最終章(前編)を観て
永田 はい、観ました!
西本 よろしくお願いします!
糸井 よろしくお願いします。
永田 ええと、まず、
いちばんの感想を言わせていただくと、
なんと、来週、最終回!
西本 率直に言って、もう終わりなのか! と。
糸井 いや、驚きましたね。
永田 ここでお断りしておきますけれども、
この企画、まったくもって我々は
ただの視聴者として参加していますので
そういった前情報はまったく入ってません!
西本 テレビ局の人といっしょになって
なかよくつくっていると思ったら大間違いです!
ただ、テレビをふつうに観て
ふつうにしゃべってるだけなのです。
糸井 事実、ぼくのスケジュールは、
3週間くらい先まで、毎週月曜は
「『華麗なる一族』雑談収録」として
時間をおさえてありましたからね。
西本 今日、スケジュール担当の小池ちゃんが
あわてて予定変更してましたよ。
「え、来週で終わりなんですか」って。
永田 それくらい慌てている男子部です。
西本 日曜日に家で観てて、
「最終章(前編)」って出たときは
ほんとに驚きましたよ。
糸井 意外にここから、
「最終章(前中編)」「最終章(前後編)」
というふうに続いていくというふうには
考えられないですかね。
永田 考えられないでしょう。
糸井 「開局55周年」がありなら、
「最終章(前中編)」だってありじゃないですか?
永田 なしでしょう。
西本 「来週は90分スペシャル!」って
はっきり案内も出てましたしね。
糸井 だから、来週は90分、そのつぎが120分‥‥。
西本 無理でしょ。
永田 無理でしょ。
糸井 無理だよなぁ。
永田 ていうか、まさか全10話で
終わりとは思ってませんでしたから、
我々も雑談の配分を間違いましたね。
西本 いえてます。
もう3話くらいはあるだろうというつもりで
のびのびとイノシシの話をしてました。
糸井 そうなんだよ。
こんなんじゃ、ただの妄想雑談コンテンツだと
全国のみなさんに誤解されてしまいますよ。
永田 みなさ〜ん、ぼくら、
マジメな話もできるんですよ〜。
西本 イノシシの話はちょっとした遊びなんです!
糸井 イノシシで遊んで、
やっと肩があったまってきたかな、
というところだったのにね。
西本 つまり、肩があったまるまで
のらりくらりとカーブやフォークボールで
組み立てていたわけですよ。
糸井 ぼちぼち140キロ台後半のまっすぐで
押していこうかなと思っていたら‥‥。
西本 「もう、九回裏なんですけど」
と呼びにこられちゃった気分です。
糸井 そしたらもう、イノシシの変わりに
クルーン出すしかないじゃない!
西本 TBSだけにね!
永田 野球を知らない人には
なんのことだかわからないと思いますが、
クルーンは、横浜ベイスターズの抑えの投手です。
そして、横浜ベイスターズの親会社がTBSなんです。
糸井 ていうか、こういうやり取り全体が、
ちっともマジメじゃないというか、
雑談の極みというか、
もう、完全にフォークボールじゃないですか?
西本 ええ。むしろ、ナックルです。
ニークロです。
永田 ニークロは、メジャーリーグで
ナックルを得意とした大投手です。
投球のほとんどがナックルだったといいます。
糸井 ドラマの話をしなくていいんですか。
永田 というか、本編よりも先に、
来週の予告編のことを話したい気分なんですけど。
西本 おっと、いきなり敬遠だ!
永田 野球から離れろって。
糸井 話せばいいじゃないですか、
予告編についてでもなんでも。
永田 じゃあ、言いますよ。
糸井 どうぞ、どうぞ。
永田 鉄平は、死んじゃうの?
糸井 子どもみたいなことを言うんじゃありません。
西本 死ぬんスか?
永田 死ぬんでしょ?
糸井 って、オレに訊くなよ!
永田 死んじゃうのかなぁ。
西本 死ぬふうでしたね。
永田 どうなんですか、糸井さん!
糸井 だから、オレに訊くなよ。
西本 あそこまで予感させておいて、
もう、いまさら
「死んだのはイノシシでした!」
とは言えないですよ、糸井さん。
永田 もう、そんな変化球は通じませんよ。
最後に死んだイノシシを前にして
「今夜はボタン鍋だな、わっはっは!」
なんていうラストシーンはありえない。
糸井 だから、そんなこと言ってないよ。
永田 じゃあ、どうなるんですか!
西本 来週で終わっちゃうんですよ!
糸井 いや、まいったな。
じゃあ、そこまで言うなら、
オレもイノシシを出すけどさ!
永田 出すのか(笑)。
西本 出すのか(笑)。
糸井 いや、マジメな話、これまで我々は
第1話の最初の雪山の場面が、
ラストシーンになると思っていたわけでしょう?
あそこから大きな回想に入っていったわけですから。
つまり、あたまとおしりはイノシシだと。
永田 そうじゃないかなぁと話してましたね。
糸井 で、あのイノシシが、
三雲頭取といっしょにいたときに
撃ったイノシシではないかと。
あるいはその子どもではないかと。
西本 いえ、それは我々が広げただけの話です。
糸井 もし、鉄平が死んじゃうとしたらさ、
あのシーンはどうなるの?
永田 雪山にひとりで猟銃持っていって、
そこで果てちゃうとか?
糸井 自殺ってこと?
永田 それか、イノシシに返り討ちにあって?
糸井 そんな展開になってほしいんですか。
永田 イヤですよ!
どうして『華麗なる一族』のラストが
「鉄平、イノシシに返り討ち!」なんですか。
西本 イノシシに返り討ちにあった鉄平を前に、
泣き崩れる長谷川京子!
糸井 いや、死ぬと決まったわけじゃないだろう。
雪山に入っていって、イノシシと対峙して、
じっくり自分を見つめ直して、
世捨て人みたいになっちゃうのかもしれないよ?
もう、鉄鋼はやめて、イノシシ一本に絞るとかさ。
永田 「イノシシ一本に絞る」の意味がわからない。
糸井 ようするに山で暮らすわけだ。
いわゆるマタギにでもなって。
西本 専務からマタギへ!
華麗なる転職!
糸井 「これからは世界をマタギます!」と言いながらな。
永田 だからね、もうね、
そんなふざけたことを
言ってる場合じゃないんですよ。
西本 「マタギはやめて!」と泣き崩れる長谷川京子!
永田 黙れ。
糸井 でも、長谷川さんは最終的にはついていくんですよ。
「私は、万俵鉄平の妻ですから」と言いながらね。
西本 「万俵鉄平(マタギ)の妻ですから!」と。
永田 ふはははははは。
糸井 小さな山小屋かなんかを建てて、
ふたりでひっそり暮らすわけだね。
西本 ときどき雨漏りとかを直しながらね。
永田 雨漏りを直すときは
ささっと鉄で溶接したりしてね。
西本 技術はあるだけにね。
糸井 もう、言っててむなしいでしょ、そういうこと。
永田 そっくりお返しします。
西本 そっくりお返しします。
糸井 ていうか、どう納めるんですかね。
いずれにせよ、悲しいことになりそうですね。
永田 裁判はどうなっちゃうの?
負けちゃうのかな。
糸井 いや、あの裁判はね、負けますよ。
永田 どうしてですか。
銭高専務がせっかく証言したのに。
糸井 具体的なことはわかりませんけどね、
全体に未熟ですよ、阪神特殊製鋼の人たちは。
大介側からの立場であの裁判を見ているとね、
鉄平たちの弱点がはっきりとわかりますよ。
西本 といいますと?
糸井 あいつらは、思ってることが顔に出すぎる!
ふたり わははははは。
糸井 あんなふうに一喜一憂していたら、
手の内がバレバレですよ。
もしもぼくが大介だとしたら、
あいつらが喜んだことだけを
潰していけば勝てるな、と思いますよ。
永田 銭高専務が登場したときは
みんな大喜びでしたからね。
糸井 もう、銭高専務だけが頼りです、
と言っているようなもんじゃないですか。
まあ、鉄平だけはなんとか感情を抑えて
理念を訴えることで説き伏せようとしてましたけど、
外野の人たちは一様にダメですよ。
長谷川京子さんも、万俵鉄平の妻なら、
あんなに素敵な笑顔を見せちゃいけません。
西本 工場長と息子も喜んでましたね。
永田 関係ないけど、あの息子は
親父にしがみつきすぎじゃないだろうか。
糸井 あとさ、「四々彦」と書いて
「よしひこ」と読ませる
あの名前には無理がないか?
