りか |
ほぼにちわー!
「読めない土曜の女たち。」です。
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オガー |
今日は予告どおり、
先日三省堂さんでうかがった、
『大辞林』ってどんな辞書?
というお話をご紹介しまーす。
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アロハ |
まってました〜。
ふたりともにこにこして帰ってきたから、
楽しかったんだろうなーって、
うらやましかったですぅ。
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ゆーないと |
そうっすか?
ふたりして、がたがた、
言ってませんでした?
なんか、怖いもんでも見たのかと。
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オガー |
あはははは。
言わされましたよ、「がたがた」!
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りか |
うふふふふ。
では、どうぞー。
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ヨメナ語1周年記念!
三省堂『大辞林』取材の巻 -前編-
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オガー&りか |
こんにちわ。
今日はよろしくお願いいたします!
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三省堂・
萩原さん |
よろしくお願いします。
三省堂出版局辞書出版部部長
萩原好夫さん。『大辞林』の
前編集長でいらしゃいます。 |
三省堂・
本間さん |
よろしくお願いします。
三省堂出版局国語辞書出版部
本間研一郎さん。『大辞林』の
現編集長でいらしゃいます。 |
三省堂・
佐藤さん |
よろしくお願いします。
三省堂出版局国語辞書出版部
佐藤竹哉さん。『大辞林』では
自然科学系をはじめ多岐にわたって
ご担当されています。 |
三省堂・
高野さん、
神藤さん |
よろしくお願いします。
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三省堂出版局デジタル情報出版部部長 高野郁子さん(右)。
三省堂出版局デジタル情報出版部課長 神藤利章さん(左)。
『スーパー大辞林』を含む、
三省堂
Web Dictionaryの運営を担当されています。
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りか |
『大辞林』て、すごくページ数も多くて
作るのがたいへんだったのではないですか?
時間はどのくらいかかったのでしょうか。
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萩原さん |
第一版(1988年発行)を
つくり始めたのは
1960年くらいのことですから、
28年かかっている、
ということになりますね。
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オガー |
28年!!
そんなに長いスケジュールが
組まれていたのですか?
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萩原さん |
それが、初版は、予定では
8年くらいで
出版するつもりだったんですけど‥‥。
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りか |
つもりだったけど?
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萩原さん |
28年かかりましたねえ。
会社の状況であるとか、
著者の体制がとれるかとか、
競争商品との関係ですとか、
遅れた理由はいろいろあったんですが、
そもそも「8年」というスケジュールに
無理があったんですね。
他社さんを見ても、
どうやら20年くらい
かかってるようですね。
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オガー |
すごいですね、28年‥‥!
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萩原さん |
原稿にするまでの
資料をあつめるだけで
何年もかかりますし、
それらを全部手作業で
やってたわけですからねえ。
コピーもなかったので、
すべてカーボン紙で複写です。
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本間さん |
そういう作業のなかで、
何が哀しいってね、
最初に書いた原稿の内容が、
出版する頃には
古くなっているということです。
とくに自然科学系や
社会人文科学のものは
2〜3回書き換えてるんじゃ
ないですかね。学問の進歩とか
流行というものがありますから。
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オガー |
はあ‥‥!
具体的には、
どうやって作るのですか?
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佐藤さん |
辞書の中には
いわゆる「動詞」や「名詞」といった
「国語」のほかに
「自然科学」「社会人文科学」
「新語」などがあって
全部分野が異なるんです。
専門用語は、その分野の専門家に
言葉の取捨選択を依頼します。
あるいはある程度のラインナップをあげて、
このほかに掲載したほうが いい単語は
ありますか、と聞くこともあります。
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りか |
パソコンの専門用語でも、流行語でも、
新しい言葉ってどんどん出てきますけど、
それはどうされていますか?
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佐藤さん |
いろんなやり方がありますが、
たとえば新聞を読んでいて、
見かけない言葉に出会ったら、
カードに書いて、とっておきます。
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オガー |
インターネットも使われますか?
