糸井 夢と現実を行き来している時に、
幽霊を見るというのはわかるなぁ。
池谷 目は開いていて、
いつもの寝室の風景は見えている……
でも、戸口に人がいるじゃないの、
というような状態ですね。
糸井 いわゆる「超能力者」は
目に病気を抱えている人が多い、
と、統計的に言われていますよね。
池谷 目そのものよりも、
脳の視覚野に異常があって
ものが見えない人は、
幻覚を見やすいとは言われています。
糸井 視覚の障害の部分を埋めることで、
人に見えないものが見えるという?
池谷 ぼくは前に
右目だけ見えなくなったことがあります。
視神経のところが腫れてしまって、
神経を圧迫してただけなんですが、
三日間ぐらい、見えない状態でいて……。

右目だけ光を感じないので
黒色になっているのですが、
テカテカ光った黒色でなく、
ツヤなしの黒として見えるわけですね。
ただ、おもしろいことに、
そこに薄くいろんなものがあるんです。

黒は黒なんですけど、
雲のような星のような……
たぶん脳が生みだして、
そこに埋めているんですよね。
人によっては、
アニメのキャラクターが
見えるかもしれませんし、
極端な話、
神さまが見える人もいるかもしれません。

ぼくの場合は、
いつも見えたというわけではなくて、
意識とは関係なく、
いろんな光が埋めこまれて見えたんです。
糸井 三日間のその状態は、不自由でしたか?
池谷 不自由です、かなり。
実験してたんですが、
注射針の先を試験管に入れることすら、
むずかしかったんです。

(つづく)
2005-07-26-TUE
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