「青空応援団」という、
社会人の応援団があります。
ほぼ日は、この方々に
応援を依頼することにしました。
がんばりたいことがあるからです。
団長の平了さん、副団長の佐々木良さんに
ほぼ日の菅野がお話をうかがいました。
- 平
- いま、カッコよさの定義が
変わってきてる気がする。
がんばるってさ、本当は
カッコいいことですからね。
- ほぼ日
- そうですね、
それを忘れていました。
- 平
- がんばらないのがカッコいいってことに
なってますよ。
- ほぼ日
- がんばっても
がんばってないふりをしています。
- 平
- そうですよね。
でもね、やっぱり
「私はがんばっているんだ」というのが
カッコいいんですよ。
クラーク博士が昔言っていましたよね?
- ほぼ日
- 「大志を抱け」?
- 平
- 「大志を抱け」
つまり応援団的には
「とにかくがんばれ」「アホか、がんばれ」
ということです。
応援した人たちががんばることが、
俺たちの活動の励みになるんで、
今回こうして依頼してくれるのは、
ありがたいです。
- ほぼ日
- 佐々木副団長は、
青空応援団で太鼓を叩いていらっしゃいますが、
これまで思い出深かったことはありますか?
- 佐々木
- さきほど団長が敬老会での出来事を話しましたが、
あるデイサービスセンターでは、ここ数年、
入所している人たちが
青空応援団にもエールを返してくれるんです。
スタッフの方、おじいちゃんおばあちゃん、
みんないっしょになってやってくれます。
きっと、日数かけて練習してくれたんでしょう。
体が不自由そうなおじいちゃんも、
動くほうの手で手拍子したりして。
- ほぼ日
- 応援されると、
応援するほうのよろこびも感じる気がします。
応援されたときの気持ちを
「自分だって提供できるんだ」と気づくというか。
- 佐々木
- それはあると思います。
みなさんの目は
たいてい団長のほうに向いていて、
ぼくなんて端っこにいるので、
いつもたいてい泣いています、すみません。
- 平
- 結婚式での応援も、すごくいいんですよ。
ある新婦のお父さんから、
「これから幸せになるふたりを応援してほしい」
と依頼が来ました。
お受けしたことはしたんだけど、
「馬鹿野郎。お前が応援しろ」
と言いました。
そして依頼人である新婦の父に
練習に参加してもらいまして。
- ほぼ日
- 馬鹿野郎と。
- 平
- 「娘のことをいちばん応援したいのは誰なんだ?
自分だろう?
じゃあ自分がやれ馬鹿」
応援団は、語尾には「馬鹿アホ」をつけますのでね。
- ほぼ日
- はい。
- 平
- 「しっかりやれよ」といって、練習します。
結婚式がはじまるでしょう、
俺たちは出てって、応援しました。
仙台では「青空応援団だ」って、
知っている人たちもいます。
「すごいね」みたいなムードもある。
しかしそこで新婦に向かって俺はこう言う。
「君のいままでもこれからも、
いちばんの応援団長は、
俺じゃなくて、こいつじゃないのか?」
そこに、俺たちに借りた学ランを着た
お父さんが出てくるんですよ。
下手なんだ。
下手なんだけど娘に
「幸せになれよ」といってエールを送る。
それは、正気では、見ていられないです。
- ほぼ日
- 無理、無理です。
- 平
- 声もひっくり返ってる。
でも、父はやるんです。
できていないのがカッコいいんだ。
自分の娘の名前、死ぬ気で呼ぶわけです。
そんなふうに自分の名前を
呼ばれたことってないと思うし、
しかもお父さんからだよ。
「がんばれ」って、
顔を真っ赤にして、倒れそうになって叫ぶんだ。
- ほぼ日
- 無理です。
- 平
- あれが真の応援団じゃないかと思う。
結婚式に慣れている式場の方々も
みなさん号泣してました。
- 佐々木
- お葬式の応援も、いいですよ。
- 平
- 葬式自体は残念な会だけど、
すごくいいんだよ。
- ほぼ日
- お葬式では誰を応援するんですか?
- 平
- 天国に向かってエールをするわけさ。
「いままでご苦労さん」とね。
「これからも天国から家族を応援するんだろ、
その応援に対してエールを送ります」
参列者全員泣いているし、こっちもヤバい。
ほぼほぼ知らない人なのにさ。
- 佐々木
- いつも団長が言っているのは、
ぼくらにすれば、その依頼は、
年間の100本のうちのひとつですけど、
依頼される方にとっては1分の1。
気持ちをしっかり向けて、
名前を呼んで応援します。
- ほぼ日
- 入魂して。
- 平
- その人は勇気を振り絞って、
人生の最初で最後に
応援団に依頼したのかもしれないから。
- ほぼ日
- 団長はスコップ団のときも、
おなじようにおっしゃってましたね。
2万の人が死んだことが1件起きたんじゃない、と。
- 平
- 1件の悲しいことが2万件起きたんだ、
そういうつもりでスコップ団もやらないとあかんよ、
と言ってました。
「今日は9つまわるんだね、がんばらなくちゃ」
じゃなくて、
「ひとつひとつ、9回やるだけ」という話です。
あのときも俺はあんなに
プリプリ怒っていたんだから、
それはいまもずっと一緒です。
親の応援には到底かなわないけど、
できる限り俺は人にエールを届けたい。
しかし50歳までと決めてます。
- ほぼ日
- 50まで?
何ですか、その線引きは。
- 平
- ゴールのないマラソンではない、
スコップ団のときと一緒です。
スコップ団は1年と決めていた。
50になったら応援団は2代目にゆずります。
- ほぼ日
- そうであれば平団長の応援団も、
限りある「数値化できる」時間になりますね。
- 平
- そういうこと。
だからいっぱい参加してほしい。
あと9年しかできないんだ。
- 佐々木
- 終わったらどうするんでしょうか。
- 平
- 何が?
- 佐々木
- もう、ぼくの生活の中心は
応援になっています。
- 一同
- (笑)
- ほぼ日
- そうなんですか。
- 平
- うん、やりがいがあるよね。
そんなに楽しいことってあるかな、
というぐらい。
これは大人の部活です。
- ほぼ日
- ほぼ日からも、今回は3人が参加します。
応援の気持ちをいっぱいに込めて、
エールで名前を呼べるか、
まずは練習からですね。
- 平
- がんばりましょう。
本番をおたのしみに!
(おしまいです。
11月1日、ほぼ日の青空応援団も参加する、
魂の応援をどうぞごらんください)
2019-10-30-WED
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN