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ジョージさんの社長漫遊記 その7

ジョージ その会長秘書のすごいとこってね、
会長の裏側のスケジュールも
みんな知ってるの!
ノリスケ その裏ってあの、あれ? 大久保方面(笑)?
つねさん 大久保方面(笑)。
ジョージ その裏側の住所、電話番号、
ありとあらゆるものを持ってるんで。
ノリスケ ああ、でも何かあった時に
ほんとうに必要なのはそういう情報よね。
つねさん 裏工作やらされてたりするんでしょ?
ジョージ そうそうそう。
この前、もし彼女のうちで
不測の事態に陥った時に
どういうふうに対策をとるんだっていう
打ち合わせをしてたよ。
ノリスケ 真面目に(笑)。
つねさん 2人で?
ジョージ 2人で。バッカじゃないかしらと思った。
ノリスケ その危険があることを
いまだになさってるだけすごいよね。
つねさん だってまだあれでしょ?
ジョージ まだ現役でいらっしゃるから。
ノリスケ お元気でいらっしゃるのねえ。
ジョージ 現役でいらっしゃるから。
つねさん 齢67。
ノリスケ 創業者ってすごいね(笑)。
叩き上げの創業者はすごい。
ジョージパパは、しかも、
かつて一度失敗して。
ジョージ そう。1回創業して1回潰して、
また創業だから。
ノリスケ 並のエネルギーじゃない!
つねさん うん、確かに。
ジョージ そうなんだよね。未だに
借金してまで会社を興そうとしてるの。
ノリスケ え? もう1社、興そうとしてるの?
ジョージ ちょっと海外の方でね。
でもうちの母から待ったがかかって、
それはペンディングになってるんです。
お金を借りて、事業を興そうということを
言った時に家族会議が行われましたの。
で、わたくしも、呼ばれました。ね。
つねさん うん。
ジョージ 普通の家族会議っていうのは
議題があってそれぞれの意見を述べあって、
調整をして妥協案を探るのが
会議でございまさぁね。
ノリスケ はい。
ジョージ で、うちの会議はいきなりグサッですから。
ノリスケ はは。懐に刀が。
ジョージ 一番最初の時はやんわりだったわけよ。
「金借りようと思うんだ」って言ったら
おふくろがね、
「もしそれを払えなかったらどうするの?
 あんたも年だし」
「いや、俺が死んでも生命保険で
 こうこうこういうふうになるから」
って言ったら、ただ一言。
「じゃ、今すぐ死んでしまいなさい」。
ノリスケ ははははは。
つねさん 恐え。
ジョージ 「今のあなたが役に立つにはそれが一番」
って言って、それでもう終わりになったの。
会議終了。
つねさん ゴング、カンカンカン。
ノリスケ 1回目の家族会議終了(笑)。
ジョージ カンカンカンカン。
1ラウンド18秒KO。
ノリスケ で、懲りないお父さんは。
ジョージ どうしようって別の方法がないかというんで、
また家族会議だったんだけど。
つねさん 第2回。
ジョージ その時には母が先制攻撃よ。
「実は私から一つ提案があるのよ」。
ノリスケ 恐い‥‥。
ジョージ 「私たちが住んでるこの家を
 今売ったらこれだけになりました。
 査定もしてもらいました」
査定表が出てきて、ま、かなりな金額。
「あららら、すごいすごい」って。
「あなた? 確かこの家は
 夫婦2人の共同所有よねえ。
 半分ずつよね。半分私今いただいたら、
 今度成城学園の方に
 シニアケアのマンションが一つできるのよ。
 これから先20年の入居費用を調べたら
 これだけなの」。
ノリスケ うん。
ジョージ それももう見積もりがあるんです。
つねさん あははははは。
ジョージ 「この半分の中からこの金額を
 全部引いても私これだけ手元に残って、
 これなら毎年2、3回は
 豪華な海外旅行ができて、
 ほんとに楽しく過ごせるのよね。
 だから別れましょう、今すぐ」
ノリスケ うくくく、すげえ。
ジョージ 「あんたがこれ以上事業に関与して
 借金に継ぐ借金を繰り返したら、
 私のこの取り分もなくなるのよ」
ノリスケ ほお。
ジョージ 「あなたもこれだけ半分もらえるんだから
 好きなことに使って事業をするなり、
 野たれ死ぬなりしてしまいなさい。
 だから別れましょう。
 どう? あなた、どう?」って言ったら、
「分かりました。考え直します。
 事業のことはなしにして下さい」(笑)。
ノリスケ すっごい(笑)。
ジョージ これはまあ、タオルが投げられたって
やつですか?
「あなたどう思うの?」って
僕に振ってきたから、
「それはもう止めた方が
 よろしゅうございましょう」って、
僕がタオルを投げた。
つねさん あ、TKOだ。
ノリスケ なるほどね〜。
ジョージ そう素晴らしゅうございますよ。
素晴らしゅうございます。
つねさん 恐え(笑)。
ノリスケ 不戦勝みたいな感じですね。
どっちかって言うとね。
ジョージ はなから勝負になってない。
ノリスケ なってない。
つねさん 何か入場の時にもう木刀で殴られたみたいな。
ジョージ そうですね(笑)。
ノリスケ そうそう。それで倒れちゃったみたいな。
ジョージ あるいは、入場の時にバナナの皮を
踏んですべって転んで足を折ったみたいな。
ノリスケ そのバナナの皮は周到に
用意されてたっていう。
ジョージ そうそうそう。そんな感じ。
ノリスケ すっご〜い。
つねさん いい母だね。
ジョージ いい母よ、いい母ですね。
す、すごい‥‥
つづきます!


2005-12-27-TUE

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