ノリスケ |
獣系のほかに苦手なのは? |
ジョージ |
金属系の匂いってあるでしょ? |
ノリスケ |
ある! |
つねさん |
知らない。あるの? |
ジョージ |
あるんだよ。 |
ノリスケ |
コム デ ギャルソンが無機物だけで
アンチ・パフュームを
コンセプトにした香りを出したの。
そこにメタルっぽい匂いが入ってた。
すっごくおもしろいと思うんだけど、
ちょっとつけるのに勇気がいった。 |
つねさん |
つけづらいんだ。 |
ノリスケ |
いい匂いのもあったんだけど、
これ排気ガス? みたいな
匂いのとかあったんだよ(笑)。 |
つねさん |
それはすごいね。 |
ノリスケ |
あれは冒険だよ。 |
ジョージ |
あれつけてるとね、
ロンドン塔の中のアイアンメイデンの中に
入るのってこういうことかな、
みたいな匂いがする。
鉄サビの匂いがするんだよ。 |
つねさん |
ああ、なるほど。 |
ジョージ |
それがね、嗅覚中枢を引っ掻くんだよね。 |
ノリスケ |
キリキリキリキリ。 |
つねさん |
ああ。 |
ジョージ |
ガラスに爪を立てて
ギーっとやってるような音がずーっとするの。 |
つねさん |
へえー。 |
ジョージ |
匂いと音って近いのかもしれないね。 |
ノリスケ |
ああ。 |
ジョージ |
麝香系つけるとドラムンベースというか、
低音のドラムがダダダダダダダダダダダダーって
鳴るような気がするの。 |
ノリスケ |
官能的ねえ。 |
ジョージ |
ほんとは発動してはいけないものが
発動しそうな感じが。 |
ノリスケ |
そうか、そうか。ビート、
心臓の鼓動だもんね。 |
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つねさん |
俺、全然話戻していい? |
ジョージ |
いいよ(笑)。 |
つねさん |
何で匂いが苦手なのか今思い出した。 |
ジョージ |
何? |
ノリスケ |
はい、どうぞ。 |
つねさん |
えっとねえ、つきあいはしなかったんだけど、
僕が若かりし頃、何度か会った、人がいて。 |
ジョージ |
まだ若いじゃないのぉ。 |
つねさん |
うるさい。ははは。すごいお座なりに
言わんといて(笑)。大学生の頃に。 |
ノリスケ |
10代。 |
つねさん |
うん。10代の頃に会ってた人がですねえ、
白檀の香りのやつをつけてたの。 |
ノリスケ |
白檀? 死にかけ(笑)? |
つねさん |
そう。線香の匂いがして! 要するに。 |
ノリスケ |
お香じゃなくて線香の匂いな訳ね(笑)? |
つねさん |
お香とか線香とか、
要するにお仏壇の匂いがするわけですよ。 |
ノリスケ |
抹香臭い匂いがして(笑)。 |
つねさん |
それで嫌になったの。 |
ジョージ |
でも僕は白檀の扇子? あれ好きだよ。 |
つねさん |
いや、だからそういうのはいいんだけど、
だっこした時にさー、
そっから匂ってくるのがすごい嫌で。 |
ノリスケ |
それは、あなたの望む性的なムードと
あまりにそぐわなかったってことね? |
つねさん |
そうそうそうそうそうそうそうそうそう。
そういうことだね。 |
ジョージ |
白檀で思いだした。
あの、ハワイのね、
モアナサーフライダーっていうホテルがあって、
一応ワイキキで一番古いホテルって
言われてるんですけど、
そこのテラスにコーヒーショップっていうか、
カフェみたいなのがあって、
そこでアフタヌーンティーを取ると、
女性はもれなく白檀の扇子を貸してくれるの。 |
ノリスケ |
へえ。 |
ジョージ |
それで仰ぎながらですよ、紅茶飲みーの、
スコーン食べーの、
サンドウィッチつまみーの、なんだわな。 |
ノリスケ |
へえ。 |
ジョージ |
そのアイデアそのものは悪くはない。
で、海が見える風通しのよい場所ですよ。
爽やかな気持ちでもってお茶でも飲みましょう、
って行くとですね、風上のところには
アメリカのおばさま20人ぐらいの一軍がいて、
みんながやってるの。 |
ノリスケ |
白檀、白檀、白檀。 |
ジョージ |
白檀の匂いプラス。 |
つねさん |
おばさまの匂い。 |
ジョージ |
コパトーンの香りに。 |
つねさん |
オバトーン! |
ジョージ |
(無視して)しかもエスティ・ローダーの
香りが混じってやってくるわけさ。
‥‥地獄よぉ? |
ノリスケ |
はははは。 |
つねさん |
壮絶だね。何かね。 |
ジョージ |
あれは地獄! |
ノリスケ |
ただでさえ女性的な、
女性そのものの香りってねえ、あんまり、
ぼくたちは得意ではないのよねえ。 |
つねさん |
うん。 |
ノリスケ |
母的なものは別として。
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