糸井 |
これは、雑誌「話の特集」の
カバーデザインですね。
あの平野威馬雄(ひらの いまお)さんの表紙は
記憶にあるなぁ。
平野威馬雄さんというのは、
平野レミさんのお父さんです。
|
横尾 |
フランス文学者ですね。
こうやって並べてみるとわかるけど、
この雑誌は毎月、
タイトルの書体を変えたために、
毎回始末書を書いて
取次店に謝りに行ってました。
「次は守ります」と言いながら、
またやっちゃうわけだからさ。 |
糸井 |
たしかに毎回、タイトルのデザインが
ずいぶん違いますね。
なるほど、そういう苦労があったんですか。
|
横尾 |
あ、いや、
ぼくは苦労してない。
社長が謝りに行くわけ。 |
一同 |
(笑) |
糸井 |
それはいいですね(笑)。
これは、タイトルを
よその雑誌から引き継いだんでしたっけ? |
横尾 |
違う違う。
あのね、これはもともと、
カストリ雑誌として出してたものを
新しく矢崎(泰久)さんが編集長で
出すことになって、
このタイトルではダメだと言ったわけ。
いまはどうかわかんないけど、
当時はこのタイトルだけ見ても、
カストリ雑誌とわかるようなものだったんです。
だけど、表紙を頼まれたときに、
このタイトルでないと
ぼくは描かないって、がんばったの。 |
糸井 |
それは、横尾さんが、
無理やりに? |
横尾 |
無理やり。
いかにもカストリ雑誌風に描きたかった。 |
糸井 |
そのおかげでここまでできた、というところが
絶対にありますよね。
そういうセンスがねぇ、
横尾さんにあったということですよ。 |
横尾 |
ま、古いセンスですよ。
|
糸井 |
‥‥‥‥「センスがねぇ」で
止めればいいものを、
いちいちついてきちゃいますね(笑)。 |
横尾 |
これはね、三島(由紀夫)さんだよ。
|
糸井 |
薔薇が乗ってますね。 |
横尾 |
もっと近くに寄って見てよ。
|
糸井 |
これは、薔薇が‥‥貼ってあるんですか? |
横尾 |
そう。絵の上から、
薔薇の花を貼っつけてんだよ。
だけど「ここ」はね、ちゃんと実際に、
薔薇の下に描いてるわけ。
それを、上で隠しました。 |
糸井 |
一旦、描いたんですね。 |
横尾 |
そうしないと、気分が出ないもんね? |
糸井 |
つまり、絵のつながりが
違っちゃいますよね? |
横尾 |
ここで「気分」という言葉は
あんまりよくなかったかもしれない。
「ほぼ日」のまじめな読者の人は、
気になるだろうから、
「つながりが悪いです」にしといてよ。
|
糸井 |
ああ、よくなかったですね。
「そうしないとダメだもんね」と(笑)。 |
横尾 |
そういうことにしといてよ。 |
ほぼ日 |
そうしておきます。 |
|
(続きます!) |