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私たちがお店をつくるなら。最終回

ジョージ 置いちゃいけないものは?
色んなものが入るけど、
絶対これが入るとその売り場がくずれるもの。
昨日、うちにお客さまがいらっしゃったのね。
会社の連中がやってきて、
一応全部ツアーをしたんですけど。
ノリスケ 社長邸訪問。
ジョージ そう。その時に何名かの女性がいて、
彼女たちが一言いったのが、
「ここのうちは、タオルに
 ロゴが入っていない!」。
ノリスケ おお。
ジョージ なんとか酒店とか、なんとか書店とか、
絶対にあるはずなのに、ない!
ノリスケ そんなのもらわないもの。
ジョージ 絶対ね、ノンケのうちにはあるんだよ。
でもオカマの家にはないの。
つねさん ごめん。ある!
ノリスケ わはは!
ジョージ ‥‥ありゃ?
ま、リネン類とかね、
ベッドのシーツとか枕カバーとかが、
カラーコーディネイトされているとか。
そうすると、なんかリネン系で
上質なハンドタオルがでーっと
積んであるとかね。
カリブの綿かなんかの。
あとやっぱり、小物。
でも、小物はコンランショップひとつあれば
いいのよねえ。
ノリスケ コンランショップを「ひとつ」って数えんの?
で、どこでやりたいの。
ジョージ 場所はねえ、そうねえ、
六本木ヒルズのTSUTAYAの、
一番奥の写真集を飾ってるところ?
あそこ。鍵型のところ! ちょうだい?
つねさん ちょうだいって(笑)。
ジョージ それで夜会服でサイン会。
つねさん やんないってば。
ジョージ その時には、そのまんまの格好で
けやき通りを上から下に降りていくの。
でえええっと!
つねさん なんだったっけ、祇園のあれみたいな。
ジョージ そう! おねり!
ノリスケ (笑)。
ジョージ ついでに、ヴァージン東宝シネマズで
ほがらかの映画の夕べやっていただいて。
その時は、クロちゃん呼んで。
つねさん クロちゃんて?
ノリスケ 襟川クロ?
ジョージ そう。クロちゃん呼んでトークショー(笑)。
仮面夜会服でトークショー(笑)。
つねさん 襟川クロも仮面?
ジョージ 仮面!
ノリスケ なんで襟川クロに仮面(笑)、
使わなきゃいけないの?
ジョージ で、見に来てくれる人も仮面!
ドレスコード、仮面!
夜会服に仮面のかたは半額!
いいかもぉー(笑)。
つねさん わけわからん(笑)。
ジョージ いいと思うよぉ。だって、
あの映画館を夜会服の衣擦れの音がするのよ!
しゃかしゃかしゃかーって。
んで、ざわざわって言いながら、
ぼそぼそってあのちっちゃーい椅子の中に
収まってるの。いいと思うなあ〜。
ノリスケ ジョージさんだけで充分だわ(笑)。
わたくしは御遠慮もうしあげます。
つねさん 俺も。
ジョージ じゃ、メイドやんなさい。
あたくしの夜会服の裾
持ってくれないと(笑)。
あとね、いたこ呼んできて、
三島先生に降霊いただくってどうお?
でも(笑)、降霊した時の
三島先生の状態が問題よね。
ノリスケ そうよ、自決寸前だったら
どうすんのよ!
ジョージ とんでもない降霊会(笑)!
ノリスケ それこそ、ワハハ本舗の公演に
なっちゃうから。そういうことすると(笑)。
あ、ワハハにネタ売りに行こうかしら。
とんでもない降霊術って。
つねさん 刺された時の、パゾリーニとかね。
ノリスケ あ、さっき、パゾリーニの
「ソドムの市」とか言うの
忘れちゃったわ(笑)。
耽美じゃないんだけど、お芸術ではある。
つねさん 「サテリコン」とか。
ノリスケ フェリーニのね。
橋田壽賀子の「さて離婚」じゃないのよ。
つねさん そんなドラマはない!
ジョージ ゲイのお芸術家の人たちって、
いいとこを走るんだよね、ずーっとね。
で、自分というものを
上手にコントロールできる時は、
いいんだけど、調子に乗ってしまって、
自分のほんとのドアがぱかーんと
開いてしまって、
作っちゃうことってあるじゃない?
