糸井 |
だって、あの、夜店の屋台とか、
金魚すくいとか見てると、九州人って……。
あの、どうしてそんなに金魚が必要なんだって。
ウナギ釣りだとか。 |
タモリ |
ウナギ釣りっていうのは、全国あそこだけですよ。 |
糸井 |
ぼく、友だちと何万円か使いましたよ、あれで。 |
タモリ |
(笑)それで、
俺の友だちでウナギ釣りの話になったら、
ウナギ釣りの名人がいたんですよ。
そいつから講義を受けたんだけどね、
「あんたがたは、ウナギの習性を知らない」と。
「すくうやつは、ウナギの自重では
絶対切れるように作ってある。
それは当たり前だ。
で、それを強くするには、
ウナギの、この、ネバネバを付けることだ」と。 |
糸井 |
ほんとかよぉ!(笑) |
タモリ |
ほんとらしい。
それで、ウナギをこうやって、
勢いがないのを素人は狙う。ダメだ。
勢いが、上から2番目か3番目を狙う。
それでこうやって、角にコーンってこうやって、
角にまず当てるんですって。コーン。 |
糸井 |
打撲を与える(笑)。 |
タモリ |
うん、コーンって。
で、ウナギの様子を見るんです、こう。
で、コーン。
で、今度、ちょっとこう角で引き上げてやる。
またコーンとやって、ちょっと引き上げて。
で、コーン、で、ちょっと引き上げて……。
で、そうすると、ウナギ、そいつが言うには、
もうウナギがもうイライラして、
もう、ストレスの極限までいって、
次にポッてやったときに、
「登ってやれ!」と思うらしい(笑)。 |
糸井 |
もう糸と関係なく(笑)。 |
タモリ |
(笑)そう。
「こんなにイライラするんだったら、
もう登ってやれ!」って。
そうすると、自分で登ってくれるって。 |
糸井 |
ちょっと、そんな気もする。 |
タモリ |
うん。それで行ったら、
ほんとに釣れるんです、そいつ。 |
糸井 |
はぁー。 |
タモリ |
それで、あれ、おかしいのに、
ウナギ釣りっておかしい。
金魚釣りならまだわかるじゃないですか。
金魚きれいで、家に持って帰って飼おう。
なんであれ、ウナギなの!? |
糸井 |
結局、景品が、
蒲焼きにして食うだけなんですよ。 |
タモリ |
そう。で、横でもう七輪があるんだよね。 |
糸井 |
(笑)そうそうそう。
別のウナギを、もうさばいてるんですよね。 |
タモリ |
(笑)あれ、すっごいまずいんだよ。 |
糸井 |
うん。ところが、
ぜんぜん釣れないで糸切っては、
「おじさんっ、もう1本!」ってやってるときには、
隣りで食ってるウナギがうまそうに見えて……。
あれはもう、とにかくたまんなく腹が立ちましたね。 |
タモリ |
あれ、ウナギ釣りはちょっと高いんですよね。 |
糸井 |
あ、いちばん高いですね。
1回千円ぐらいしたんですかね。 |
タモリ |
うん、けっこう高いんですよ。 |
糸井 |
高いです。
だから、ウナギって、価値があるんですね。
で、金魚は、そんなでもないですね。
でも、あんなに何軒もある必要はないですよね。 |
タモリ |
ないです。あれはおかしい。 |
糸井 |
福岡中、金魚鉢だらけですよね、あれだったら。 |
タモリ |
うん。他、見たことないですよ、あのウナギ。 |
糸井 |
おかしい、あの街は。 |
|
(つづきます。) |