永田 いまさらそんなこと言いますか!
西本 原作の山崎豊子さんが
数字にちなんで名づけていったんですかね。
一子、二子ときて、四々彦と。
糸井 「三」は?
永田 「三雲」?
糸井 あ、「三雲」! 「五」は?
西本 「五」から先は、
ずーっと飛びまして‥‥「万俵」と。
糸井 飛びすぎだ。
永田 飛びすぎだ。
糸井 ええと、なんの話だっけ。
永田 鉄平側の人たちは
感情が顔に出すぎだと。
糸井 そうそうそう。
西本 一方、阪神銀行側は表情ひとつ崩しません。
糸井 そうなんですよ。
彼らはやっぱり試合慣れしてますよ。
こういう舞台ではベテランの
大亀専務のような人の存在が心強いですよね。
永田 ああいう修羅場は
くぐりまくってきたんでしょうね。
糸井 同じ阪神銀行側でも、
「千客万来、商売繁盛」の
名刺を持ったままの鶴瓶さんは
あからさまに顔に出ちゃうわけだ。
西本 神戸経済新聞にも
「綿貫専務、小物ぶりを露見!」と
一面に書かれかねません。
永田 あいかわらず詳しすぎるぞ、
神戸経済新聞。
糸井 しかし、来週が最終回だとすると、
あの名刺はどうなってしまうんでしょうかね。
西本 どういうわけか証人として呼ばれた
鶴瓶さんが裁判長に向かって
「じつは、こんな名刺あるんですけど‥‥」
と言ってあの名刺を差し出すとか。
糸井 で、名刺をひっくり返してみると、
「千客万来、商売繁盛」と。
永田 法廷大爆笑。
裁判長もゲラゲラ笑いだして、
「鶴瓶ちゃん、いいから早く、
 その名刺をしまいなさい!
 15分休廷! わっはっは!」
西本 裁判長もつい「鶴瓶ちゃん」と。
糸井 一方で、大介は、
「私の発言は矛盾しておりません」ですよ。
西本 返す刀で三雲頭取をばっさりやりつつ。
永田 「無念でなりません」と絞り出すように。
西本 あの「無念」発言はすごかった。
糸井 勝てるわけがないでしょう、あんな人に。
西本 ですねぇ。
永田 もしくは、あの裁判そのものは
鉄平が勝つかもしれないけど、
会社の存続みたいなことで
圧倒的に負けちゃうのかもしれないですね。
糸井 勝っても笑えない展開、という感じでね。
もしくは、まあ、いろいろあって、
「本当に勝ったのは、
 おまえかもしれないな、鉄平‥‥」と
大介が空に向かってつぶやくとか。
永田 ってことは、やっぱり
鉄平は死んじゃうんですか!
糸井 だから、知らないってば。
西本 死んじゃうんスかねぇ。
永田 ていうかね、なんかもう、
来週どうなってもイヤだなあ。
糸井 子どもみたいなことを言うんじゃありません。
西本 でも、その気持ちはわかりますよ。
なにしろ、あの予告編ですからね。
永田 もう、極端な話、
会社とか鉄とかは、どうなってもいいけど、
死んじゃうのはイヤですね。
糸井 子どもみたいなことを言うんじゃありません。
永田 死なずに終わりますように。
糸井 いや、オレは死なないと思ってるよ。
たとえばアメリカに行くとかさ、
必ずやり直すというような
別れ方をしてほしいですよね。
西本 ぼくは、死んじゃうと思いますよ。
永田 そんな気、するよねぇ。
糸井 もっとさ、楽に考えましょうよ。
なんていうの、鉄平側のほうから考えるから
深刻になるわけでさ。
永田 じゃあ、誰の立場で考えればいいんですか。
糸井 ほら、多岐川裕美さんくらいの立場で。
西本 めちゃめちゃ壮絶な立場じゃないですか!