そういうの見ると、
‥‥どうしようかって思っちゃうよねっ?
ノリスケ そっ! それがいいんですよ!
ジョージ ねっ!
ノリスケ だから、ゲイかゲイじゃないかは
どうでもいいんだけど、
ゲイでありますよって
戦略的に言ってるものは
置かない方がいいですね、今回。
ジョージ あああ。確かに。確かに。
ノリスケ 心ならずも、表現してしまった、もの。
それが、いいの。
ジョージ 三島由紀夫先生の自宅で
トークショーとかやらせていただければ。
あの、アポロン像が真中に
立っていらっしゃる。
ノリスケ あのお宅は立ち入りできないでしょうね。
篠山紀信さんがやっとの思いで
撮ったけれど。無理よ、ましてや、
こんな目的のために(笑)。
つねさん がははは!
ジョージ あ〜ん! こんな目的ぃ。しょせん〜。
‥‥でも、あれだよね、三島由紀夫って、
ほんとにノーベル賞欲しかったんだってね。
つねさん あ、そうなんだ。
ジョージ あの人、ほんっとに欲しかったんだって。
ノリスケ 死んだ人には、あげられないんだっけ。
ジョージ あげられない。
ノリスケ そっか。
ジョージ で、なんで欲しかったかって言うと、
ずーっと自分はカルトだと思ってたんだよね。
で、それがなんか、
日本では裏っかわだったのに、
世界で表になって、あ、そうか、
世界の標準に自分は合ってるんだ、
と思ったんだよ。
だからノーベル賞、とりたかったの。
ところが康成先生にとられちゃったの。
康成先生的には、もう最高の
エクスタシーだったろうね。
ノリスケ そうでしょうね‥‥。
ジョージ なりたい自分がとれなかったものを、
軽蔑された自分が‥‥。
つねさん とってやった!
ジョージ とるんだよ。
ノリスケ すごーい。
つねさん 愛憎劇だね。
ジョージ 『禁色』って読んだ?読んでないか。
ノリスケ もちろん読んだわよぅ。
ジョージ 読んだ? あれに出てくる
老文学者が川端康成なんだよね。
ノリスケ はー!
ジョージ で、あの中でもててもてて仕方がない
主人公が自分なんだよ。
ノリスケ はー!
ジョージ 厭よねえ! 男の嫉妬に
女の嫉妬が混ざるんだよ?
‥‥好きッ!
そいうの、だぁぁいすきぃぃ!
つねさん (笑)。
ジョージ やっぱり、三島先生と交霊したいかもぉ。
降霊した三島先生にインタビューをするのが、
美輪先生とかってどお?
ノリスケ (笑)それじゃもう、
私たち、いらないじゃないの!
ジョージ いいのよ面白ければ。
でも美輪先生がシンクロして、
美輪先生が魂奪われて
向こうに行ってしまうかも
しんないよね(笑)。
ふたり いやーっ(笑)。
ノリスケ 「あら、お久しぶりねえ」って(笑)。
つねさん 「私もそっち行くわー」(笑)。
ノリスケ 「もう、うんざりなの」(笑)。
ジョージ あ、いたこ呼ばなくていいじゃん!
スピリチュアルカウンセラーに
呼んでもらえばいいんだー。
つねさん 「美輪先生の後ろにいますよ」
「今、泣いてます」って。
ジョージ 天草四郎の後ろっかわにいるわけね。
ノリスケ すてき。
つねさん あの人、なんでも見えるしね。
ノリスケ まっ、ないね(笑)! あはははは!
ジョージ まあ、ゲイが好きなものでいくと、
清水ミチコさんなんかは。
つねさん ああ!
ジョージ 清水みっちゃんが、色んな人になるの。
もう降霊とかしなくていいの。
つねさん あー、三島先生とか。
ノリスケ 清水みっちゃんの三島由紀夫のマネって‥‥
見たい‥‥
ジョージ あーでも、三島由紀夫って、
今生きてたら何やってるんだろう?
