糸井 |
絵の細かい部分を見ていると、
横尾さんがどうしてこれを入れたのか、
なぜこの色を使ったのかが、
なんだかとても気になってきます。
小さなお地蔵さんに
印象的な赤いよだれかけがついていたり。 |
横尾 |
ああ、これね。
たぶん、パーンとした大きなものより
克明に見てる間に発見したものに対しては
「自慢もしたいけども」というところかな。
|
糸井 |
ふふふ。 |
横尾 |
でも、一方でさ、こんな絵で
恐怖をいだかせちゃうんじゃないかという
心配もあるわけ。
|
糸井 |
わかりますよ、これは悪夢ですもん。 |
横尾 |
‥‥ちょっとさ、これを見た人、
「ほぼ日」のまじめな読者の人は、
気になるだろうから、
「悪夢じゃないです」って入れといてよ。
|
一同 |
(笑) |
糸井 |
横尾さん、こっちに進むと
悪夢どころか、もう善夢ですよ!
|
横尾 |
それは、霊夢です。 |
糸井 |
まるで「ものぐるほしけれ」です。
いやいや、どこを見ても‥‥
いいです、本当に。
くらくらします。 |
横尾 |
そう? |
糸井 |
この悪さは、人に薦めやすいですよ。
最高です。 |
横尾 |
そんな早いこと
結論出さないで。
まだまだあるんだから。 |
糸井 |
どう言ったらいいんでしょうか?
どういう人なんだろう?
横尾さんはやっぱり永遠のアイドルです。 |
横尾 |
何を言ってるの、この人は(笑)。
この辺は、糸井さんの青春時代だね。
|
糸井 |
あ、こんなマークが入ってる。
|
横尾 |
ああ、日本デザインセンターのマークね。
このマークに気がついた人は
はじめてですよ。 |
糸井 |
そんな人間で、恥ずかしいです。
横尾さんは、日本デザインセンターに
勤めてたんですよね。
当時、横尾さんのこういう絵は、
若かったぼくにとって
吐き気がするくらい強烈だったんです。
横尾さんの大きな油彩作品のすごみは、
ここにはないように思えるのに。
|
横尾 |
そうだね、この頃にはこの頃の何かがあるね。 |
糸井 |
でも、この中に
いまの横尾さんの全部が
入っているとも言えます。 |
横尾 |
いや、でもね、これをいま見る人は、
星の光を何十光年か後に
見てるということだからね。
|
糸井 |
そうですね。 |
横尾 |
ぼくは、向こうで
ピカッと光ったんだけど、
ここに来るまでに
30〜40年くらいかかっちゃったからさ。 |
糸井 |
そうですね。
どうしてそんなに
詩的な表現をなさるんでしょう。 |
横尾 |
はははは(笑いながら逃げる)。
|
糸井 |
攻めると逃げますね。
これくらいは言わせてくださいよ。
「二十億光年の孤独」みたいでしたよ。 |
横尾 |
そのくらいにしときましょうよ。
あんまりしつこく言うと、
だんだん、だんだん
糸井さんの罠がまた出てくるから。 |
一同 |
(笑)
|
|
(続きます!) |