永田 人生の最後に万俵家の未来を思って
手紙をしたためるような立場ですよ。
糸井 違った、違った。
いや、浴衣だからさ、つい。
永田 どういう理由ですか、それは。
糸井 じゃあ、山田優さんの父親くらいの立場で。
永田 遠すぎてぜんぜんピンとこない。
西本 あれですよ、銀平の披露宴のときに、
大川さんのヤミ献金のことを
大介にチクった人ですよ。
永田 あーーー、いた、いた。
西本 でも、あのお父さんの立場も複雑ですよ。
重要な情報を教えてあげたのに、
娘がひどい扱いを受けて
戻ってきちゃったんですから。
糸井 ま、娘は家に帰ってきて
ずいぶん元気になったみたいですけどね。
西本 相子に向かって週刊誌をつきつけたりね。
前に一発平手打ちを食らってますから、
借りを返したかたちになりましたね。
永田 また細かいことを言いますけど、
あの場面、山田優さんは
階段を下りてくるあいだ、
ずっとあの週刊誌を持ってたんですかね。
糸井 そういう細かいことを言うな。
西本 そういう細かいことを言うな。
永田 だから細かいことを言いますが
と言ったじゃないですか。
糸井 細かいことを言いますがと言えば
細かいことを言っていいというわけじゃない。
永田 え、細かいことを言いますがと言っても
細かいことを言っていいわけじゃないんですか。
糸井 うん、細かいことを言いますがと言っても
細かいことを言っていいというわけじゃないんだ。
西本 もういい。そのパターンは、もういい。
糸井 ま、そういう、気になる部分はね、
このドラマに限らず、
つついていけば、いろいろあるんです。
永田 おっしゃるとおりです。
糸井 ということを前提にしたうえで!
ぼくは連ドラの世界の根底を支える要素を
ここで発表したいと思います!
いままで我慢してましたが、とうとう言います!
永田 どういうことですか。
西本 どういうことですか。
糸井 みんなが思っていても言わなかったことです!
来週が最後ということで、言っちゃいます!
連ドラをささえるものは何か!
連ドラからこのルールをなくしてしまったら
世界中の連ドラは消滅してしまうというほど
連ドラにとって重要なものです!
永田 あっ! わかった!
糸井 え? わかった?
西本 はい、じゃあ、永田さん、
その答えをお手元のフリップにお書きください。
永田 ねぇよ。
糸井 ねぇよ。
西本 じゃあ、そのへんにある紙に書いてください。
永田 じゃあ、これに書きますよ。
(サラサラサラ‥‥)
はい、書きました!
西本 書きましたね。
じゃあ、糸井さん、発表してください!
連ドラを支える重要なルールとは!
糸井 発表します!
‥‥‥‥「立ち聞き」です!
西本 はい、それじゃあ、永田さんの答え!
永田 こちらです、どん!
「ばったり出会う。
 こっそり聞いてる」
西本 大正解ーーー!!!!
糸井 あははははははは、
ほんとに当たってたか。
永田 前に、おんなじように考えたことがあったんです。
「ばったり」と「こっそり」がなくなったら
ドラマって成り立たないよなぁ、と。
糸井 もう、世界中のありとあらゆるドラマは
「ばったり」と「こっそり」でできてますから。
永田 ええ。むしろ連ドラというのは、
「ばったり」と「こっそり」を
たのしむものだと思いたいくらいです。」
糸井 小説とかだとね、その場面を直接描かずに
なんとかすることができると思うんですよ。
読者にゆだねるというか、
感づかせることで展開できたりするんですけど、
ドラマはなかなかむつかしいんでしょうね。
西本 結果、どうしても「ばったり」と「こっそり」が
連ドラの中には入り込むと。
糸井 今回はとくにそれがキーになってましたからね。
鉄平が「銭高さんはわかっているはずだ」と
話すところを偶然、立ち聞きするという。
永田 まさにそこしかないというタイミングでしたね。
西本 武田鉄矢がわざわざ家まで出向いて
「家から出ないように」と言ってるわけですよ。
そんな状況で会社に行くなんてことは
本来はないでしょうしね。
永田 そこに偶然鉄平がいて、
さらにたまたま四々彦が来ていて、
折しも銭高専務の話をしたときに
タイミングよく銭高が来たわけです。
糸井 ま、さっき言ったように、それはいいんです。
運命は運命でいいんです。
このドラマに限らず、すべて連ドラにおいて、
「人の集まるベンチ」はあると。
永田 ころりころげる「待ちぼうけベンチ」ですね。
糸井 そうです。
そこへウサギが跳んで出て
ころりころげることに
理由なんて要らないんです。
西本 ふっこなんて、連続「ばったり」記録を
ずいぶん更新してましたよ。
永田 「立ち聞き夫婦」こと美馬夫婦は
夫の秘密の話を立ち聞いた妻が
それを鉄平に話しているところを
さらに夫が立ち聞きするという状況でした。
糸井 まさに「立ち聞き三すくみ状態」ですね。
図に書きたいくらいですね。
西本 それでは、その図を、
お手元のフリップにお書きください!
糸井 いいから。
永田 いいから。
糸井 ま、そういう「ばったり」とか「こっそり」とか、
運命的なことはね、あっていいとはいえ、
まったく言わないのもどうかと思うので、
最後も近いし、あえて言わせていただきました。
永田 なるほど。
西本 ぐるっと回って裁判に戻りますが、
そういう「立ち聞き」みたいな運命的なことで
ようやく勝負になっているあたりが、
鉄平側の弱さともいえますね。
糸井 あれがさ、鉄平の策略だったら、
「ほう!」とうなったかもしれませんね。
永田 策略?
糸井 つまり、銭高専務が部屋の外で
立ち聞きしていると知っていて
あえて「あの人だって鉄鋼マンなんだよ」と
言ってみせるわけですよ。
西本 「立ち聞きシステム」を利用して!
永田 「立ち聞きシステム」(笑)。
糸井 そういうキレ味鋭い悪の一面を
鉄平がちらっと見せてくれたら、
また別のおもしろさがあるだろうなと。
だって、あのマシュマロじいさんの
血をひいてるわけですからね。
西本 「マシュマロじいさん」(笑)。
糸井 少なくとも大介と同じくらいは
悪い成分が鉄平にあっても
おかしくないんですよ。
永田 けど、もしも鉄平が意図的に
立ち聞きさせたんだとしたら、
きっと大介はさらにその
「立ち聞きシステム」を利用して
銭高専務の心を取り戻しますよ。
糸井 どういうことですか。
永田 つまり、今度は大介が、
阪神銀行の頭取室かなんかで大亀専務に
「銭高くんは、先日の証人喚問では
 あんなことを言ってしまったが、
 私は信じているよ。
 あの人の根っこは、銀行マンなんだ」
と言えばいいんですよ。
糸井 言えば、自動的に銭高専務が
立ち聞きしてくれるわけですね!
西本 恐るべき、「立ち聞きシステム」!
糸井 でも、「立ち聞きシステム」も
そこまで万全じゃないから、
一回じゃ成功しなかったりしてね。
永田 成功するまでトライするんだ(笑)。
糸井 「私は銭高くんを信じているよ!」
と言って、しばらく様子を見て。
西本 大亀専務がそっと廊下をうかがって、
「‥‥まだ立ち聞きしていないようです」と。
永田 「じゃ、も一回やろうか」と大介が。
糸井 「えー、私は、銭高くんを信じてるよ!
 ‥‥どうかね、大亀くん?」と。
永田 意外にめんどくさいな、「立ち聞きシステム」。
西本 改良の余地がありますね、「立ち聞きシステム」。
糸井 もう、言っててむなしいでしょ、そういうこと。
永田 そっくりお返しします。
西本 そっくりお返しします。
糸井 裁判以外のところはどうでしたかね。
にしもっちゃん恒例の
「長谷川京子チェック」はどうですか。
西本 今週は‥‥ダメでした。
めちゃくちゃ厚着してました。
永田 上までボタンぴっちりでしたね。
西本 もう、溜飲が上がりっぱなしです。
糸井 また「溜飲」の使い方を間違ってるぞ。
永田 「長谷川京子が厚着だったので、
 西本が溜飲を上げる」
西本 この例文は、男子部的には正解です。
糸井 どう考えても不正解でしょう。
永田 一方、「水色ふっこ」は、
出家したみたいな格好になってましたね。
西本 横恋慕レースから降りたぞ、ということですかね。
着物でしたが、いちおう今回も青系でした。
糸井 「着替えても 着替えても 水色」
永田 読者のみなさまにお知らせします。
非常にわかりづらいですが、
いまの糸井の発言は、種田山頭火の
「分け入っても 分け入っても 青い山」
が元ネタとなっております。
糸井 あ、思えば、ふっこは、
今週も「ばったり」でしたね。
連続「ばったり」記録を
さらに更新中じゃないですか。
西本 そうなんです。
しかもですね、みなさん忘れがちですが、
ふっこが住んでいるのは東京なんですよ。
永田 あっ、そうか。
西本 「つる乃屋」は東京にあるんです。
それを考慮すると、この「ばったり」は
そんじょそこらの「ばったり」じゃないんですよ。
糸井 つまり、東京からやってきて、
神戸の神社で「ばったり」してるんですね。
西本 そのとおりです!
糸井 ヒマなの?
永田 そういうことを言うんじゃありません。
西本 開店までに帰ればいいんじゃないですかね。
永田 そういう問題じゃないでしょう。
糸井 銀平なんかもわりと「ばったり」しがちですけど、
ふっことはレベルが違いますね。
西本 段違いです。格が違います。
永田 銀平は、どっちかというと「ワープ系」ですからね。
いろんな場所にひょっこり現れるという。
糸井 銀平は今週も酔いどれてましたね。
西本 見事な「酔いどれ課長」ぶりでした。
永田 酔いどれながら、
「飲まなきゃやってられないぜ」と、
なかなか言えないセリフを言ってましたよ。
書き文字で表現するとなんてことないですが、
あれを実際に言うとなると難しいですよ。
「飲まなきゃやってられないぜ」を
自分ならどういうふうに言うのか?
どうぞみなさん、考えてみてください。
糸井 ああ、それはいい試みですね。
たとえば学芸会で割り振られたセリフが
「飲まなきゃやってられないぜ」だった場合、
あなたならどうしますか? ということですね。
西本 ぼくだったら
「ぜ」を「っすよ」に変えてもらったりしますね。
永田 そりゃダメでしょ。
この「ぜ」は、意図して書かれた「ぜ」ですよ。
糸井 そのとおりですね。
その「ぜ」を表現するのが役者ってもんですよ。
西本 どうか学芸会で銀平役が回ってきませんように。
糸井 しかし、銀平という人は、
けっきょくすごくいい人でしたね。
永田 そうですね。
序盤は、どっちに転ぶかわからないぞ、
という印象でしたけど、
最終的には、純粋だけど弱い人、という感じで。
醒めてるかと思いきや心は熱い、みたいな。
西本 不幸になればなるほど、
人間くさくなるんですよね。
奥さんが家を出たり、
大介と鉄平のあいだで板挟みになったり。
永田 銀平が証人として法廷に立てば、
裁判には勝てるのかなと思ってたけど、
あの展開じゃ、それはなさそうですね。
糸井 「おまえには頼めない」と鉄平が言って、
早めにその芽を摘んでるかたちになってますからね。
ま、でも、裁判には勝つかもしれませんよ。
問題はそのあとでしょう。
永田 むー、どうなるんだろ。
西本 最近、にわかに武田鉄矢ファンに
なっているぼくとしては、
大亀専務の証人喚問がきちんと見たかったですね。
「以上です」みたいなところで終わってましたけど。
永田 きっと完璧だったんだろうね。
もう、用意したシナリオどおりに
完璧に答える、みたいな。
糸井 大介と大亀のコンビは強いですよ。
西本 格闘技的に見ても、
ああいう組み合わせのタッグが最強です。
永田 ブレない強さがあるよね。
格闘技ファンの人にさ、
「いまほんとに強いのは誰?」みたいな質問をすると
意外にスッと答えたりするじゃない?
西本 「いまいちばん強いのは大亀さんッスよ」みたいな。
永田 そうそう。
糸井 あのね、週刊プレイボーイで、
数々の名だたる男性たちが
人生相談のコーナーを担当してるんだよ。
吉本隆明さんもそうだし、
岡本太郎さんとか、リリーフランキーとか、
松ちゃん(松本人志)もやってるんだけど、
聞いた話によれば、歴代の相談役の中で、
いちばんおもしろかったのは大亀専務なんだって。
永田 へぇえええ。
西本 そうなんですか!
糸井 金八先生の印象が強いから、
なんか押しが強そうなイメージがあるんだけど、
じつはすごく柔軟で、
例え話がうまくてセンスもいいんですよ。
西本 それを聞くと思い当たります。
ラジオでのおしゃべりを聞くと、
すごくイメージが違うというか、
引き込まれるんですよね。
糸井 なんだろうね、あの人はね。
すごいというか、底知れぬ感じがありますよね。
西本 ドラマでも、ちょっと申し訳なさそうに
法廷の椅子に座っているだけで
すごく存在感があるんですよね。
永田 いつか何かやりそうだけど
何もやらないすごみ、みたいなやつね。
西本 そうですね。
糸井 気配がある、というかね。
永田 そんな賞はありませんけれども、
このドラマで助演男優賞をあげるとしたら、
我々とすれば、大亀専務に。
糸井 あげましょう!
助演男優賞、大亀専務!
西本 あ、それどころか、
こうは考えられませんか。
阪神特殊製鋼はもうダメでしょ?
糸井 まあ、ダメですね。
西本 愛人問題が噴出したりすれば、
大介もダメですよね?
永田 ダメです。
西本 で、最後に笑うのは大亀専務、
というシナリオはどうです?
糸井 あっ、それはいい!
永田 うん、そういうので終わっておきたい!
糸井 こう、頭取就任の挨拶かなんかで
平身低頭しながら壇上に立つ感じでね。
西本 阪神銀行での人望はもちろん、
意外に大同銀行のどの派閥にも精通してて。
糸井 謝りながら束ねていくというのはいいよね。
永田 それなら誰も文句は言いませんよ。
なんだかんだいろいろあったけど
すべてを解決したのは大亀専務だった!
糸井 それも、「オレが!」という感じじゃなく、
あくまでも、波風を立てないように、私が、と。
西本 「ま、今回は暫定的に、
 私が頭取をやらせていただくということで」と。
糸井 「暫定的に」ね(笑)。
永田 日銀派も生え抜き派も
いいバランスで配置してね。
西本 柳葉さんも、いいポストでいてもらうんだけど
「いまは何かと風当たりが強いですから
 表には立たずに、ちょっと引いた位置で
 私どもを見守ってくださいませ」と言って。
糸井 万俵の力も取り込んでおくんだろうね。
芥川さんを呼び戻して自分の右腕にしてね。
西本 見事な大亀采配ですよ。
永田 あっ、だから、「大亀銀行」なんですよ!
阪神と大同が合併すると、
名前をどうするか、もめるじゃないですか。
「阪神大同銀行」なのか、
「大同阪神銀行」なのか、とか。
そこで、いっそ新しい名前として「大亀銀行」!
糸井 「大同の『大』を取り、
 阪神を『亀』と考えて、
 『大亀銀行』としましょう!」と。
永田 「阪神を『亀』と考えて」(笑)。
西本 「阪神を『亀』と考えて」(笑)。
糸井 なんだかわかんないけど
言われてみればそんな気がするだろ?
「阪神を『亀』と考えて」!
永田 よくもそんなでたらめをふつうに言えますね。
西本 言われた相手が若い新聞記者とかだったら
絶対、真に受けちゃいますね。
「はぁ、なるほど、阪神を『亀』と」って。
糸井 津川さんが記者会見で宣言するわけだよ。
「まッ! いろいろあったけどネ!
 大同の『大』を取り、阪神を『亀』と考えて、
 来月から『大亀銀行』とします!」
永田 いいですねー。
西本 それは、いいっすねぇ。
永田 華麗だね!
糸井 『華麗なる大亀一族』!
西本 いやあ、その銀行は期待できますよ。
永田 うん、それがいちばん、いい。
糸井 あなたたちは、いま、心から
それがいいと思ってるでしょ。
西本 それがいいに決まってますよ。
永田 そうしてください!
糸井 となると、鉄平はアメリカ留学かな。
西本 大亀さんがしみじみ諭すわけですよ。
「鉄平ぼっちゃん、
 焦らずじっくりマサチューセッツで
 新しい鉄鋼研究を進めて、
 いつか必ず、私たちのために、
 いえ、日本のために!
 ‥‥帰ってきてくださいね」と。
糸井 で、鉄平が
「いろいろありがとう、大亀さん」と。
永田 マサチューセッツには、
ひと足先に渡米していた四々彦がいてね。
糸井 そりゃ、いいね!
永田 もちろん、二子もいっしょですよ。
糸井 もう、あの薄い手袋なんかとっちゃって、
ネルシャツかなんか着てね。
西本 「鉄平お兄さま、ご存じでした?
 こちらのカボチャは
 こんなに大きゅうございますのよ」と。
糸井 長谷川京子さんはどうなりますか。
永田 泣き崩れていたあの場面は、
空港でのお見送りシーン!
糸井 なるほど!
お母さんはどうなりますか?
永田 大介は失脚して家にいるわけですから、
ふつうに主婦ですよ。
ある意味、ようやく妻として。
糸井 そうか、そうか。
きっとあの豪邸には住めなくなってるから、
それまでお手伝いさんに任せていた
家事に挑戦したりしてね。
西本 「ホットケーキ、焼いてみたんですけど
 あなた、召し上がりますか?」と。
糸井 「‥‥うまいな」と大介。
西本 「おまえのホットケーキを食べるのは
 いつ以来かな‥‥」としみじみ。
永田 「ときどきは、お出ししてたんですけどね」と妻。
糸井 ときどきホットケーキを出していたときは、
食いながら相子と金玉を握り合っていたから
大介は気づかなかったんだろうね。
永田 食卓の下で足をごにょごにょしてただけで、
金玉を握り合っていたわけではありません。
西本 ていうか、相子に金玉ありません。
糸井 相子はどうしようかな。
永田 相子はウッチャンのところに帰るんですよ。
西本 ウッチャンじゃなくて広川太一郎です。
永田 ほんとは宮川一朗太さんです。
西本 姉と弟で、なかよく暮らします。
永田 めでたし、めでたしです。
糸井 でも、美馬は死ぬね。
ふたり 美馬は死んじゃうんですか!
糸井 壮大な物語の終わりには、
ひとりくらいそういう人が必要でしょう。
あ、でも、一子と離婚したあとね。
なんか、山っ気を出して、
危ない橋を渡ろうとして
流れ弾に当たっちゃったりして。
西本 で、一子はシングルマザーとしてがんばると。
糸井 女性運動に目覚めて政界進出なんていうのもいいね。
永田 没落したとはいえ、
万俵家のネームバリューは大きいでしょうから、
けっこう票が集まりそうですね。
西本 そういうパターンの立候補に人は弱いですよ。
永田 銭高専務はどうなるんですかね。
西本 無難な線で阪神特殊製鋼の財務とか?
永田 責任をとって自殺という線は?
糸井 いや、あの人は死なないよ。
だって、銭高専務の家は三角屋根ですよ?
ピラミッドパワーで守られた家に住んでる人が
死んじゃうわけないでしょう。
永田 なにを言ってるんですか。
西本 なにを言ってるんですか。
糸井 いや、三角の屋根が気になってたんです。
きっと、銭高専務の奥さんは
お絵かき教室をやっているに違いない。
永田 なにを言ってるんですか。
西本 なにを言ってるんですか。
糸井 ともかく、銭高専務は殺さないでください。
永田 あ、じゃあ、こうしましょう。
阪神特殊製鋼の現場で
バリバリやる人になっちゃうんですよ。
つまり、オレンジの作業着に袖を通して。
西本 阪神特殊製鋼の幹部じゃなくて、
現場の方に配属され直すと。
永田 現場のチーフくらいの役職で。
作業員が部品を転がしたりすると、
「それ、いくらすると思ってるんだ!」
と突っ込むようなコスト意識の高いチーフ。
糸井 「つい、昔のくせがぬけなくて」とね。
西本 あとは、誰だろう。あ、銀平は?
永田 銀平は、副頭取ですよ!
銀行家としての素質は十分です。
父の厳しさと兄の志を両方知ってます。
糸井 あっ、それでさ、銀平が、
「副頭取の万俵銀平です!」って
挨拶した瞬間に、カメラが切り替わるんだよ。
そこにいるのが、酔いつぶれた鶴瓶さん。
ふたり わはははははは。
糸井 例の名刺を振り回しながらね、
「ほんとは副頭取やったっちゅうの!」
とか言いながら泥酔。
西本 で、酔いつぶれた鶴瓶さんのそばにある名刺を
バーのママがひょいとつまみ上げ、
「なぁに? この名刺?」とひっくり返すと‥‥。
糸井 「千客万来、商売繁盛」!
永田 「千客万来、商売繁盛」!
西本 「千客万来、商売繁盛」!
糸井 これでだいたい全部おさまったんじゃないですか?
西本 これで行きましょう!
『華麗なる大亀一族』!
永田 よろしくお願いします!

2007-03-16-FRI