ほぼ日テレビガイドシリーズ  秋の連ドラチェック2009  あややとふたりのプロフェッショナル

まだまだあります、秋の連ドラ。
ペースアップしつつ、チェック!

サムライ・ハイスクール
日本テレビ系 土曜日 21時〜
出:三浦春馬 城田優 杏
── さぁ、どんどん行きましょう!
こんなペースだと、チェックするまえに
実際のドラマのほうが
どんどん進んでいっちゃいますよ。
あやや ヤバい、ヤバい、じゃあ、
『サムライ・ハイスクール』行きましょう。
荒井 テレビガイド誌を読むと、
下馬評的には1位ですね。
森下 やっぱり、三浦春馬さんの人気が。
あやや 人気なんですねー。
森下 あれ? なんか、
あんまり前のめりじゃないね。
あやや いや、なんでしょう、
若いのに実力があって、キレイな顔で、
大人気なのも理解できるんですが、
じつは、わたしがちゃんと
理解できてないんだろうな、
と思えることがよくあって。
荒井 へー、そうなんですか。
ふつうに、純粋に、
イケメンっていう感じがしますけど。
あやや イケメンです、イケメンです。
イケメンですとも。
ただ、なんていうか、キレイすぎ?
森下 絵とか、彫刻みたいってこと?
私もちょっと汚れが入ってたほうが
個人的にはグッとくるけど‥‥。
あやや わかります、わかります。
そういう意味では、
『恋空』のときの三浦春馬くんは、
ちょっと不良で、よかったんですよ。
森下 ああー、そういうことかー。
素がキレイな分だけ役にギャップが欲しい。
あやや そのときは、かなりつかまれてました。
だから、そういう面が出てくれたほうが、
ズバリな二枚目役よりもうれしいというか。
森下 あ、思い出した。
三浦春馬くんってね、
ジャニーズ事務所の人じゃないのに、
バック転できるらしいですよ。
それはちょっといいと思いません?
あやや え! すごい!
森下 すごいでしょ。
あやや だって、彼、
ぜんぜんバック転に頼ってないのに。
森下 でも、できんの、バック転。
あやや すごーい。
── わかります? 荒井先生?
荒井 なんだかわかるような、わからないような。
あやや わたし、ちょっといまの話で、
三浦春馬くんの株が再び上昇しました。
あの、わたしね、三浦春馬くんのこと、
すごく好きだったときがあるんですよ。
その昔。いっとき。以前。
「三浦春馬」って、自動録画の
検索キーワードに入れてたぐらい
好きだったときあるんです、彼を。
好きだった。彼が、ずっと。
── なに「ひとり三角関係」みたいなこと
言ってんだよ。
あやや でも、いまの彼は、
というか、最近の彼の役は、
バック転を活かしきれてない!
なんていうか、この子、やっぱりね、
すっごく、性格いいと思うんですよー。
それが顔に出ているところが、
いいところでもあり、
もどかしいところでもあり。
── なに「ひとり青春劇場」みたいなこと
言ってんだよ。
荒井 ま、けっきょく好きみたいですね。
森下 はい、そんな感じがします。
── 三浦春馬さん以外の話でお願いします。
あやや わかりました。
わたし、杏ちゃんには
たいへん感心しているんですよ。
杏ちゃんが誰かというと、
渡辺謙さんの娘さんですよ。
いうなれば、ケンズドーターですよ。
ケンズ・ドゥータァーですよ。
── ふつうに言いなさい。
あやや その杏ちゃんがいま
『華麗なるスパイ』に出てるんですけどね。
荒井 ああ、出てますね。
ってことは、連続でこの枠に出るんだ。
あやや あ、そうですね。
で、杏ちゃんは、きちんとした役としては、
『華麗なるスパイ』がほとんどはじめての
連続ドラマ出演だと思うんですけど、
これが、ちゃんとしてる。
荒井 うん。ちゃんとしてます。
あやや あの、いま芸能界には、
モデル出身の女優さんが
あまた、いらっしゃいますよね?
