タモリ先生の午後。
こんな職員室があればいい。


糸井 九州の屋台に行くと、
どうして九州の人は、
順番に自分の話しかしないのかっていう……。
まぁ、ウチにもそういう社員いますけど。

そういう人って、相手の話に
対応してるように見えて、
自分の話をしてるんですよ、結局は(笑)。
タモリ はぁはぁ。
糸井 屋台のおやじを含めて。
タモリ そうかもしれないですね。
糸井 参加できないようになってるんですよ。
順番に自分の話だけして、
「あいつはよか男ばい」って……
聞いてくれるからいい男なんですよ(笑)。
タモリ あー、そうかもしれない。
糸井 だからタモリさんみたいに
博多で遊んでいながら、
聞き役の仕事をしてるなんていうのは、
もう、なんか、ミュータントですよ。
タモリ これはね、あの、ま、福岡県自体が、
とにかく特殊なんですけども、
4つの地域、北九州地区と筑豊地区と、
博多地区と筑後地区に分かれるんですよ。

それで、ま、初対面で、
「福岡ですってね」
「ええ、福岡です」
「どちらですか?」
「博多です」
「北九州です」
おたがいがそこで違うと、
あ、これは、他の県の人だな、
って思うんですよ、福岡県人は。

北九州の人は博多っていうと、
あ、違う人種だな、と思う。
それぞれに4地区ともに。
だから、同県意識っつうのは、
あんまりないんですね。
糸井 へぇー。戦ってんですかね?
タモリ 博多取ると、博多グループと福岡グループと、
周辺郡部グループに分かれるんです。
ややこしいですよ。
糸井 地元の人には、
しっかり見分けがついてるんですよね。
タモリ ええ。
福岡グループっつうのは、
ま、俺なんか福岡グループなんですけれども、
まぁ、郊外のグループなので
鷹揚に構えてるんですけど、
いちばんセクト主義なのは博多グループなんです。
糸井 入れないぞ、と。
タモリ ええ。博多の山笠やってる地区だけは。
それであの、武田鉄矢が、今じゃ市ですけども、
昔、筑紫郡という、ま、郡部で。
糸井 ああ、郡部ね。
タモリ で、あれが、その、博多弁使って、
「博多の男たい」というふうにやるでしょ?
許せないらしいんですよね(笑)。
糸井 (笑)ニセもんだと。
タモリ 「あいつは郡部生まれじゃないか」と。
福岡はそれを聞いて驚くわけですよ。
なんでそんなことに
こだわってるんだろうかっていうふうに。
糸井 (笑)
タモリ 福岡のほうは、意外と、祭は見に行くけども、
そんなに熱心に参加しないんですよね。
糸井 ちょっとクールなんですか?
タモリ うん。
糸井 ぼくの知ってる屋台の連中っていうのは、
とにかく自分の話しかしないんです。
タモリ あ、そうですよ。あの、博多町中はね、
あの、そういう人多いですよ。
だから、知らずにつきあってると……。
糸井 (笑)あぶない?
タモリ まぁ、そうなりますね。
  (つづきます。)

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2004-01-11-SUN

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