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物欲が止まらない! その9

ジョージ そうやって、家に来るのもいいけど、
「来られちゃ困る人もいるんじゃないの?」
って訊いたらね、「いいお客さんだな」
と思ったら、必ず訊くんですって。
「もし今度、お忙しいようであれば、
 お宅にお伺いするか、
 会社にお伺いして
 寸法を取らせて頂きましょうか」って。
そのときに、「いや、困る」って言う人は、
多分‥‥どう言うのかな?
‥‥スーツにだけ興味があって、
他の生活との釣り合いが取れてない人だから、
その人にはあんまり、
それからお勧めしないようにするんだって。
ノリスケ はー!
つねさん すっごい!
ジョージ なぜかと言うと、他のものを切り詰めて、
無理して何かを買っている人というのは、
どこかで、そういう買い物をしている
自分が嫌いになるから、
あんまりお勧めしないようにするんですって。
でも「来ていいよ」と言う人は、
呼んでもいい家に住んでいるんだろうし、
呼んでもいい会社の個室かなにかで
執務をしている人だから、その人には、
どんどん、どんどん、
おねだりをするんだって。
「おねだりをするのが、おもてなしだから」
って。‥‥んで、おねだり、されたのぉ〜。
ノリスケ あ、そぉ〜?
つねさん プチ自慢?
ジョージ だいぶ自慢!
‥‥でもね、さすがにね、
「会社に行きましょうか」
って言われたときには、
「会社は困ります」って言ったよ。
つねさん うん。悪行三昧を知られたくなかった。
ジョージ っていうか、まだ、僕の会社の中での‥‥
つねさん あ、そうか。
ジョージ ‥‥働き方っていうのは、
ほんとのトップでなくって。
ノリスケ まだ、ね。
ジョージ 個室も持ってなくて、普通だもの。
で、彼には、
「ごめんなさい。僕は、
 仕事をする人間としての贅沢以上の
 贅沢をさせてもらってるから」
って言ったら、
逆に、乗ってしまってね。
ノリスケ うまいこと言うから、感心されちゃった。
ジョージ そー。‥‥「あ、そうなんですか。
でしたら、もっと遊び心溢れるスーツ、
作らなきゃいけないですね」とかって。
で、「‥‥うっ、ウン!」とかって言って、
また、ちょっと一つドアが開いた、
みたいな感じ。
ノリスケ あーあ。ちょっと、あなたの物欲、
なりを潜めていたじゃない。
そうすると、向こうもちょっと
寂しそうにしたり、するんじゃないの?
ジョージ んでもね、しっかり、
グリーティングカードのやり取りはするし。
つねさん あ、そうなんだ?
逃げてるわけじゃないのね。
ジョージ 特に、スーツの会社の人は
もう本社に戻ってしまったんで。
で、エルメスの僕の担当のコは、
違うブランドに引き抜かれて行ったのよ。
で、そのブランドっていうのがね‥‥
さ〜、なんだ?‥‥恐ろしい!
カルティエ! うわぁー!‥‥みたいな。
ハイジュエリ〜! ありゃー。石!!
‥‥みたいな感じ。感じなんだけどね、
カルティエの今年のシーズンもね〜、
時計がいいのよ!
ノリスケ 今、時計なんだねー、この人、ね。
つねさん 昨日も雑誌見てたね。
ジョージ 時計がすっごい、いいの!
‥‥あれがね、多分ね、日本に
15本ぐらいしか入んないだろうなぁ、
と思うとね、もう一回電話を
かけてみようかなと思うんだけど、
電話かけるとねー。
つねさん ウフフフ。かけたら、おしまいだね。
ノリスケ カルティエはねぇ‥‥。また、ねー。
ジョージ そー。
ノリスケ でも、カルティエはあんまり、
ムードとして、洋服やなんかは‥‥、
合わないような気がしますけど。
ジョージ んー。でもカルティエ、結構、
時計、持ってるのよ、僕。
ノリスケ あ、そうなんだ。
つねさん ‥‥そうだったっけ?
ジョージ あのね、アメリカに行くときって、
‥‥アメリカ人って、ホントに‥‥!!
ノリスケ ハハハ‥‥
ジョージ アメリカ人、知らないの。
例えば、ロンドンとかパリとかに行って、
いいホテルにチェックインするときに‥‥
ま、ロレックスはどうでもいいわ。
ロレックスはいいホテルに泊まるための
入場券みたいなもんだから‥‥
ふたり 入場券かよ!
ジョージ ひどいこと言ったかしら?
つねさん いーや、別に。
ノリスケ いいですよ。
ジョージ つまり、それは特別でも何でもないんだよね。
ノリスケ “当たり前”なのね。

ふむ、ロレックスって人気があるわけですね。
アメリカのメンズ系雑誌って
よくロレックスの広告載ってるけど
そういう理由だったんだなあ。
つづきまーす。(シェフ)


2005-09-05-MON

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