「青空応援団」という、
社会人の応援団があります。
ほぼ日は、この方々に
応援を依頼することにしました。
がんばりたいことがあるからです。
団長の平了さん、副団長の佐々木良さんに
ほぼ日の菅野がお話をうかがいました。
- ほぼ日
- 青空応援団の特徴って、ありますか?
- 平
- 団長が厳しいです。
- ほぼ日
- それはそんな気がします。
- 平
- 興行ではありませんから、
自分をよく見せようと思う人がいたら、
やめてもらう。
- ほぼ日
- なかなか難しいですね。
- 平
- エールをするときは、
失敗しないようにとか、
そんなのは、もうどうでもいいんです。
お祈りするように、エールを送るしかない。
菅野さんにエールするんだったら、
菅野さんのことだけを考える。
どういう人生を歩んできたかわからないけど、
想像するんです。
この人が小さいときどうだったか、
愛されてきたんだろうか、
どんなふうにがんばってきたのか、
いまもすごくがんばっていて、
もうこれ以上がんばれないと思っている、
だから俺たちにエールを頼んでるんだ。
だから、祈るようにエールをするしかない。
- ほぼ日
- 「この人はがんばっているから頼むんだ」と。
- 平
- そうです。
がんばっている人ほどエールを受けたら泣きます。
がんばっていれば、ですよ。
そこでね、
「俺は応援団なんだ、カッコいいだろう」
というのがちょっとでも出ちゃうと、
もう、ぜんっぜん、響きません。
だめです。
- ほぼ日
- でも、見ている側からは、
青空応援団はかっこよく見えちゃいますよ。
- 平
- それはそうかもしれませんね。
だって、「うわ」っていう人たちに
応援されたくないでしょ?
- ほぼ日
- 「うわ」っていう人たち?!
- 平
- 応援団で厳しく言われるのは、
「選手のほうがつらいんだよ」
という前提です。
だから自分たちの姿勢が楽なのは、まずはだめ。
1秒でも楽な時間をつくるんじゃない、と言われます。
応援しているあいだはずっとピシッと
立ってなきゃいけない。
腰が痛くてつらいです。
たとえばマラソンの応援ってね、
7時間くらいかかるんですよ。
- ほぼ日
- え‥‥。
立っているんですか、ずっと?
- 佐々木
- ずっとです。
- 平
- 立ちっぱなし。
「こりゃ~走ったほうが楽なんじゃないのかな」
なんて、一瞬思います。
でもまちがいない、選手のほうがつらい。
- ほぼ日
- 楽な姿勢をとらないのは、
応援しているからですか?
- 平
- そうです。
自堕落そうなやつに、
お菓子食べながら「がんばってね」と言われても、
「まずおまえががんばれよ」ということに
なりますよね。
人にがんばれと言う場合は、
それ以上にがんばっていないと意味がありません。
お父さんお母さんたちには、
「子どもたちに勉強がんばれと言う前に
お前らは何かがんばっているのか」
という話をします。
- ほぼ日
- 親も先生も。
先輩や上司も。
- 平
- そうだね。
だけどいまは、
「そんなことだと
お父さんやお母さんみたくなっちゃうよ」
なんて言うでしょう。
- ほぼ日
- はい、自虐で。
- 平
- そういう説教じゃなくて、
「私もがんばるから、あなたもがんばれ」
と言いましょう。
それが本当の応援だと思います。
それ、俺、すごく怒るの。
- ほぼ日
- PTAの会などで話すことがあるんですか?
- 平
- あります。
PTA参加型の会で講演もやる。
そういうとき、まずガムを噛んでいる人がいたら
「出ていけ」と言います。
人の話を聞くときに、失礼じゃないですか。
あとは、子どもたちに
「静かに話を聞きなさい」と言ってるわりに、
ずっと隣の人としゃべってる親がいる。
「俺の話が大事じゃないのかな。お前ら出ていけ」
と言って、出ていくまで話は再開しません。
俺はすごく怖いですよ。
でも怖いのって大事じゃない?
- ほぼ日
- 怖いのが。
なぜですか?
- 平
- いま、ヤバいやつはいっぱいいるけど、
怖い人っていないよ。
怖いのは大事です。
怖さって、心の最後の抑止力だから。
何も怖くないなら、
人を殺しても怖くない、警察も怖くないよ。
- ほぼ日
- そっか、文字どおり怖いものなしという状態ですね。
- 平
- 怖いもの知らずってヤバいやつだよ。
だから、怖いものはあったほうがいい。
生きてて本当に怖いのは、
おばけやゾンビに会うことじゃないですよ、
自分が好きな人に嫌われることです。
人を好きになると、怖いことが増える。
だから、好きになったほうがいいんだ。
好きになったから、嫌われないように
努力するんじゃないですか。
好き同士になったら、お互いに
ずっと好きでいてもらう努力をするんだ。
- ほぼ日
- 「怖いこと」を増やさず、
避けたり逃げたりすることが、
いまは主流になっている気もします。
たとえば恋愛を意識的に避けたりする。
でも、本当はみんな知ってるんですよね、
怖いものがあるってことは。
- 平
- きっとね。
(明日につづきます)
2019-10-27-SUN
(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN