たかしま | その次に「ブタ子さん」を描いたのが、 最初に生まれてから、ひと月後ですね。 これになるんですけどね。 |
── | ブタ子さん。 |
たかしま | 世田谷美術館のホールを借りて みんなでグループ展を、っていうのに 誘ってもらったんですけど、 そこの展示がですね、テーマが ちょうどハロウィンの時期だったんで、おばけ。 おばけをテーマにグループ展をしようっていうことで、 ぼくは、こういう作品を出したんです。 |
── | 三部作ですか。 おばけがいるんですね。 |
たかしま | ろくろっ首と これは、百面相っていう妖怪を ぼくが考えました。 これは、「うろつき」っていう妖怪ですね。 あと、これだけじゃ、さみしいかな、 っていうことで、 おばけの絵本を作ってみよう っていうことで作ったのが、 今回、特典としてつくっていただく 「おばけやしき」の原型なんです。 |
── | でも、そこには「ブタ子さん」は いないわけですよね。 |
たかしま | はい、いません。この展示が終わったあとに、 来てくださった方に「ありがとうございました」 って、お礼状を作ろうということで、 どんなお礼状にしようかなって考えたときに、 実は‥‥ということで、 たねあかしのような絵はがきにしたんです。 そこに「ブタ子さん」が登場するんです。 そのとき、初めて、名前も、ブタ子さん。 名前もその場でつけました。 そして、このグループ展をやった仲間で、 次の年、都庁のギャラリーで、 という話になるんです。 そこまでの設定は ぼくの中にあったことはあったんですけど、 いま連載させていただいている 「ブタフィーヌさん」の世界は まったく、ありませんでした。 そんな、深いものにするつもりはなかったんですね。 ただ、あまりにもみんなが おっしゃってくださって、 なんか、そんなふうに言ってもらえるのはうれいしな って感じで、 だんだん、こう、生きたキャラクターに なっていったんです。 |
── | そして、イスに座って足を組んでいて、 ワインを持っている、 貴婦人のようなブタフィーヌさん。 |
たかしま | はい。これは、 グループ展に来てくださった方への お礼状として描いたんですよ。 これが、5巻の見世物小屋の 看板になってる絵なんです。 |
── | そうか。 それが、ただ座っているだけで 芸になるっていうふうに 団長が見出したキャラクター、 という物語に、 あとから、結びつくわけですよね。 |
たかしま | はい。 このときに、このブタ子さんに対して ストーリー的なものを、 たぶんいろいろ考えたり、 生まれてこなかったら、 こういう形では出さなかったと思うんですね。 もうちょっと、これに近い、 絵的なものになってたと思うんですけど、 かなりキャラクターとして、 動き始めてたんですよね。 なんとなく、このままにしておくのは もったいなぁ、みたいな、 もうちょっと動かしてあげたいなぁ っていうような気持が大きくなってきて、 じゃあ、どうしようかってことで、 その月、そのグループ展が終わったあとに、 じゃあ、ホームページで4コマを 描いてみようと思ったんです。 マンガなんて描いたことないけど、 でも、4コマまんがみたいな形だったら まぁ、ホームページでやるぐらいだったら できるんじゃないか、っていう、軽い気持ちで。 |
── | そして、あのときに 「アタシ、変わるわ」と 自分で「ブタ子」から 「ブタフィーヌ」に改名した彼女の、 その背景のものがたりが、 5巻で明かされることになりましたが、 「ブタ子さん」を描きはじめたときは その設定はなかったですよね。 ふと、「変わりたい」と思う 乙女ごころを描いたんですよね。 |
たかしま | そうです。 |
── | ダイエットをしたいとか、 乙女の要素をいろいろ順番にやっていく中に 変身願望というか、 いまのわたしはほんとのわたしじゃないのよ っていう気持ちが、あったり、 今日からもう変わるんだっていう決意だったり、 乙女的なものが、ちょっと出た。 あのときは。 |
たかしま | そうですね。 いわゆる4コマまんがみたいなのも、 描いたことないですし、 そういうのではないものにしたい、 って気持ちもあったんですね。 へたしたら1枚でいい、ぐらいな話を 4コマにしてみようと。 |
── | 最初のブタ子さんに入ってた、 「諸行って無常だわ」 みたいなことまで、全部、5巻では なんで、彼女がその言葉を知ってるのか みたいなことまでわかりますよね。 |
たかしま | そうですね。 |
2008-12-19-FRI | |
(つづきます!) |