「青空応援団」という、
社会人の応援団があります。
ほぼ日は、この方々に
応援を依頼することにしました。
がんばりたいことがあるからです。
団長の平了さん、副団長の佐々木良さんに
ほぼ日の菅野がお話をうかがいました。
- ほぼ日
- 「怖いけど味方である」
応援団って、
ちょっと不思議な存在ですね。
- 平
- それが応援団の役割だと思います。
がんばる人の味方であることは
間違いないから。
- ほぼ日
- がんばらない人の味方はしないですか。
- 平
- しない。
いや、したいんだけど、できないんだよ。
したいんだけど、
朝起きる気がない子に
「起きろ、起きろ」といっても
起きないでしょう。
それは、俺たちにはお手上げです。
- ほぼ日
- でも、振り返れば震災のとき、
がんばりたくてもがんばれない人たちが
たくさんいらっしゃいました。
スコップ団がやっていた清掃って、
がんばれない人たちに向けた、
静かな応援だったんじゃないでしょうか。
- 平
- うん。きっとそうですね。
あの頃は「応援」という言葉は
使わなかったけど、
たぶんそうだったと思う。
- ほぼ日
- 今後は別の場所に移るかもしれないし、
住まなくなるかもしれないけれども、
目の前の泥を洗い流して、
思い出の品を見つけてきれいにする行為は、
たしかに応援だったんじゃないかといま思います。
- 平
- 応援はね、
お礼を言われるために
やるわけじゃないんですよ。
こっちが好きでやっている、
というのが基本です。
- ほぼ日
- スコップ団も、好きでやっていた。
- 平
- あれは当たり前のことじゃん?
「お礼を言う、言われる」
という関係じゃなくて、
お互い対等ですよ。
スコップ団も応援団も、
その気持ちはずっとあります。
「してあげる、してもらう」なんてことじゃない。
- ほぼ日
- そうですね、その言葉遣いだと
「支援」になってしまいますね。
- 平
- そう。お互いが応援しあう関係です。
ほんとうはみんな、生きているだけで
誰かの力になったりしてるじゃない?
みんなそこにいるだけで
応援になっているはずなのに、
気づいていないだけなんじゃないの?
それはべつに「してあげた」ことじゃないでしょう。
- ほぼ日
- なんだか生意気に、
ひとり生きているような気分に
なってしまうけれども‥‥。
- 平
- そんなはずはないんだ。
迷惑も、いるだけでつねにかけまくっているんだから。
だから思う存分、迷惑かけつづけていいんです。
そこにいるだけで誰かの力になっているということも
同時に真実なんだからね。
なかにはね、生まれてこの方、
はっきりと応援されたことがない人だって
いるんだよ。
- ほぼ日
- 応援団に、生まれてはじめて応援される人も、
いるかもしれないですね。
- 平
- そういう人は、必ず俺たちの応援を
これからの生きる力にしていきます。
これはまちがいない。
応援の力ってすごいと思う。
- ほぼ日
- うん、応援はやっぱり、
自立の助けになると思います。
なぜかわからないけど、
応援してくれる人がいたというだけで
強くなれる。
- 平
- 俺ね、いま世の中に必要なのは、
「お母さん」と「応援」だと思うんだよ。
- ほぼ日
- お母さんって何ですか?
- 平
- 湧き出るような愛情というか(笑)‥‥、
面倒を見てくれるとかじゃないんだよ、
なんていったらいいんだろうな、
シャツ脱いだら勝手にクリーニングに出したり、
からだのことを考えてくれたりするでしょ、
お母さんって。
その商売、受けるし儲かる気がするんだよなぁ。
- ほぼ日
- つまり「気にかけてくれる」ってことかな。
- 平
- うん、そうだね、そういう会社。
それがあったらいいなぁと思う。
- ほぼ日
- なるほど。
- 平
- 俺たち、2014年にフランスに行ったんですよ、
ジャパンエキスポで。
- ほぼ日
- はい、そのビデオを見たことがあります。
- 平
- そのとき知ったんだけど、
「がんばれ」って言葉は
日本にしかないんですって。
たしかに英語にぴったりのがないんですよ。
「go ahead」とか「hang in there」とかね。
でもどれも日本語の「がんばれ」とはちがう。
- ほぼ日
- そうですね「がんばる」って
もっと漠然としてますね。
- 平
- チア(リーディング)はあるけど、
応援団は日本にしかない。
「日本のマンガに出てくる
応援団が生で見られるぞ!」
ということで、
フランスではとてもよろこばれました。
でもさ、俺たちは日本語でエールを送るわけ。
だからまぁ、見てくれる人の中で
ひとりでもフランスの人がいたらいいな、
なんて思ってたんだけども、
フランスの人たち、応援見てほぼ泣いてたよ。
- ほぼ日
- 日本語なのに?
- 平
- 日本語なのに。伝わるんだ。
応援してほしい人いますか、って訊くと、
フランス語であれこれあれこれ言ってくる。
ぜんぜんわからないんだけど、通訳の人が
「いま、こういう壁にぶつかっていて」
と言ったりするわけ。
勇気を出して言ってくれてるんだよね。
それ聞いて、俺たちはエールしました。
出番が終わるのを何時間も待って、
握手してったおばちゃんもいたし、
「日本に帰らないで結婚してくれ」
という人たちもいっぱいいました。
- ほぼ日
- すごい。
応援は世界共通になるかも。
- 平
- 青空は境界がないね。
この応援の考え、ホントに
海外でも流行らないかな。
(つづきます)
2019-10-29-TUE
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN