糸井 |
恋愛は変態の第一歩っていうの、
ほんとによくわかるんだけど、
それって、どうしても
理解されにくいですよねぇ。 |
タモリ |
されにくいですねぇ。
まぁ、ことあるたんびに
ぼくは言っているんですけども。 |
糸井 |
(笑)つまり、1月から12月、
どの日でもできるっていうこと自体が
もうすでに、自然ではないわけですから。 |
タモリ |
ええ、そう、自然じゃないですよ。
思い立ったら吉日みたいなところがあるでしょう?
あれは、おかしいですよ。 |
糸井 |
うん。もう、食を考えるのとおんなじように、
性についても考えるのが人間ってもので。
で、考えたときに、相手の価値観と合わないときには、
それは「変態である」と指弾されるわけですよね。 |
タモリ |
ええ、されるわけです。 |
糸井 |
おかしいですよね。 |
タモリ |
おかしいですよ、それ。 |
糸井 |
自分も相手も
「わたしもその豆腐はうまいと思う」
っていったときには、とてもうまくいくんですね。 |
タモリ |
そうなんです。 |
糸井 |
お互いに所有格の関係になってない場合には、
それは反則なんですね、また……。 |
タモリ |
(笑)そう。まあ、性欲と食欲、2大本能で。
食について凝るやつはグルメといわれ、
性について語るやつはスケベといわれてしまう。 |
糸井 |
そうそうそう(笑)。 |
タモリ |
これはおかしいですよ。
で、女性は99パーセント変態じゃないんですよね。 |
糸井 |
うん、女性っていうのは、食い物についても、
ほんとは変態じゃないと思うんですよ。
「体にいいものを食べる」
なんて、本気で言ってますよね。 |
タモリ |
うん、変態じゃないですね、あれは。 |
糸井 |
はぁ、そういう、そういう心を持ちながら、
我慢に我慢を重ねて、思えば、
この歳まで生きてきました、ということですが。 |
タモリ |
ええ、そうですね、ええ。 |
糸井 |
あの、法律を犯してまで、
戦いに挑んでいこうっていう気は、
タモリさんには、ないんですね。 |
タモリ |
ないです。
これがないんですよ。
ぼくはそのへんがもう、
男らしくないし、ひじょうに優柔不断であるし。 |
糸井 |
かつて、その、
梅原北明(珍書屋)だとか、
高橋鐵(性研究者)とか、
「どうかと思う?」ってなったら、
戦おうとしちゃった人、いたじゃない? |
タモリ |
ええ。ぼくは戦わないですね。 |
糸井 |
性なんかのことで?(笑) |
タモリ |
ええ。 |
糸井 |
おかしいですよね、戦いもね。 |
タモリ |
ええ。ぼくは、あの、弱者の理論ですから。 |
糸井 |
(笑) |
タモリ |
生き延びるっていう方向を選ぶわけですね。 |
|
(つづきます。) |