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さっとツイッターで流したところ、
そうとう反応もあったし。
いま、話すべきなんでしょうね。 |
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わかりやすいきっかけは、やはり値上げです。
10月1日にがつんと大きな値上げが。 |
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100円とか上がったんでしょう?
いま、いくらなんですか、だいたい。 |
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糸井さんの吸っていたピースライトは
1箱440円になってます。 |
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ちなみにぼくの吸っていたキャスターは
410円になってました。
吸い始めたときは、たしか220円とかでしたから
ほとんど倍になってます。 |
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月日は流れ行くね。
やっぱり百代の過客だね。
月日は百代のカカクにして、
価格は値上げですね。 |
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今日は1対1の雑談なので
心置きなくそういうダジャレを無視できます。 |
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糸井さんが禁煙したころから
「これはコンテンツにしなきゃ!」と
言い合ってましたからね。 |
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ちなみに糸井さんの禁煙がスタートしたのが
2003年の8月。 |
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もうさぁ、言ってもいいよね。
「イトイの禁煙は信用できない」
とは言われないでしょう。
自分からの声も含めてさ。 |
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仮にね、7年経って吸ったからって
「禁煙を語る資格はない」
なんて言われないんじゃないかな。
まぁ、吸わないですけどね。
もったいないですから。 |
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ぼくは、2年9ヵ月。
今年の年末で丸3年になります。 |
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たぶん(笑)。
ですから、まあ、
やめたぼくらの立ち位置としては、
まず、タバコの両方の側を知っている。 |
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知ってますねぇ!
もう、吸い尽くしましたね(笑)。 |
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だから、カートン買いですよね、当然。
で、カートンの残りが少なくなると、
「あ、もうタバコがない」と思ってましたから。 |
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すごい(笑)。
ぼくは、ゲーム雑誌にいたときの取材で
糸井さんにはじめてお会いしたんですけど、
ゲーム雑誌は、基本、子どもも読むので、
タバコを吸ってるところは
なるだけ写らないようにするんです。
でも、糸井さんの取材のときの写真は、
なにしろタバコが写ってない写真がない(笑)。 |
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なるほどね(笑)。
ずーっと吸ってましたからね。
職場でも、家でも。 |
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♪じゅぎょぉおをさぁぼぉってぇぇ〜。
(忌野清志郎さんのマネ) |
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(無視して)
あのころを思い返してみて、どうです? |
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うーん、なんていうだろう、
吸ってたっていうことはたしかなんだけど、
「あのころはよかったなぁ」っていう
気持ちにはならないですね。 |
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「吸いたい」は、あります。
たまにふっと思い出すのは、
「ここは煙草吸いどきだな」っていう気持ち。 |
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そうそうそうそうそう!
まったくおなじです、それ(笑)。 |
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ははははは。
「ここのタバコはうまいんだよな」
っていう場面が。 |
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そうなんですよ。
日常習慣としてのタバコをやめたあとは
「タバコを吸うべきシチュエーション」が
ときどき訪れるんですよね。 |
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そうそうそうそう。
ぼくの場合、わかりやすいのは、
「独身の日」みたいな状況ね。
つまり、家人も犬もいない日があって、
その日は自分ひとりなわけ。
それはね‥‥訪れるね。 |
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ああ、訪れますねぇ。
ぼくは、たとえば、
大きなインタビューが終わった瞬間。 |
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「おつかれさまでした!」って
現場が終わった瞬間は‥‥訪れます。 |
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訪れるねぇ(笑)。
あと、なんだろな、いくつかあるんだけど。 |
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細かいところでは、
出張の新幹線のなかで駅弁を食べ終わって
あの、座席の机をパタンと戻して、
さて、デッキで一服‥‥。 |
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それから、真冬のラーメン屋。
武蔵とか、よく行くラーメン屋さんを
「ごちそうさま」って出た瞬間。 |
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ぼくも、つい最近見ましたよ。
2ヵ月くらい前かな。
夢の中で、「やぁっちまったぁー!」。 |
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やっちまったぁーってなりますよね(笑)。
そうそうそうそう。
最近見る夢は、だいたい吸ったあと。 |
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そうそう、吸い殻を見て、
「ありゃー!」ってなるの。 |
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あの、話しましたっけ?
