糸井 |
自殺プログラムがあることなどを
池谷さんが発見する時って、
うれしいんだろうなぁ。 |
池谷 |
やはりうれしいですね。
培養している人は
世界中にごまんといるわけです。
でも、みんなが気づかなかったんですから。
言われてみるとそうだとは言うんですけど。 |
糸井 |
発見って、
あとからきいたら
当たり前のものですもんね。
だからこそスゴイんだけど。 |
池谷 |
ぼくはこの研究室には
自分で来たいと言って来たんですが、
研究室に配属になった当時にいらした
齋藤洋教授というかたは
(いまは退官して名誉教授のようです)
「吐くこと」について
世界的な知名度を誇っていたんです。
スンクスという動物がいて、
嘔吐するのですが、
そういう動物を見つけた教授なんです。
「ちいさくて吐く動物」を
発見したことはすごく画期的なことなんです。
人間は吐きますよね。
だから、
薬学部としてはやはり
吐気どめや
酔いどめや、
気持ちの悪さをおさえる薬というのは、
薬学部としてはやはり作りたいんです。
犬は吐きますよね。
猫も吐くんですよ。
でも、もうすこしちいさい動物の
ネズミ、マウス、ラット、ウサギ
というあたりは、吐かないんです。
吐くための神経回路が
備わっていないんです。
だから、嘔吐の研究をしたければ、
大型の動物で実験しなければならないし、
実験施設も大規模のものが必要になるし、
貴重な薬を試してみたくても、
薬の必要量が多くなってしまうんですね。
ということで、
実験の現場では
ちいさな動物で吐く動物が求められていて、
齋藤洋教授は、それを見つけたんです。 |
糸井 |
その話は、ぜひ、ききたいなぁ。 |