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佐藤さん |
はい。「語彙収集」も
インターネットのおかげで
早くなりました。
昔は「用例」を集めるのにも
雑誌や新聞を見て、
抜き書きしていたんですけど
今はネットで検索することができます。
たとえば、その単語の最後を
のばして発音する場合、
音引きにするべきか、
そうでないのかということも
検索をして数を調べます。
より一般的なものを探す、という作業です。
もちろん、そのまま引用したりは
しないですよ(笑)。
インターネットがあることで、
「一般的」を判断するための資料が
あつめやすくなりました。
ただ、相変わらず紙を使う部分もありますよ。
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本間さん |
メモ程度にね。
新聞に載っていた言葉だとか
テレビで耳にした言葉なんかを
カードに書いておく、ということを
日常的にしています。
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りか |
テレビを見たり新聞を読んだり、
ご自分の生活のいろんなところが、
辞書づくりにかかわっているんですね。
ウェブ版の『大辞林』には、新しい言葉も
たくさん入って入るようですね。
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本間さん |
いま、『大辞林』をインターネットで
利用できる、
ウェブ版の『大辞林』があります。
http://www.sanseido.net/
『スーパー大辞林』と言いまして、
冊子版のものに、
さらに「新語」をくわえています。
たとえば、『大辞林 第二版』は、
まだ省庁再編する前の発行なので、
「財務省」とか「国土交通省」などの言葉は
載っていないのですが、
『スーパー大辞林』には載っています。
『大辞林』は23万3千語ですが、
ウェブ版『スーパー大辞林』は
25万語ほど載っています。
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オガー |
うわあ、すでに2万近く増えてる!
『大辞林』の内容が、さらに新語も増えて、
ぜんぶインターネットで調べられるって、
すごいですね。
23万3千語も収録している
『大辞林』の使い方で、ここがおすすめ!
というところを教えてください。
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佐藤さん |
そうですね、いろいろありますが‥‥、
語釈の順番ですね。
『大辞林』は、
現代、いちばん使われているものから
順に並べて書いています。
それでも迷いますけど。
『広辞苑』とは逆です。
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りか |
え、気がつかなかった!
それが使いやすさのひとつかも‥‥。
たしかに、むずかしい方から載っていると
それを理解しながら
読み進まないといけないような
気になってしまいます。
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佐藤さん |
『大辞林』は、
1番目の語釈を読んでもピンと来ない、
ということがないようにしています。
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本間さん |
ただ、辞書の基本的な書きかたというのは、
本義を書いて、
そこから展開していくというのが基本です。
それはだいたい、
古さと一致しているんですよね。
いわば、「原義」ですから。
だから『広辞苑』などが
古い方から書いていくというのは
ひとつの正当さであるんですけども、
それだけで書いてくと、
どうしても「理解」という面では
必ずしも正しくはない、というのが
われわれの考え方です。
ここも悩ましいところですねえ。
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高野さん |
日本語というのは、とても歴史が長いんです。
極端に言えば、古い方の語釈から書くなら
奈良時代から書いていかなくてはなりません。
変化の度合いが、英語などに比べると
かなり多いのだと思います。
古い方から全て書いていったのでは
紙面がいくらあっても足りませんから
辞書の基本を押さえつつも、
やはり、使う頻度の高い語釈から
書いていくというのが『大辞林』の
大きな特徴のひとつです。
「これ知りたい」と思うことを
すぐ知ることができますよ。
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本間さん |
あと特徴としては、新語が
たくさん載っているということですね。
現代生活に必要な言葉が
たくさん載っています。
それはもう、
いちばん大事にしたいところです。
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佐藤さん |
それと漢字の情報ですよね。
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本間さん |
常用漢字かどうか、
送り仮名を省略できるのか、
宛て字かどうかといった、
学習性の高い情報が充実しています。
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佐藤さん |
あとは、「アクセント」ですね。
どこに強調するか
わかるようにしています。
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本間さん |
日本語は強弱のアクセントではなく、
高低のアクセントですので
一番最初の音節から数えて
どこで高から低への変化のあるかがわかります。
そういった変化がないものは「0(ゼロ)」で
示しています。
よく言われるのは「朝」と「麻」とか、
「箸」と「橋」ですよね。
(「朝」は最初の音節にアクセント、
「麻」は二音節めにアクセントでした ) |
萩原さん |
関西系の発音とは異なりますから、
『大辞林』では、
NHKのアナウンサーのかたが
どう発音するかを基準にしています。
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佐藤さん |
このアクセントの表記は
音読ボランティアの方たちが
よく使ってくださってるみたいですよ。
アクセント辞典に載っていないことばも
説明していますから。
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りか |
‥‥というか、このアクセントの監修も
その専門の先生がいらっしゃるんですね?
ひとつの語に対しても、
たくさんのかたが関わっているんですねー!
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本間さん |
そうです。
いわゆる同音語で
アクセントがちがうというのは
おもしろいですよね。
同じ言葉でも「がたがた震える」と
「がたがたの建物」では
「がたがた」のアクセントが違うでしょ。
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りか |
「がたがた」。「がたがた」。
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オガー |
「がたがた」。「がたがた」。
わーほんとだ!!
(来週につづきます!)
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