんまり出ない。
洗濯も、シャツ扱いで、洗濯機で大丈夫ですし、
乾きやすいんです」(大坪さん)



きちんと感とヴィンテージ感の両方があります。



「布って、たて糸とよこ糸では、
たて糸のほうが多いんですけれど、
この素材は、たて・よこの本数が同じなんです。
そして織り密度を高めて、ハリ感とコシ感があることで、
きちんと感があるんだと思います。
ヴィンテージ感が出ているのは、
生地にしてからの後染めだからですね」(松岡さん)



「ガシガシ使える生地ですよね」(和泉さん)



サイズ感はこんな感じ。
和泉さんと清水さんに着てもらいました。
和泉さんがM、清水さんがSです。
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うんうん、いい感じのサイズ感です。
これ、もしかしたら、
とりかえても、いけますか?
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おお、いける! 
女性がたっぷりめ、
男性がタイトめ、というのも新鮮です。
そういう意味でも「ふたり」で倍の活用ができそうです。



HITOYOSHI

https://hitoyoshicorp.com/
(次回は、今年初登場となるリネンのブランド、
Vlas Blomme[ヴラスブラム]を紹介します!)
2020-04-09-THU