で、いちいち名前は挙げませんけれど、
いまはすばらしい女優さんとして
活躍してらっしゃる方でも、
こと「はじめての演技」となると
私たちの記憶に残るような
インパクトのある振る舞いを
過去、されてきたじゃないですか。
荒井 ああ、まぁ、そうですね。
「おいおい!」みたいな。
森下 なかなか、忘れがたい一撃を。
あやや 観る者にガツンと一撃を
喰らわしてきたわけじゃないですか、
モデル出身のみなさんは。
ところが、その点、杏ちゃんは、
さすがケンズドーターなんですよ。
もう、かなり、ちゃんとしてる。
あ、これは、モデル出身女優の
初出演のジンクスを超えたなと
わたしは思ったわけなんです。
荒井 たしかに、演技はしっかりしてますね。
森下 ただ、共演の城田優さんと合わせて、
高校生役としては
ちょっとオトナすぎるような気も‥‥。
あやや あの、お話中、ちょっとすいません、
これ、主人公の高校生が
「サムライに変身して悪を倒す」って
書いてあるんですけど、
ほんとに、サムライに変身するんですか?
荒井 いや、そういうわけじゃないでしょう。
ええと、だから、ふむふむ、
ああっ、ほんとにサムライに変身するんだ!
あやや でしょう? でしょう?
── これもタイムスリップ?
荒井 とは違うみたいです。
あやや だから、やっぱり、
サムライに変身するんですよ、高校生が。
で、悪いやつらをバッサバッサと。
すごいなー、これ。
ちょっとたのしみになってきた。
森下 かなり古いですが、トミーとマツ
(『噂の刑事トミーとマツ』1979年〜)
みたいなもんですかね。
── 古ーい。
あやや なんで変身するんですか?
どうなんって変身するんですか?
荒井 「ある日、図書館で古文書を読んだ主人公が
 窮地に陥るとサムライに変身するように」と
資料にはありますね。
あやや はははははは。
荒井 変身しちゃうのかー。
わりとむちゃくちゃですね。
でも、妙にたのしみですよ。
あやや いい、いい! ウケる、これ。
荒井 図書館で本読んで、
サムライになっちゃうのか−。
原作があるのかと思ったら‥‥ない。
オリジナルでこの設定はすごいですね。
あやや なんのためにサムライに変身するんですか?
森下 いや、だから、悪をやっつけるんですよ。
「勧善懲悪」って書いてありますし。
荒井 じゃあ不良をやっつけたり?
森下 そうみたいですね。
学園に巣食う、いじめ問題などに、
果敢に立ち向かっていく、と。
荒井 あ、じゃあ、
『ごくせん』的なことですかね。
あやや ああー、なるほど、なるほど。
でも、そういうのって、
じつはみんなすごく好きですよね。
ていうか、わたしもすごく好きなんですけど。
ほら、『静かなるドン』とか、
ふだんは弱いと思われてる人が、
じつは真の力を隠していて、
最後にその力を発揮してやっつける、
みたいな展開が。
── わかりやすいところでは、
『水戸黄門』とか『遠山の金さん』とか。
あやや そうそうそう。
荒井 『只野仁』もそうじゃないですか?
あやや そうそうそう。
わたし、大っ好き、そういう話。
森下 そういう意味では、
意外に観てみると王道なのかも?
荒井 そんな気もしますね。
森下 つけ加えますが、
小林涼子ちゃんってよくない?
あやや あ、かわいいですよね。
森下 うん。かわいいなぁって、
観るたびに思うんです。
あやや 『魔王』に出てましたよね。
森下 うん。
あやや 脇の人でいうと、金子ノブアキさんも、
いま、いい感じですよね。
森下 ああ、『ブザー・ビート』の人。
わたしけっこうこの人、好きかも。
あやや わかります、わかります。
存在感があるというか、
ちょっとおもしろい人が出てきたぞ、
っていう感じの役者さんですよね。
森下 そう。で、ちょっとセクシーという。
あやや ああー、そうですね。
ハンサムすぎないところがポイント。
森下さんがいうところの
「汚し」がちょっと入ってる。
森下 そうなの、そうなの。
荒井 わかり合ってるなぁ(笑)。
── わかり合ってますねぇ。
ROMES/空港防御システム
NHK 木曜日 20時〜
出:大倉忠義 安田章大 国仲涼子
あやや つぎは、ええと、これ行きましょう。
ええと、『ロメス』?
