誰かを応援してますか。 誰かを応援してますか。
「青空応援団」という、
社会人の応援団があります。
ほぼ日は、この方々に
応援を依頼することにしました。
がんばりたいことがあるからです。
団長の平了さん、副団長の佐々木良さんに
ほぼ日の菅野がお話をうかがいました。
第6回 あの人の名前を呼ぶ。
写真
いま、カッコよさの定義が
変わってきてる気がする。
がんばるってさ、本当は
カッコいいことですからね。
ほぼ日
そうですね、
それを忘れていました。
がんばらないのがカッコいいってことに
なってますよ。
ほぼ日
がんばっても
がんばってないふりをしています。
そうですよね。
でもね、やっぱり
「私はがんばっているんだ」というのが
カッコいいんですよ。
クラーク博士が昔言っていましたよね? 
ほぼ日
「大志を抱け」?
「大志を抱け」
つまり応援団的には
「とにかくがんばれ」「アホか、がんばれ」
ということです。
応援した人たちががんばることが、
俺たちの活動の励みになるんで、
今回こうして依頼してくれるのは、
ありがたいです。
ほぼ日
佐々木副団長は、
青空応援団で太鼓を叩いていらっしゃいますが、
これまで思い出深かったことはありますか? 
佐々木
さきほど団長が敬老会での出来事を話しましたが、
あるデイサービスセンターでは、ここ数年、
入所している人たちが
青空応援団にもエールを返してくれるんです。
スタッフの方、おじいちゃんおばあちゃん、
みんないっしょになってやってくれます。
きっと、日数かけて練習してくれたんでしょう。
体が不自由そうなおじいちゃんも、
動くほうの手で手拍子したりして。
写真
ほぼ日
応援されると、
応援するほうのよろこびも感じる気がします。
応援されたときの気持ちを
「自分だって提供できるんだ」と気づくというか。
佐々木
それはあると思います。
みなさんの目は
たいてい団長のほうに向いていて、
ぼくなんて端っこにいるので、
いつもたいてい泣いています、すみません。
結婚式での応援も、すごくいいんですよ。
ある新婦のお父さんから、
「これから幸せになるふたりを応援してほしい」
と依頼が来ました。
お受けしたことはしたんだけど、
「馬鹿野郎。お前が応援しろ」
と言いました。
そして依頼人である新婦の父に
練習に参加してもらいまして。
写真
ほぼ日
馬鹿野郎と。
「娘のことをいちばん応援したいのは誰なんだ? 
自分だろう?
じゃあ自分がやれ馬鹿」
応援団は、語尾には「馬鹿アホ」をつけますのでね。
ほぼ日
はい。
「しっかりやれよ」といって、練習します。
結婚式がはじまるでしょう、
俺たちは出てって、応援しました。
仙台では「青空応援団だ」って、
知っている人たちもいます。
「すごいね」みたいなムードもある。
しかしそこで新婦に向かって俺はこう言う。
「君のいままでもこれからも、
いちばんの応援団長は、
俺じゃなくて、こいつじゃないのか?」
そこに、俺たちに借りた学ランを着た
お父さんが出てくるんですよ。



下手なんだ。
下手なんだけど娘に
「幸せになれよ」といってエールを送る。
それは、正気では、見ていられないです。
ほぼ日
無理、無理です。
声もひっくり返ってる。
でも、父はやるんです。
できていないのがカッコいいんだ。
自分の娘の名前、死ぬ気で呼ぶわけです。
そんなふうに自分の名前を
呼ばれたことってないと思うし、
しかもお父さんからだよ。
「がんばれ」って、
顔を真っ赤にして、倒れそうになって叫ぶんだ。
写真
ほぼ日
無理です。
あれが真の応援団じゃないかと思う。
結婚式に慣れている式場の方々も
みなさん号泣してました。
佐々木
お葬式の応援も、いいですよ。
葬式自体は残念な会だけど、
すごくいいんだよ。
ほぼ日
お葬式では誰を応援するんですか?
天国に向かってエールをするわけさ。
「いままでご苦労さん」とね。
「これからも天国から家族を応援するんだろ、
その応援に対してエールを送ります」
参列者全員泣いているし、こっちもヤバい。
ほぼほぼ知らない人なのにさ。
佐々木
いつも団長が言っているのは、
ぼくらにすれば、その依頼は、
年間の100本のうちのひとつですけど、
依頼される方にとっては1分の1。
気持ちをしっかり向けて、
名前を呼んで応援します。
写真
ほぼ日
入魂して。
その人は勇気を振り絞って、
人生の最初で最後に
応援団に依頼したのかもしれないから。
ほぼ日
団長はスコップ団のときも、
おなじようにおっしゃってましたね。
2万の人が死んだことが1件起きたんじゃない、と。
1件の悲しいことが2万件起きたんだ、
そういうつもりでスコップ団もやらないとあかんよ、
と言ってました。
「今日は9つまわるんだね、がんばらなくちゃ」
じゃなくて、
「ひとつひとつ、9回やるだけ」という話です。
あのときも俺はあんなに
プリプリ怒っていたんだから、
それはいまもずっと一緒です。



親の応援には到底かなわないけど、
できる限り俺は人にエールを届けたい。
しかし50歳までと決めてます。
ほぼ日
50まで? 
何ですか、その線引きは。
ゴールのないマラソンではない、
スコップ団のときと一緒です。
スコップ団は1年と決めていた。
50になったら応援団は2代目にゆずります。
ほぼ日
そうであれば平団長の応援団も、
限りある「数値化できる」時間になりますね。
そういうこと。
だからいっぱい参加してほしい。
あと9年しかできないんだ。
佐々木
終わったらどうするんでしょうか。
何が? 
佐々木
もう、ぼくの生活の中心は
応援になっています。
写真
一同
(笑)
ほぼ日
そうなんですか。
うん、やりがいがあるよね。
そんなに楽しいことってあるかな、
というぐらい。
これは大人の部活です。
ほぼ日
ほぼ日からも、今回は3人が参加します。
応援の気持ちをいっぱいに込めて、
エールで名前を呼べるか、
まずは練習からですね。
がんばりましょう。
本番をおたのしみに!
写真
(おしまいです。
11月1日、ほぼ日の青空応援団も参加する、
魂の応援をどうぞごらんください)
2019-10-30-WED