糸井 |
高田純次は美術系だけど、
タモリさんも、心は
ちょっと美大系のところはないですか? |
タモリ |
あ、ぼく、美術好きですよ。 |
糸井 |
やっぱり。 |
タモリ |
絵好きですし。 |
糸井 |
あの、地図にいったりするのも
(タモリさんは地図好きである)
その、そんなとこからきてるんですか? |
タモリ |
ええ、そうですね。
地図、美しいと思うんですね、まず。 |
糸井 |
あれ、「考えと生活の結晶」ですもんね。
つまりここに誰がいて、どう区割りされてて、
そのテリトリーの中で
何がどう動いたかなんていうのは、
神様の視線でしょう? |
タモリ |
そういうことなんですよ。
だから、蟻が初めて3次元の世界を体験するのと、
同じだと思うんですよ。
そのことを言ってもね、
意外とみんなわかんないんですよ。 |
糸井 |
ただ、地図マニアは、どうも、それとは
違うこと考えてるみたいなんですよね(笑)。 |
タモリ |
そうそう。地図マニアはまた違うんだよね。 |
糸井 |
違うこと考えてるみたいなんです。
で、タモリさんはおそらく、
蟻の穴を横から見ているのとおんなじように、
たぶんあそこに、人が動いてるんですよ。 |
タモリ |
ええ。そういうことなんだよ。
あ、初めてわかってもらえたと思った。 |
糸井 |
ほんとに? よかった(笑)。 |
タモリ |
誰もわかってもらえないんですよねぇ。
いや、こういうおもしろさだよって言っても、
わかんないんです。 |
糸井 |
うん、すっごい粗雑な世界地図とかも、
その時代の人の脳味噌の中身が
見えてくるわけだから。 |
タモリ |
ええ。 |
糸井 |
その時代の
人の世界の広さとか。おもしろいですよね。 |
タモリ |
ええ、面白いですよ、それ。
ほんとに神の視線ですよ、あれは。 |
糸井 |
タモリさんは美大系で……。
でも、実際に行った早稲田では
ぜんぜん違うんですよね。 |
タモリ |
ぜんぜん違います。 |
糸井 |
生活に必要のないものにいくなって、
親に言われたんですか? |
タモリ |
親、親には「ムダだ」とか、
よく言われてたですね。
「ムダだろう?」って、よく言われた。
「どこがおもしろいの?」とか。 |
糸井 |
学校は政経とか? |
タモリ |
ぼくは文学部ですよ。 |
糸井 |
あ、もうすでにムダですね。 |
タモリ |
ええ、無駄ですよ。
文学部哲学科ですからね。
「なんで?」と言われたですよ。 |
|
(つづきます。) |