| 矢沢 |
いま、いっそがしくてねぇ。 |
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| 糸井 |
ああ、そうなんだ。 |
| 矢沢 |
たぶん、糸井のほうも
そうとう忙しいと思いますけど。 |
| 糸井 |
オレは、まぁ、加減できるからね。
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| 矢沢 |
忙しいけど、いまオレね、
週１回しか酒飲んでないの。
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| 糸井 |
うそぉ。
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| 矢沢 |
ほんと、ほんと。
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| 糸井 |
どうしたの（笑）。
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| 矢沢 |
今年は、ふんどし締め直してやろうかなぁと。
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| 糸井 |
ああー。
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| 矢沢 |
というのは、去年１年間、
とめたでしょ、ライブを。
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| 糸井 |
うん。
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| 矢沢 |
とめて、それはそれでよかったのよ。
こう、まわりのことが、冷静に見えたり、
自分のことも、わかるじゃない？
「人ってこうだよな」って。
わかっちゃいるけど、とめたことによって、
「ああー、やっぱりそうだ」って、
より確信したみたいな。
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| 糸井 |
うん、うん。
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| 矢沢 |
そんな１年だったですね、去年は。
だから、いったん、動きをとめてよかった。
なにか予想外のことがあったわけでもない。
だいたい、想像してたとおりだった。
ＯＫ。それが、去年の話ね。
で、さぁて、この2009年。
９月で、ぼくはもう60になるから。
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| 糸井 |
おお、いよいよ。
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| 矢沢 |
そう。そういうこともあるし、
去年、いったん動きを
とめてたということもあって、
今年は「よし、やるぞ」っていう。
だから、レーベルは立ち上げるし、
ドームはけじめでやっちゃうし。
ドームのあとは、
１ヶ月ウェイティングするかしないかで、
もうノーマルコンサートに突入して、
最後は、ファイナル武道館５デイズ。
まぁ、これで武道館が107回目になる。
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| 糸井 |
すごいね（笑）。
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| 矢沢 |
「ＯＫ、いくぞ」って言ったら、
もうノンストップよ、いま。
で、４年ぶりのニューアルバムも出る。
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| 糸井 |
うん。
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| 矢沢 |
糸井、聴いてくれた？
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| 糸井 |
うん、聴いた。
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| 矢沢 |
どうだった？
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| 糸井 |
若くなったね。
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| 矢沢 |
いいでしょ？
そう、「若くなった」って、
みなさん言ってくれるんですけどね、
それ、意図的なことでもあったの。
若くしたいって意味じゃなくてね、
「青臭さを残しときたい」と思ったね。
「青臭さ、大事だよー」みたいな。
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| 糸井 |
あー、それは、感じるね。
あの、なんていうの、
「バカだもん、オレ」みたいなね。
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| 矢沢 |
そう、そう（笑）。
やっぱり、エイトビートのロックンロールは、
「うきうきするし、
ケツぶりぶりしたくなっちゃうでしょ？」
っていう。
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| 糸井 |
わかる（笑）。
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| 矢沢 |
本来持ってたもの、もともとあるものを、
もう開けっぴろげにやっちゃおう、みたいな、
そういうアルバムをつくりたかったから。
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| 糸井 |
ただ、若くないというか、
歌が昔からくらべると
圧倒的に迫力があるからね、
そこのギャップがおもしろいね。
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| 矢沢 |
ああ、ソレ、だから、
ウチの子どもたちによく言われる。
「お父さん、キャロルのとき
ヘッタクソだもんね」って（笑）。
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| 糸井 |
ははははは。
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| 矢沢 |
ソレ、言われるの。
娘はちょっと歌ってたりするからね、
「♪キミは、ファンキー・モンキー・ベイベー」
ってのをさ、「なによあれ」って言うわけ。
「お父さんヘタクソじゃん、昔」って。
たしかに、そのとおりなんだよ。
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| 糸井 |
あのころは、出せる声を
ぜんぶ出してる感じがするよね。
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| 矢沢 |
そうそうそう。
もう、加減なんかありゃしない。
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| 糸井 |
うん（笑）。
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| 矢沢 |
それがいまだったら、
やっぱり経験を重ねたことでね、
どこをどう抑えたらどんなふうになるか
ってことがわかってるから、
いいコブシとかもつかえるようになってくる。
タメの効いたバラードなんかが、こう、
ぴたーっと歌えるようになってきたのは、
年とってからですよね。
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| 糸井 |
うん。
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| 矢沢 |
たしかに、キャロルのころは、ただ青いだけ。
青くて一所懸命。でも、それが素敵なのよ。
あれはあれでいいんだよ。
あれはあれでグレイト。
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| 糸井 |
うん。
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| 矢沢 |
だから、キャロルのころの、
あのフィーリングは大事に残しておきたい。
今度のは、そういうアルバムだね。
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| 糸井 |
タイトルも『ROCK'N'ROLL』だし、
還暦っていうタイミングで、
見事にひとまわりした感があるね。
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| 矢沢 |
そうかもしれない。 |
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（つづきます） |