ぼくが、タバコをやめた当初に見たおかしな夢。 |
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やめてるときって、
体が、あの手この手で、夢の中の自分に
タバコを吸わせようとするじゃないですか。
でも、夢の中の自分って、
けっこう現実っぽく振る舞うから、
ふつうには吸わないんですよ。
夢の中でも必死に我慢しちゃう。 |
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そんなときに見た夢なんですけど、
こう、あたり一面、霧で真っ白なんですよ。
もやーーーっとしてる。
で、そこに知り合いが何人かいて。 |
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その霧をよく見ると、あちこちで、
パチパチ、パチパチって、
線香花火みたいな火花が起きてるんですよ。
で、そばにいた誰かが
「この霧はね、火に触れると
キレイな火花を散らすんだよ」
って教えてくれる。
で、ぼくが「へー!」って驚くと、その人が
スッとタバコとライターを取り出して、
「やってみる?」って。 |
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で、ぼくは、「あ、ありがとう」つって、
くわえてシュボって火つけて
パチパチってなる火花を見て
「ほんとだ‥‥‥‥うわぁあ!」って。 |
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おもしろい(笑)。
あなたの体はさ、
あなたの性格をほんとによくわかってるね。 |
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こんなときに吸いたくなるっていう
シチュエーションの話は、
ほんとはもっとあるんだろうなぁ。 |
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あと、やめたあとは、
「自分が吸う人だったら、
ここは面倒くさかっただろうな」っていう
シチュエーションがたくさん目につくよね。
もう、わかりやすいところでいうと
飛行機の中とかね。 |
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やめたころの糸井さんの話で覚えてるのが、
よその会議室とか社長室で、
「オレにだけ灰皿が出てくるんだよ」って。 |
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そう、あれはいやだったな。
ほんとは禁煙なんだよなっていう場所で、
自分にだけ灰皿が出たりする。
‥‥ああ、思い出すなぁ。 |
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そう、けっきょく、そういう
現実的な問題の積み重ねなんですよね。
なんか「健康のために」とかいう
大きな動機ではなかなか難しいんだけど。 |
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当時の糸井さんの話でよく覚えてるのが、
職場を禁煙にするかどうか、
みたいな話をしてるときに、
「きみらがつかってる灰皿を
誰が洗ってるか知ってるか?」
って言ったんですよ。
「あれは、毎朝、モッキー(総務の元木)が
洗ってるんだぞ」って。 |
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あれはグサッときましたね。
モッキー、タバコ嫌いに決まってるし。 |
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はい(笑)。なんていうか、
「灰皿の吸い殻を捨てる」くらいのことは
自分たちでやってるつもりでいたんですけど、
「その灰皿をキレイに洗ってる人」までは
考えが及んでなかったんですよね。 |
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だいたいそうなんだよ。
タバコにまつわるそのへんのことは、
吸わない人がキレイにしてるんだよ。 |
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それは、タバコという汚いものを
駆逐しましょうということではなくってね。 |
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そう、そこは、
最初に言っておいたほうがいいかもしれない。
あの、ややこしいようだったら、
編集で最後のほうに回してもいいけど、
とりあえず、しゃべりますね。 |
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タバコについて、最近思ったことなんだけど、
タバコを吸うことがまるで犯罪であるかのように
扱われはじめてから、
いろんなことが変わったなぁって思ってるんです。
つまり、毅然とした意志で、
「正しくなろう」って人が、正しいことを思って、
それを実行していくのは可能なことだって、
思われすぎてるような気がするんです。 |
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さまざま、悪いことはいっぱいあるんですよ、
人間の社会にね。
どんな時代においても、
「それはいけないだろう」
って言われるようなことから、
時代によっては「いけない」って言われてたけど、
いまは逆に大丈夫だったりね。
あるいは、いま、いけないとされてることで、
昔だったら自慢話になったようなことだとか、
もう、山ほどあるわけですよ。 |
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そういう、さまざまな悪いことがあるなかで、
ぼくは、基本的には、
「鬼の首でも取ったかのように主張する正しい側」
には、立ちたくない。 |
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それは、時代や状況が変われば、
どうなるかわかんないんだよっていう気持ちが
根本のところにあるからね。
だから、そこのところについて、
否定するわけじゃないけど、自分では、
あまり言いたくないって気持ちがある。 |
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で、自分がタバコをやめることについても、
そこのところは、なるべく気をつけようと思った。
で、ただ、まぁ、なにが迷惑かってことについては、
だんだんわかってきますから、
それこそ、モッキーが洗う灰皿のように、
考えるべきところは考えようと。
ただ、もっと大きな枠の話として、
巷のタバコの煙とともに、
さまざまな人間の理不尽な行いが、
消えていったなぁっていう思いがあって、
いつごろからこうなったっけ、って感じることが
最近、けっこうあるんですね。
たとえば、なんだろうな、
いつごろからこんなふうにみんなが
いろんなことに目くじらをたてるように
なったんだろう、とかね。
文句を言われそうになったときのために
あらかじめ書いておくたくさんの警告文とかさ。
そういうことと、タバコがなくなったことは
時期的にも意味的にも重なってる気がする。
やっぱり、タバコがなくなることで、
世の中はよくなったんだろうし、
クリーンになったんだろうけど、
それと、いままでの人の歴史っていうのが、
ちょっとバランスを壊しつつあるように見える。
で、一方で「タバコは文化だ」っていう
言い方もあるんだけど、
文化だっていう正当化というか、かばい方も、
ちょっと違う気がするんですよね。
そのあたりは、どうも、ものが言いづらい。
だから、そこについて自分は、どういう考えで、
どういうふうに感じるべきかっていうのは、
もう、ほんとに知性で感じるしかないというか。 |
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ああ、その話はたしかに
最初に言っておいたほうがいいですね。 |
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だから、7年前、糸井さんが禁煙したとき、
ぼくら、本を出そうとしたじゃないですか。
求められてると思ったし、
おもしろい本になるに決まってると感じたし、
実際、よその出版社からいくつも
本にさせてくださいっていう話もあって。
でも、あの本を出すっていうことに
踏み切れなかった大きな原因が
いま糸井さんがおっしゃったことじゃないかと。 |
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まさに、そこですね。
だから、いまになって、
やっぱり簡単には言いづらいことなんだ
っていうことが、ようやくわかるというか。 |
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で、一方で、ちゃんと言えることもある。
それは誰にとってもよくない、みたいなことね。
さっきの、その灰皿を誰が洗ってると思ってるんだ、
っていうあたりとか、
タバコをみんなで吸ってる部屋にいたときに、
吸わない人の嫌煙権みたいなこと論じ合う前に、
その、タバコのにおいがついた服を
「うわー、これ、どうしよう」
って思ってる人のこととかね。
そういうふうに、ある種の想像力をつかって、
やっぱり、自分たちの現実的なことばに、
もう一回、翻訳すべきだと思うんです。 |
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ひとりがひとつずつ、
きちんと腑分けして考えていく。
それが必要なんじゃないかなあ。
それを、まずは、言っておきたいですね。 |
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それを前提として言っておくと、
のびのびと具体的なことがしゃべれますね、
タバコの両方の側を知っている立場としては。 |
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(つづきます) |
2010-10-12-TUE |