ノリスケ 老いてく自分をどう対処しただろうねー。
ジョージ あの人、政治家になってたんじゃないかと
思うなあ。
ノリスケ あー、そうかもしんないね。
ジョージ 石原慎太郎が都知事やってるより、
三島由紀夫が都知事やっては方が
楽しくないぃ?
ノリスケ その都市の方が住みたい。
ジョージ ねっ?
三島由紀夫が知事やって‥‥
僕、あの人がやったことってわかる!
すごく。
つねさん 花園作りたかったって?
ジョージ 花園というかね、自分の中にはもう、
あるんだよね。日本国というものが。
んで、その、んー‥‥
平行であるうちは、心穏やかなんだけど、
乖離し始めると、もう、
コントロールしたくて
しかたがなくなるんじゃない?
セルフコントロールの人だよねえ。
自分の体もあれだけ改造したんだからね。
ノリスケ だから死なないわけにはいかなかった?
ジョージ うん。
つねさん やっぱり、老いた自分とか
見たくないんじゃないのかな。
ノリスケ かっこよく歳とってく先輩が
いないと困るんですけどね。
ジョージ 確かに。
つねさん 康成先生みたいになりたくないとかさ。
ジョージ ま、ジョージさんがどういう
おじいちゃんになっていくかは、
見てると参考になると思いますけどね(笑)。
ジョージ 基本的に、僕、自分が好きだから、
絶対に自分に失望しないと思う。
あのね、生まれた時から
自分のこと好きだった?
ノリスケ そんなことないよ。
ジョージ あ、そお?
ノリスケ うん、30くらいまでだめだったですよ。
つねさん 30の後から好き?
ノリスケ 好きとは言えないけど、納得はした。
つねさん そう。
ジョージ 僕は、基本的に、
生まれてからずーっと自分のこと好きだった。
つねさん あ、そう。
ジョージ 好きなんだけど、嫌いな部分もあるんだよね。
で、嫌いな部分をいつも
克服しようとするんだけど、
克服なんかできないんだよ。そんなとこは。
つねさん うん。
ジョージ 克服しようとした無理な部分が
自分を膨らませているだけであって、
基本的に好きな自分は一切変わらないの。
だから、これでね、くそじじいになっても
全然好きだと思うの。
ノリスケ なるほどね(笑)。
つねさん そっか。それすごいね。
ジョージ うん。‥‥三島由紀夫は
自分が嫌いだったんだと思うんだよ。
ノリスケ そうだね。好きなところが
ポイントしかなくて‥‥。
ジョージ で、好きな自分になろうとしたんだけど、
それはもう、‥‥あのね、あれみたいなもん。
リコシェ。リコシェってね、
水面に向かって石をぽーんと投げると、
ぺーんぺーんぺーんぺーんってなるじゃない?
つねさん うん。
ジョージ あれって、石は飛んでるんだけど、
なんで飛んでるかっていうと、
水面という時代にぶつかって‥‥。
つねさん 反発して。
ジョージ 反発して、飛ぶんだよね。
つねさん うん。
ノリスケ うんうん。
ジョージ だけど、何回か飛ぶと、必ず沈むんだよ。
それがね、三島由紀夫の人生のような
感じがするね。
ノリスケ ああ。
ジョージ 最初に学問ということで優等生で
ぺーんと当たって、
文学でぱーんと当たって、
その次に自分の肉体というもので
ぱーんと当たって、その次にね、
向かって行くところがなくなって、
日本国にぶつかったんだけど、
角度が鋭すぎて‥‥。
ノリスケ ずばーん。
ジョージ 落ちたんだよ。
角度が鋭すぎるといけないのよ、
緩やかにぶつからないといけないんだけど、
ぶつかれなかったんだろうね。
つねさん うん。
ジョージ そんな感じがするー。
‥‥ま、なんて哲学的なのかしら!
ノリスケ 真面目な終わり方でした。
実現に向けてがんばりましょう!
ジョージ どっからどこまでが実現なのか、
かなり大きな問題なんですが。
あー、でも、夜会服でサイン会したいなあ!
ふたり ないってば!
   
サイン会はないですけど
こういうフェアできたら面白いなあ!
ということで今回はこれでおしまい。
次回テーマをおたのしみに〜!
(特別コラムも今日は増量!
 ↓おたのしみくださーい)


2005-11-18-FRI

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