冒険王、 横尾忠則。   横尾さんの展覧会で、横尾さんにお会いしました。 「‥‥あなたという人は!」と 何度も叫びそうになりました。すごいです。 さぁ、みなさん。ご本人といっしょに 横尾忠則さんのすばらしい冒険の記録を 見て回りましょう。

横尾忠則さんの展覧会
「冒険王・横尾忠則」は
2008年6月15日までは世田谷美術館で、
6月27日から8月24日までは
兵庫県立美術館で開催。

横尾忠則さんのオフィシャルサイトは
こちらです。

 
001 スタートは、2色のルソー。
 
糸井 横尾さん、どうも、こんにちは。
横尾 いま、大雨だったでしょ?
糸井 いえ、ぜんぜん。
横尾 ぼくがここ(世田谷美術館)に着いたときは
大雨で、落雷で、すごかったよ。
もうちょっと前に着いてたら、
さなかだったのにね。
じゃ、さっそく絵を見て回りましょうか。
糸井 お願いします。
横尾 まず、この展覧会で唯一、
気に入らないところが
いちばん最初にあります。
見て、あの矢印を。

糸井 あっち向いちゃってる、ってことですか?

横尾 あれじゃあ、お客さんが
向こうに行っちゃうでしょ?
入り口は2階なんだから、
矢印が真上に向いてれば
階段を上がる気になる。
どうしてあんなことになったのか。
あそこがこの展覧会の唯一の欠点です。
ほかに汚点は一切ないのに。

糸井 (笑)
横尾 じゃ、行きますよ。
糸井 うわぁ‥‥!
こりゃ、たいへんだ。
最初っからこんなにいっぱい
絵があるんですか?

横尾 これで終わりじゃないですよ。
これからもっといっぱいあるんだからね。
糸井 おもしろい!!
横尾 糸井さん、その距離じゃ、
このおもしろさは見えないよ。
もっと、ほら
絵のほうに寄ってみて。

糸井 ‥‥‥‥これは、
ルソーの絵の模写、というか
オマージュなんですね。
横尾 元のルソーの絵を小さく展示しているので、
見比べてみてよ。

糸井 見比べます。
(ルソーの絵と横尾さんの絵を見比べる)
ええっと、ここがなくなって、

横尾 ああ、そんなことやってると時間かかる!
糸井 ‥‥どうすりゃいいんだよ(笑)。
横尾 この絵のどこがどうなってるか、
パッと見て、わからないかな。
糸井 横尾さん、こういう人が、この前
僕の家の近所でつかまってましたよ。
つまり、ズボンを履いてない人が。

横尾 そういうふうに
批判的に見ないでくださいね。
糸井 批判じゃありませんよ。
横尾 色の特徴に気づかない?
これ、全部2色で描いたんだよ。
どの絵も2色。
この絵は青と赤で描いたの。
黒い部分は、2色を
何度も何度も塗って、出したんです。

糸井 ‥‥それは、聞かなきゃわかんなかったですね。
横尾 見てわかってもらわないと。
一同 (笑)
糸井 すごいですね。
しかし、横尾さんですからね、
嘘もついてると思います。
2色を基本にしてるってだけで‥‥
横尾 なに言ってるの、2色だよ。

糸井 ムキにならずに。
横尾 このとき使ったブルーは、
スカイブルーのなかでも
濃いブルーなんです。
糸井 よし。
横尾 よし?
その、もともとの濃いブルーに
赤をかけると、茶色ができるわけ。
そのかけ方と重ね具合は
錬金術ですよ。
糸井 ‥‥だって、緑があるじゃないですか。

横尾 これは、緑じゃないの。
緑に見えてるだけなんだよ。
糸井 ‥‥ほんとだ!
ちょ、ちょっと‥‥うわぁ、そうだ!

横尾 ルーペで見ても
緑はどこにもないわけ。
もともとのスカイブルーの色も、
この絵の中には見つからないし。
糸井 横尾さん、これはほんとにすごいですね。
そんなことに
感心させたいわけじゃないんでしょうけどもね。
横尾 いやいや
そこに感心させたいわけ。

糸井 いやあ、これは、
すごいものがはじまった。
これは、見るのにそうとう
時間がかかるよ。

  (続きます!)
 
2008-05-29-THU
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世田谷美術館「冒険王・横尾忠則」

横尾忠則×糸井重里 
6月15日(日)
トークイベントが
決定しました。

日時:6月15日(日)10:30〜11:30
会場:世田谷美術館講堂
料金:500円
定員:250名
チケット販売:
当日朝10時より
世田谷美術館にて販売されます。
※複数枚お求めの場合は、
 おひとりさま2枚まで。

くわしくはこちらをごらんください。

くわしくは、こちらをクリック。


001 スタートは、2色のルソー。
002 こんなことを、いつのまに。
003 もう、この絵とは関わりたくない。
  004 何十年か前に光ったけども。
  005 毎日やらないと、溜まらない。
  006 ま、古いセンスですよ。
  007 構図について質問を。
  008 数百年後に必ずいる人。
  009 絵画は技術である。
  010 反復すること。
  011 おふたりで‥‥。
  011 おふたりで‥‥。
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