「青空応援団」という、
社会人の応援団があります。
ほぼ日は、この方々に
応援を依頼することにしました。
がんばりたいことがあるからです。
団長の平了さん、副団長の佐々木良さんに
ほぼ日の菅野がお話をうかがいました。
- 平
- 昔はツッパった、
怖いおにいさんたちが世にいましたよね。
いま、怖い人がいないから、
ヤバい人が出てきてるんだと
ぼくは思います。
- ほぼ日
- たとえば仕事をしていても、
私には怖い存在がいます。
そのおかげでがんばっているところがあります。
- 平
- うん、それって大事なんだよね。
そういう人は正しいし優しいしから好かれるし、
よけいに怖いんだと思う。
俺はそういう人になりたい。
だけど、いまの子どもたちは、
がんばると笑われるっていうじゃん?
がんばっている人間が、
がんばっていない人間に
気を遣う世の中になってません?
会社の中でも
「なんであいつあんなにがんばっちゃってんの?」
みたいに言われるって聞きますよ。
- ほぼ日
- それは、あります。
もっとゆるくいこう、楽にいこう、
人間らしい暮らしをしよう、
なにを必死になってるんですか、なんていって、
クールな構えに入ろうとしている感じもあります。
- 平
- それはそれでいいと思う。
だけど、俺は嫌なのね。
がんばるという道を捨てた人たちと
5年も10年もいっしょに仕事をするということが、
俺は不安でならない。
「どんなことがあっても、笑われようが何しようが、
私は自分で決めたことをやります」
という人たちと俺は一緒にいたいです。
そうじゃないと、
人となかよくなんてできないよ。
世界中で、がんばっている人がどれほど多いことか、
見まわしてみるといい。
- ほぼ日
- 自分の夢を言えない子どもも多いです。
- 平
- 笑われちゃうからね。
みんな、心の奥にはあるんだよ。
「アイドルになりたい」とか
「宇宙飛行士になりたい」とか、
「今日の夜はこれを食べたい」とかね。
「どうせダメって言われるから言わない」
「できねぇって笑われるから言わない」
なんて我慢ばっかりしていたら、
意味なく遠慮がちに生きていくことに
慣れてしまう。
- ほぼ日
- そうですね。
- 平
- 人の夢を笑うやつは卑怯者です。
これは本当にあった話なんだけど、
ぼくらが応援にいった名古屋の小学校で
「AKBに入りたい。応援してください」
と言った子がいました。
みんな笑ったんだよ。
俺はふたつのことで怒りました。
ひとつはいま人の夢を笑ったこと。
もうひとつは、
そいつらの未来に怒りました。
「もし彼女が本当にAKBに入ったら、
お前らはどうせ自慢するだろう。
同級生や後輩に、もしくは教え子に、
AKBがいるんだよ、って言うだろう」
いま笑ったくせにね、
すごく傷つけたくせに、
その子が有名になったら「俺は友達だ」と言う。
ちがうね、友達だったら、いま笑わない。
お前らは卑怯者だよ。
ぼくはものすごく怒る。
そうすると聞いてるみんなは、
なぜだか表情がいっせいに、
人形のように固くなっていくんです。
- ほぼ日
- 笑っていた人たちが。
- 平
- シーンとなる。
- 佐々木
- 空気がピシッと変わります。
- 平
- でもね、俺は思う。
笑ったやつらの中にも、
ほんとうはあるんだ。
言えないだけなんですよ。
- ほぼ日
- 自分が言えないから、
よけいに笑ってしまうんですね。
- 平
- でも、言ってくれないと、
俺らもしょうがないんだよ。
俺たち、卒業式にも呼んでもらいます。
卒業式で俺らがドーンと応援したあと、
生徒たちが教室に戻って、
「実は先生、ぼく脚本家になりたいんです」
みたいなことを言ってくるんだって。
「卒業式で言われても、
進路指導終わっているんだけど!」
「いま火をつけられても!」
という話になる。
卒業式って実は手遅れで、
「次回からは入学式に呼びます」と
先生たちは言ってました。
先生たちだって、わからないんだよ。
言ってくれたら叶えられることもあるのに、
言ってくれないから、
先生は応援できないんだ。
- ほぼ日
- なかなか言えないですよね、
本当の気持ちは。
- 平
- そうね。
でも、本当の気持ちって、
本当はあるじゃない?
それを俺たち青空応援団には言ってくれる。
- ほぼ日
- 「こうなりたいので、応援してください」
というふうに?
- 平
- そうです。
ひとりが手を挙げると「私も私も」と言い出す。
それ聞いて、悔しがっている先生もいるよ。
- ほぼ日
- 親や先生が聞き出せないことが。
- 平
- うん。
でもそれ、そういうもんだよね。
近い人よりちょっとよその人が来て、
迫力あるし怖そうなのにいい人かなって感じがして、
気を許しちゃう。
「この人たちは私の味方なんじゃないのかな」
というふうに思ってくれるんですよ。
ちなみにその名古屋の小学生は、
自分で言ったとおり、AKBになりました。
(明日につづきます)
2019-10-28-MON
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN