矢沢 |
まぁ、でも、あれだね。
こうやって、いま現在も
まだまだ音楽でがんばれてるんだから、
それはうれしいよ。
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糸井 |
永ちゃんが50歳になったころ、
「まだまだロックンロールでケツ振ってたい」
って言ってたんだけど、
そこからさらに10年経っちゃってるんだよ。
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矢沢 |
そうね、あっという間に10年経ったね。
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糸井 |
はやいねぇー。
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矢沢 |
今度の、ドーム、来る?
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糸井 |
行く、行く。
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矢沢 |
絶対、観たほうがいいよ。
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糸井 |
「観たほうがいいよ」って(笑)。
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矢沢 |
観たほうがいい。
オレけっこうね、やる気だから。
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糸井 |
「けっこうやる気だから」って(笑)。
永ちゃん、そういう自分のことばの
おかしさがわかってないんだよね(笑)。
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矢沢 |
ん? 変?
でも、ほんと、オレけっこうやる気だから。
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糸井 |
いいねぇ(笑)。
あのさ、『バーボン人生』っていう
永ちゃんの歌があるじゃない。
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矢沢 |
はい、はい。
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糸井 |
あのおじさんは何歳なんだろうねって、
いま思うんだよ。
若いときの永ちゃんはさ、
たとえば60歳ぐらいだと思って
歌ってなかった、あれ?
もう、その年齢になっちゃってるんだよ。
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矢沢 |
そうだねぇ…。
でも、おもしろいのはね、
『長い旅』だってそうじゃない?
そういう歌、けっこうあるんだよ。
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糸井 |
ああ、そうだね。
歳とった歌、けっこう歌ってるね。
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矢沢 |
だから、若いときにね、
オレ、言われたことあるもん。
「永ちゃん、もう引退するんですか」って。
「なんで」って言ったら、
渋い歌、いっぱい書いてるから。
キャロルが終わって、ソロになったころ。
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糸井 |
急にタキシードのジャケットになってね。
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矢沢 |
そう、渋い歌をいっぱい書いたの。
もうね、28、29のときにね。
で、いまこの歳になって、
『バーボン人生』なんかを歌うと、
バカいいのね。
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糸井 |
いいだろうねぇ(笑)。
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矢沢 |
あの作詞家は、
どっからあの詞が出たのかね。
まだ、矢沢が27ぐらいのときの歌だからね。
サンキューだよ。
もういまの矢沢、ベストだもん。
だから、まぁ、そういう意味でいえば、
昔の曲でもいい歌はいっぱいあるし。
糸井も、また詞書いてよ。
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糸井 |
ああ、うん。頼まれればやるよ。
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矢沢 |
ねぇ。
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糸井 |
ただ、いまの時代って、男の詞が難しいんだよ。
なんていうのかな、問題が見えないんだよ。
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矢沢 |
うん。いま、見えないね。
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糸井 |
だから、今度のアルバムでも、
作詞家の人たちは、そうとう苦労してて、
ある意味、開き直って書いてると思う。
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矢沢 |
そうだね。
そう言った意味じゃ、
いま言ってくれたように、
今回の『ROCK'N'ROLL』っていうアルバム自体、
開き直ったつくりになってると思う。
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糸井 |
うん、そう思う。ひと回りしてね。
けど、うれしいのは、
ぜんぜん「終着点」って感じがしないことで。
この先がまだまだありそうな気がするというか、
この新しい「ロックンロール」の
つぎがあって、またそのつぎがあってって、
またひと回りしそうな気がするんだよね。
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矢沢 |
ああ、それはうれしいね。
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糸井 |
ライブが似合いそうなアルバムだし。 |
矢沢 |
うん。ドームも武道館もやるし、
夏は、フェスもやるから、遊びに来てよ。 |
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糸井 |
うん。 |
矢沢 |
今日は、ありがとうございます。
ほんとに。
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糸井 |
また意味もなくいろいろ会いましょう。
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矢沢 |
これねぇ、ぼくは、思うんだけどね。
いまのこの時期、取材って、
やたらめったら受けてるんだけど、
その中でイトイ新聞っていうのは、
やっぱり、ぜんぜん、違うね。
いや、これ、お世辞じゃなくてね。
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糸井 |
(笑)
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矢沢 |
ほんと、ほんと。ぜんぜん違うね。
糸井と矢沢がこう座ってしゃべると、
なんかねぇ、取材じゃなくなっちゃうのね。
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一同 |
(笑)
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糸井 |
そーだね、取材じゃない。
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矢沢 |
そこにね、なんかね、
他の媒体じゃ絶対に出し得ない
なにかがあるんだろうね。
いや、どうもありがとう。
また、会いましょう。
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糸井 |
じゃーね。
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(矢沢永吉さんと糸井重里の話はこれで終わりです。
ご愛読いただき、どうもありがとうございました!) |