ヤオモテ、OK  矢沢永吉の新しい『ROCK'N'ROLL』

第6回 会社、大っきらい!

矢沢 矢面には、立ちたくない。
けど、いつの間にかなにかに押し出されて
こうして、いろいろやってる。
いまは、だいぶ慣れたけどね。
それが正直なところだけど、どう思う?
糸井 うん。いろんな人と話すけど、
「ああ、思えばぜんぶ受け身だった」
って言う人はやっぱり多いんだよ。
それは、オレ自身を含めて。
矢沢 あ、そう。
糸井 やっぱり、自分から進んで、
たいへんなことを引き受けたくはない。
けど、そうせざるを得ないんだね。
そういうなかで、どう自分が
自分らしさを保っているかっていうと、
たとえばぼく個人のことでいうと、
だいたいのところは我慢して引き受けるけど
「これはイヤだ」っていうところにだけは
行かないようにするっていうのが
大事なポイントかもしれない。
矢沢 うん。そうかもしれないね。
糸井 つまり「ここまでは、ぜんぶいいよ」と。
「いうとおりにやるよ」って思うんだけど、
「そこは勘弁してくれ!」って場所があるんだよ。
「それをやったらオレじゃないよ」
っていうところがあって、
そこに行かないようにだけ、
なんとか踏みとどまってたら、
それが仕事になってたみたいな、さ。
矢沢 あー、わかる。
糸井 それが実感なんだよね。
矢沢 わかる。
わかる。
糸井 わかる(笑)?
矢沢 いま、糸井が言ったのって、
矢沢が言ったのと‥‥。
糸井 おんなじ、おんなじ。
矢沢 まったくそれ。
糸井 ねぇ。だから、永ちゃんでも、
ものすごく流されて生きてきたのかもしれない。
だけど、その流れのなかで、
どうしてもイヤだっていうことがあって、
そこだと「不自由で歌ってらんねぇぜ」
ってところあるから、そこにいかないために
「オレがやるしかないな」っていう。
矢沢 そうなのよ。
糸井 そうだよね。
矢沢 そうなんだけどね。
反面、この二足のわらじのたいへんさ!
糸井 わかる(笑)。
矢沢 あの、この場を借りて言うけどさ、
(カメラに向かって)
会社とかあるじゃん。
糸井 (笑)
矢沢 申し訳ございません、
ウチもスタッフ40人弱ぐらいいるけどね
‥‥会社、大っきらい。
一同 (笑)
糸井 (手をパチン)
矢沢 オレ、会社、大っきらい。
やりたくないもん、会社なんか。
矢面、立ちたくないもん。
糸井 (笑)
矢沢 オレはメロディーだけつくっていたい。
糸井 これもう、CMに使いたいぐらいだね(笑)。
矢沢 オレはメロディーだけつくって、
メロディーとライブだけしていたい。
糸井 ねぇ。
矢沢 だけど、それをまた許さないもの、
ぼく自身なんですよ。
糸井 そうだね。
友だちがみんな歩いてるときに、
ハイヤーで行きましょうって言われるのも
居心地がよくないんだよね。
矢沢 ねぇ。
糸井 オレもやっぱり永ちゃんと同じこと
しょっちゅう会社で言ってるんだよ。
「こういうこと、イヤだなぁ」って。
でも、社長だからね、やるんだよ。
ま、社内じゃ「社長!」って呼ばれるのは、
からかわれてるときだけだけどね。
矢沢 ふっふっふっふっふ。
‥‥今日、なかなかおもしろい話してるよね?
一同 (笑)
(つづきます)




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2009-08-12-WED

HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN