池谷 |
自分の状態が「ロー」の時には
アイデアも出ないので、ぼくは
論文を書かないようにしてます。
「ロー」の時に論文を書いても、
学会を通らないだろうし、
光る文も書けないだろうと……
それは「ハイ」の時にやったほうがいい。 |
糸井 |
木の年輪で言うと、
年輪の濃くなる冬の時期、ですよね。
同じ状態でずっといくというと、
人間は不慮の事故に対応できないというか、
人間の体内時計は二十五時間にできていて、
そもそも、起こりうる偶然の事件に
対応できるようになっているだとか……
ぐらぐらした状態が、人間の姿なんですね。 |
池谷 |
やはり「揺らぎ」の必要があるんです。
年輪の例で言うと、
熱帯の年輪のない木は折れやすいですし。 |
糸井 |
千年腐らない木というのは、
伐採するまで千年経っていたりするわけです。 |
池谷 |
今の状態が
「ロー」だと人に伝えるのは、
ラクになりたいからでしょうか。 |
糸井 |
宣言しないと、
期待されているものに対して
ちゃんとした答えを返せないんですよね。
今、自分に期待しないでください、という
メッセージをぼくは出しているつもりです。 |