誰かを応援してますか。 誰かを応援してますか。
「青空応援団」という、
社会人の応援団があります。
ほぼ日は、この方々に
応援を依頼することにしました。
がんばりたいことがあるからです。
団長の平了さん、副団長の佐々木良さんに
ほぼ日の菅野がお話をうかがいました。
第4回 本当の気持ち。
写真
昔はツッパった、
怖いおにいさんたちが世にいましたよね。
いま、怖い人がいないから、
ヤバい人が出てきてるんだと
ぼくは思います。
ほぼ日
たとえば仕事をしていても、
私には怖い存在がいます。
そのおかげでがんばっているところがあります。
うん、それって大事なんだよね。
そういう人は正しいし優しいしから好かれるし、
よけいに怖いんだと思う。
俺はそういう人になりたい。



だけど、いまの子どもたちは、
がんばると笑われるっていうじゃん? 
がんばっている人間が、
がんばっていない人間に
気を遣う世の中になってません? 
会社の中でも
「なんであいつあんなにがんばっちゃってんの?」
みたいに言われるって聞きますよ。
ほぼ日
それは、あります。
もっとゆるくいこう、楽にいこう、
人間らしい暮らしをしよう、
なにを必死になってるんですか、なんていって、
クールな構えに入ろうとしている感じもあります。
それはそれでいいと思う。
だけど、俺は嫌なのね。
がんばるという道を捨てた人たちと
5年も10年もいっしょに仕事をするということが、
俺は不安でならない。
「どんなことがあっても、笑われようが何しようが、
私は自分で決めたことをやります」
という人たちと俺は一緒にいたいです。
そうじゃないと、
人となかよくなんてできないよ。
世界中で、がんばっている人がどれほど多いことか、
見まわしてみるといい。
ほぼ日
自分の夢を言えない子どもも多いです。
笑われちゃうからね。
みんな、心の奥にはあるんだよ。
「アイドルになりたい」とか
「宇宙飛行士になりたい」とか、
「今日の夜はこれを食べたい」とかね。



「どうせダメって言われるから言わない」
「できねぇって笑われるから言わない」
なんて我慢ばっかりしていたら、
意味なく遠慮がちに生きていくことに
慣れてしまう。
写真
ほぼ日
そうですね。
人の夢を笑うやつは卑怯者です。
これは本当にあった話なんだけど、
ぼくらが応援にいった名古屋の小学校で
「AKBに入りたい。応援してください」
と言った子がいました。
みんな笑ったんだよ。



俺はふたつのことで怒りました。
ひとつはいま人の夢を笑ったこと。
もうひとつは、
そいつらの未来に怒りました。



「もし彼女が本当にAKBに入ったら、
お前らはどうせ自慢するだろう。
同級生や後輩に、もしくは教え子に、
AKBがいるんだよ、って言うだろう」
いま笑ったくせにね、
すごく傷つけたくせに、
その子が有名になったら「俺は友達だ」と言う。
ちがうね、友達だったら、いま笑わない。
お前らは卑怯者だよ。



ぼくはものすごく怒る。
そうすると聞いてるみんなは、
なぜだか表情がいっせいに、
人形のように固くなっていくんです。
ほぼ日
笑っていた人たちが。
シーンとなる。
佐々木
空気がピシッと変わります。
でもね、俺は思う。
笑ったやつらの中にも、
ほんとうはあるんだ。
言えないだけなんですよ。
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ほぼ日
自分が言えないから、
よけいに笑ってしまうんですね。
でも、言ってくれないと、
俺らもしょうがないんだよ。



俺たち、卒業式にも呼んでもらいます。
卒業式で俺らがドーンと応援したあと、
生徒たちが教室に戻って、
「実は先生、ぼく脚本家になりたいんです」
みたいなことを言ってくるんだって。
「卒業式で言われても、
進路指導終わっているんだけど!」
「いま火をつけられても!」
という話になる。
卒業式って実は手遅れで、
「次回からは入学式に呼びます」と
先生たちは言ってました。



先生たちだって、わからないんだよ。
言ってくれたら叶えられることもあるのに、
言ってくれないから、
先生は応援できないんだ。
ほぼ日
なかなか言えないですよね、
本当の気持ちは。
そうね。
でも、本当の気持ちって、
本当はあるじゃない? 
それを俺たち青空応援団には言ってくれる。
ほぼ日
「こうなりたいので、応援してください」
というふうに?
そうです。
ひとりが手を挙げると「私も私も」と言い出す。
それ聞いて、悔しがっている先生もいるよ。
ほぼ日
親や先生が聞き出せないことが。
うん。
でもそれ、そういうもんだよね。
近い人よりちょっとよその人が来て、
迫力あるし怖そうなのにいい人かなって感じがして、
気を許しちゃう。
「この人たちは私の味方なんじゃないのかな」
というふうに思ってくれるんですよ。



ちなみにその名古屋の小学生は、
自分で言ったとおり、AKBになりました。
(明日につづきます)
2019-10-28-MON