森下 『ロムズ』?
荒井 読めないですね、まず。
── ははははは。
あやや タイトルも読めないし、
内容もちょっと読めないんですよ。
森下 あややって、
ときどきおっさんくさいというか。
── いや、ときどきじゃないです。
あやや タイトルも読めないし、
内容もちょっと読めないんですよ。
── なんで2回言うの。
荒井 ええと、「ROMES」っていうのは
空港の警備システムの名前なんですね。
あやや テロとか、そういう話ですか?
空港でテロリストと戦うとしたら、
大きくいうと、あれですね、ほら、
あの、映画の、アメリカの、
ほら、頭の薄い人が、ひとりでがんばる‥‥。
森下 ‥‥もしかして、ブルース・ウィリスのこと?
荒井 ってことは、『ダイハード』?
あやや そうそう、『ダイハード2』!
空港で、テロと戦う!
森下 なんて大ざっぱな‥‥。
荒井 「頭の薄い人がひとりでがんばる」って‥‥。
ざっくりしてるなー(笑)。
あやや しかし、サブタイトルが
「空港防御システム」っていうのも
すごいですね。
森下 突然わかりやすい(笑)。
荒井 メインタイトルが読めないから、
サブタイトルを
わかりやすくしたんでしょうか。
あやや で、関ジャニ∞。しかも、NHK。
森下 でも、NHKって、意外に
ジャニーズの人たちをよく使いますよね。
あやや そう、そう。
で、もうひとつNHKっぽいなと思うのが、
「名誉空港長」っていう扱いで
ネコが出るんですよ。
あと、主人公の犬も出てくる。
なーんか、NHKって、
こういうことやっちゃうんですよねー。
わけわかんないなぁ、と思いつつ、
案外、こういう設定が、
うちの両親なんかにはウケるんですよ!
── はははははは。
森下 そこは、意識して取りにいってるのかなぁ。
うーん、ほんとに、想像つかない。
わかんないです、このドラマ。
あやや わかんないですね。
── ドラマファンの方々に質問ですけど、
「こりゃわかんない。読めない」
っていうドラマは、観るんですか? 
それとも、観ないんですか?
あやや 第1回目は観ます。
── ああ、じゃあ、「むしろ観る」んだ。
あやや はい。だって、わかんないから。
あと、「わかんない」のは、
「○○みたいなドラマ」って
いえない新しさがあるからで、
そういうドラマはやっぱり、まず観てみたい。
── なるほど。荒井先生は?
荒井 やっぱり、初回は観るんじゃないですか。
あやや っていうかね、正直、
ドラマの第1回はひと通り観ますね。
なんていうか、そこが、
第1次オーディションですよね。
荒井 そうですね。
森下 それは、ドラマをすごくよく
観てくださる人の意見ですよね。
初回をざっとひと通り観て、
徐々に観るドラマを絞っていって、
最終的に、1クール3本くらいになる。
あやや そうそう。
── そうなんだー。
あやや その意味でいうと、この秋の連ドラは、
けっこう強いタイトルが
そろってると思うんですよ。
最後まで観ちゃうドラマが多そう。
荒井 逆に、この夏は、ちょっと少なかったですね、
最後まで観ちゃったドラマが。
あやや ああ、そうですね。
でも、夏のドラマって、
なぜか毎年こんな感じじゃないですか?
なんか、理由があるんですかね?
森下 ええと、聞いた話ですけど、
なんか、昔は、プロ野球の中継が
絶対的に強かったから、夏は
「ドラマあんまり見てくれないんだよねー」と
若干モチベーションの下がる
クールではあったようです。
── あー、なるほど!
あやや ああ、そうですよね。
あー、絶対そうだ。言われてみると。
森下 あと、夏休みの影響もありますよね。
たとえばみんなでどこかに
泊まりがけで出かけたりするでしょ?
そうすると、いつも観ていたドラマが
物理的に観られなくなったりする。
いくら録画するとはいっても、
「決まったドラマを毎週観る」っていう
習慣が途切れちゃうんですよね。
荒井 なるほどー。
あやや なるほどー。
森下 でもまぁ、今はそもそも録画が
当たり前って世の中にもなっちゃってるし、
そんなに関係ないと思うんですけど‥‥。
── ためになるウンチクなどもありつつ、
つぎのドラマに行きましょう。
傍聴マニア09
日本テレビ系 木曜日 23時58分〜
出:向井理 南明奈 六角精児
あやや じゃあ、これはどうですか。
『傍聴マニア』。
荒井 裁判もの、ということになるんですかね。
あやや 裁判員制度もはじまったことだし、
みたいなことなのかなぁ。
森下 これは、北尾トロさんの原作ですね。
私、読みましたよ。
あやや どうでした?
森下 おもしろかったです。
ただ、やっぱり、エピソードの連続ですから、
ドラマにするとなると、
全体の大きな流れというのは
どうつくるんだろうな、という感じはします。
あやや 逆に、完全に一話完結だったら
いいかもしれませんね。
あの、わたし、「ほぼ日」の企画で
阿曽山大噴火さんと
実際の裁判の傍聴に行ったことがあるんです。
森下 おお、それはすごい。
荒井 どうだったんですか?
あやや いや、もう、実際の裁判は
明らかにおもしろかったです。
ただ、それは、裁判を傍聴し続けている
阿曽山さんが「これは」というのを
選んでくださっているので、ぜんぶがぜんぶ、
おもしろいわけじゃないと思うんです。
森下 それは、なにを基準にして選ぶの?
あやや たとえば、ある裁判では、
被告人の名前が「仮名」なんですよ。
つまり、起訴されてるのに、
本名というか、身元がわかってないとか。
森下 あー(笑)。
あやや そういう人が、実際の裁判で
「反省してるから。
 つぎやったら死刑にしていいよ」
とか言ってたりするから、
やっぱり、引き込まれますよ、それは。
荒井 ただ、ドラマにするには
うーん、どうなんでしょうね。
森下 あの、じつは、裁判もののドラマって、
ウケたことがないような気がするんですよ。
あやや そうなんですよ。
そうなんですよ。
たぶん、そうなんじゃないかと。
森下 『白い巨塔』の最後あたりを
裁判ものって言っちゃえば、
当たりはないことはないですけど。
あやや いや、あれは医療ものでしょう。
森下 だとすると、やっぱり、
裁判ものは数字を出していないような。
あやや 昔、『家栽の人』っていう
ドラマがありましたよね。
森下 ありました。
あやや あれ、けっこう原作おもしろいんですけど、
ドラマの数字はいまひとつでしたよね。
木村拓哉さんが検事をやった『HERO』は、
裁判のシーンがめったになくて、
裁判ものというよりは、
検事ものという感じでしたし。
荒井 けっきょく、裁判のシーンが
やたらと続くっていうのが
うけない要因なんですかね。
森下 うーん、絵づらが地味っていうことと、
あとは、やりとりの中心が言葉なので、
集中して聞いてないと、なにがなんだか
わからなくなっちゃうのかもしれない。
荒井 実際の裁判に出てくることばって、
じつは、かなり固いんですよね。
森下 そう、そうなんです。
「判決を言い渡す!」みたいな
キャッチーなセリフは出てこない。
「主文」とかですからね。
盛り上がらないこと、
はなはだしいんですよ。
荒井 (笑)
あやや あと、木槌みたいなので
ドンドンなにかを打ち鳴らして
「静粛に!」みたいなこともないですね。
森下 そうそう。
荒井 ただ、これ、夜の枠ですからね。
なんていうか、視聴率を
絶対に取らなくてはならない!
というわけでもない。
あやや ああ、たしかに、
そういうわけじゃないですね。
森下 ということなら、割り切って、
のびのび作っていただければ、
新しい「裁判もの」が
生まれるかもしれない。
あやや ああ、そうですねー。


(続きます)

2009-10-20-TUE

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