あきんどゴコロ |
◆◇◆ あきんどゴコロ◆◇◆ <総集編・その2> 「目線を追え」 うちは小さな青果店です。 店番は、おもに母親。 こじんまりとしていますが、 けっこうお得意さんが来てくれています。 母は、言います。 「お客さんが見ているもの =ほしいものだ。 たとえそれを手に取ることがなくても、 その人は、興味があるから、見ている」。 だからといって、 お客さんが商品を 見ていらっしゃるときに 声をかけてはいけないらしいんです。 会計のときや、去り際に 「●●は、今日が食べごろですよ」 「今日入荷したんですよ」 「●●って最近、話題なんですよね。 病院でも食事に出されているくらいです」 などと、何気なく、 お客さんが見ていた商品について 話すそうです。 そうすると、 100%買っていかれるようです。 (Hotaka) 仕出し弁当屋をやっています。 弁当の鉄則は、ズバリ、 「容器は小さく」。 これ、実は、けっこう重要なんです。 大きい容器に、ゆったりと入れるよりも、 小さい容器に、びっしりの方が、 『にぎやか』に見えて、 よく売れるんです。 雰囲気づくりは、 店のディスプレイだけでなく、 商品そのものにも、 にぎわっている感じが大切なんですね。 (どれみの友達) 夫と私は通勤で、 JR新橋駅を使うのですが、 ある帰り道、2人で寄道して いつもの改札ではない方が近いので、 そちらから入ろうとすると、 夫がいつもの改札の方に向かうのです。 理由を聞いたところ、 「そこの改札の前に出ている 新聞売りのおじさんは 誰がどの新聞を買うか覚えていて、 顔を見ると言わなくても その新聞を渡してくれるので、 遠回りになる時でも そこで買うことにしている」 ということでした。 何回目で覚えるかはわかりませんが、 新橋駅と言えば かなりの人数が使用しているはず。 夫の上司もそこで買っているそうです。 たかが百数十円ですが 新聞スタンドでも常連さんがいるなんて、 ちょっとびっくり。 わたしも、そう言われて帰りに観察すると 人が近寄って来ると、 さっと新聞を用意して渡していました。 たまに、違う人が 売っている時がありますが、 その人には、おじさんの志は 受け継がれていないようでした。 (ももよん) 時計などを扱う宝飾品店の男性店員さんから ダイレクトメールが来ました。 「またご来店ください。」 という内容なのですが、そのハガキが、 お店で作っている広告ハガキではなく、 春を先取りするきれいな桜の写真で、 しかも貼られた切手は藤の花。 雪に閉ざされた北陸の冬に、 きれいな花の写真。 ちょっと感動して、 おもわずお店に行きたい、というよりも その店員さんに会いに行きたいなー、 と思わせる見事なダイレクトメールでした。 (せいこ) もう何年も前の話ですが、 某有名デパートの宝飾品売り場で 指輪のサイズを測ったときのこと。 測ってくれた店員さんは、 基準となるリングを入れながら、 「お客様は節がお高いので」。 節というのは、指の関節のことです。 私の指は節くれだっているため、 根元で測ったものより ひとつ上のサイズにせねばなりません。 多少それを気にしているので、 この言い回し、「太い」ではなく 「高い」には感心しました。 接客の基本ができているなぁ と思うのと同時に、 「ものは言い様」は、 自分の普段の生活でも 心がけるべきことだなぁと 勉強になりました。 (漆花) 金沢の漆器屋さんで、 結婚祝いに夫婦箸を選んでいました。 違った柄がいろいろあり、 どうしようかなと迷っていたら、 店員さんが近寄ってきたので、何気なく 「これとこれ、どっちがいいと思います?」 と聞いたら、間髪入れず、 「とんぼの柄のほうがいいですよ。 とんぼは、前だけにしか進まないんです。 後ろに退かかないので、 前田利家公も お気に入りの柄だったんですよ。 結婚のお祝いなら、絶対とんぼ、 前進あるのみですから」 私は即座に 「とんぼにします」と言ってしまいました。 確信に満ちた薀蓄で、よし、買った! と言わせてしまうあきんどぶりでした。 (まむう)
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