矢沢 |
矢面には、立ちたくない。
けど、いつの間にかなにかに押し出されて
こうして、いろいろやってる。
いまは、だいぶ慣れたけどね。
それが正直なところだけど、どう思う?
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糸井 |
うん。いろんな人と話すけど、
「ああ、思えばぜんぶ受け身だった」
って言う人はやっぱり多いんだよ。
それは、オレ自身を含めて。
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矢沢 |
あ、そう。
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糸井 |
やっぱり、自分から進んで、
たいへんなことを引き受けたくはない。
けど、そうせざるを得ないんだね。
そういうなかで、どう自分が
自分らしさを保っているかっていうと、
たとえばぼく個人のことでいうと、
だいたいのところは我慢して引き受けるけど
「これはイヤだ」っていうところにだけは
行かないようにするっていうのが
大事なポイントかもしれない。
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矢沢 |
うん。そうかもしれないね。
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糸井 |
つまり「ここまでは、ぜんぶいいよ」と。
「いうとおりにやるよ」って思うんだけど、
「そこは勘弁してくれ!」って場所があるんだよ。
「それをやったらオレじゃないよ」
っていうところがあって、
そこに行かないようにだけ、
なんとか踏みとどまってたら、
それが仕事になってたみたいな、さ。
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矢沢 |
あー、わかる。
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糸井 |
それが実感なんだよね。
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矢沢 |
わかる。
わかる。
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糸井 |
わかる(笑)?
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矢沢 |
いま、糸井が言ったのって、
矢沢が言ったのと‥‥。
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糸井 |
おんなじ、おんなじ。
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矢沢 |
まったくそれ。
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糸井 |
ねぇ。だから、永ちゃんでも、
ものすごく流されて生きてきたのかもしれない。
だけど、その流れのなかで、
どうしてもイヤだっていうことがあって、
そこだと「不自由で歌ってらんねぇぜ」
ってところあるから、そこにいかないために
「オレがやるしかないな」っていう。
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矢沢 |
そうなのよ。
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糸井 |
そうだよね。
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矢沢 |
そうなんだけどね。
反面、この二足のわらじのたいへんさ!
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糸井 |
わかる(笑)。
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矢沢 |
あの、この場を借りて言うけどさ、
(カメラに向かって)
会社とかあるじゃん。
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糸井 |
(笑)
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矢沢 |
申し訳ございません、
ウチもスタッフ40人弱ぐらいいるけどね
‥‥会社、大っきらい。
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一同 |
(笑)
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糸井 |
(手をパチン)
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矢沢 |
オレ、会社、大っきらい。
やりたくないもん、会社なんか。
矢面、立ちたくないもん。
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糸井 |
(笑)
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矢沢 |
オレはメロディーだけつくっていたい。
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糸井 |
これもう、CMに使いたいぐらいだね(笑)。
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矢沢 |
オレはメロディーだけつくって、
メロディーとライブだけしていたい。
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糸井 |
ねぇ。
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矢沢 |
だけど、それをまた許さないもの、
ぼく自身なんですよ。
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糸井 |
そうだね。
友だちがみんな歩いてるときに、
ハイヤーで行きましょうって言われるのも
居心地がよくないんだよね。
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矢沢 |
ねぇ。
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糸井 |
オレもやっぱり永ちゃんと同じこと
しょっちゅう会社で言ってるんだよ。
「こういうこと、イヤだなぁ」って。
でも、社長だからね、やるんだよ。
ま、社内じゃ「社長!」って呼ばれるのは、
からかわれてるときだけだけどね。
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矢沢 |
ふっふっふっふっふ。
‥‥今日、なかなかおもしろい話してるよね?
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一同 |
(笑)
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(つづきます) |