OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.18
- So fast! -

センタンホームページに沢山のご来店、
まことにありがとうございました。
カウント数が週末突然増えた不思議に
驚く司令塔。種を明かすと「おそるべし」と
つぶやいていました。ふふふ。

「おそるべし、ほぼ日」。

さて、今日は
--アメリカの PITAC のお話--

とにかく速いんですよー。
レスポンスが速い!
Pentium III 600MHz 搭載の Dimention (現在の愛機)
も速いけど、アメリカの対応はヤバイくらい速いです。

たとえば何か問い合わせのメールを出すと
ほぼ翌朝には返事が返ってきてる。
まったく面識もないweb上で見ているだけの
政府機関の人にメールをするたびに感じるんです。
わ、はやーー!!と。

きっと担当官の裁量で決断する範囲が広いに
違いない。たらい回しもされないし、待たされもしない。

「ども、おたくの調査レポートすんばらしいと思うんですよ。
日本のみなさんにも紹介したいので翻訳したいんですけど、
どんなもんですかね。」
なんてメールを出すと

「ウチの調査に注目してくれてありがとねー。
ウエルカムでございますことよー。」
と即答が返って来るこの小気味よさ。

この速さには驚くし、やりやすくてしょうがない。
やっぱりアメリカと商売しようっていう気にさせるよね。
いちいち、課長さんに聞いて、部長さんに聞いて、
専務さんに聞いて、社長さんに聞いてと
延々と稟議の旅をしないで返事くるもの。
いい感じ。

もちろん、そこには
インターネットという「飛び道具」が
さまざまなレベルをほいほい跳び超えるために
大きく貢献していることは無視できまい。うむ。

フロンティアスピリット息づく
アメリカっていう国からは
これからもその「飛び道具」を使いまくってやるぞという
並々ならぬ構えが押し寄せてくるんです。

その「飛び道具」の善悪はちょっと棚にあげて
果たして日本では、そこまで有効に活用されているのか
あるいは、活用しようとしているんでしょうか?

それよりも悪用される部分がやたらクローズアップされたり
外観とか価格の安さだけをもてはやすような雰囲気が漂い
肝心の「何をしようか」、「どんな風に使おうか」
というコアな部分が足踏み状態のような感じ。

そんな間にも
アメリカは、さらにインターネットをパワーアップするために
探り続け、その動きは加速するばかり。

その先鞭を切っているのが
PITAC と IT2 です。
(それぞれ”ピータック”、”アイティ・スクエアード”と読みます)

もうセンタンホームページで
PITAC と IT2 に出くわして「なんじゃ、これ?」
と思った方もいらっしゃるでしょう。

PITAC というのは、
President's Information Technology Advisory Committee
「大統領直属の情報技術に関する諮問委員会」の頭文字を
とった委員会のことです。チョクゾクです。

サンマイクロシステムズ社の創設者の Bill Joy さんと
ライス大学コンピュータ科学教授の Ken Kennedy さんの
2人の共同委員長と他に24人の現役有能な 専門家で構成。

位置付けはこんなところ。


ばしばし、大統領に手紙を送って
「こーしましょうよ、あーしましょうよ」と
今の情報技術政策を引っ張る「牽引役」の方々。

PITAC レポートとは
その方々が大統領に向かって
「わしらの国はこんなところがアカンから
いっちょ景気つけにどかーんと花火打ち上げましょうや」
事細かに数値を挙げて切々と訴える「提案書」です。

『未来への投資』(1999年2月)
という PITAC レポートの主な狙いは
「IT 予算を大幅増額し、
R&D の一層の強化をはかり
21世紀に向けた国家競争力を強化すること」

そして、「山頂に予算という雨を降らせておけば いつかすそ野で大きな収穫が期待できる」 というのも大きな狙いです。
なぜなら、今のコンピュータ業界の大きな繁栄と恩恵は
紛れもなく連邦政府が技術革新のためにこれまで行った
多大な投資の結果の産物であるからだと述べています。

ふむふむ、たしかにそうなんですねー。

それからこのレポートに
こんなことが書かれています。

「情報革命は、基本知識、すなわち単に情報テクノロジの
リテラシという次元にとどまらず、
読み書きやコミュニケーション、
チームワークといった基本的な能力が優先される。
新しい能力を求める新しい仕事が創出され、
旧式の仕事や能力が陳腐化していくに伴い、
労働力を維持する上で教育やトレーニングは
生涯を通じた追求の対象となる」

これこそ、先端にいる科学者ばかりでなく
わたしたちまで大きく影響することなんだと思わせるくだりです。

これまでもアメリカがくしゃみすると
(まーしゃは今、くしゃみしてばかり:余談)
日本がカゼひいてたじゃない?

アメリカが変わると遅かれ早かれ日本も変わっていくはず…。
これからわたしたちの日常に影響が出るとすれば
ココらあたりが要注意って感じです。

これは結構大変なことを言っていて
たとえばイトイさんが「ダーリンコラム」で
「生産のプロ」があっという間に感覚が陳腐化して
「消費のはぐれもの」になるぞと
危険信号を発していたのと類似しています。

今の知識や技能に満足していると
あっという間にそれらは使い物にならないものになっているぞ
と言っているわけです。

『デジタルエコノミー』(vol.6 参照)でも
「○○の専門家といわれる人は
めまぐるしく変わるその道の情報
あるいは幅広い情報を常に取り入れ
アップデートし続けている人のことを指す。
資格を持っているからといって安心するな。」
ということを言っています。

技術論だけじゃなくて、
そんな社会変化のことも説明しているのが
PITAC レポートです。

そしてそして、それを受けて
「よっしゃ、やりましょう」と出された
連邦政府の政策が IT2 なんです。

あーー長くなりましたねー。ごめんなさい。
次回は IT2 のことを 話します。

ぜひPITACレポート日本語版を読んでみてくださいね。
福嶋(まーしゃ)真砂代

1999-10-05-TUE

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