HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

カッパとウサギの コーヒーさがし

第1回 コーヒーのこと、はじめます。
山下 ああ‥‥もうすでに、
豆のいい香りがしてますね。
福田 ええ、持ってきましたので。
山下 というわけで、
ぼくらふたりはこれから、
コーヒーのコンテンツを始めようというわけです。
コーヒーにまつわる
いろいろなお話やレポートをしてゆきます、と。
福田さん、よろしくお願いします!
福田 はい、コーヒーのコンテンツ。
よろしくお願いします。
山下 そもそも、なぜに、ぼくらふたりが
コーヒーのことをやるかといいますと、
まあ、ふたりとも、
ずーっと好きだったんですよね、コーヒーが。
福田 いや、あの、ぼくの場合は、
もともと好きだったわけじゃなくて‥‥。
山下 ん? そうでしたっけ?
むかしは嫌いだった?
福田 そうなんです、
もともとは好きじゃなかったんです。
むかしからずっと好きな飲み物といえば、
ぼくは「水」です。
山下 水。
福田 水。
山下 ただの、水。
福田 水。
いまも出かけるときは手放せません。
山下 ‥‥頭のお皿が乾くから?
福田 やめてください(笑)。
山下 カッパのお皿が。
福田 そうやなくて(笑)、ほんまに水が好きで。
山下 コーヒーはあまり好きじゃなかった。
福田 にがいから。
で、10年くらい前から、
フリーランスで仕事を始めだして、
仕事がじょじょに忙しくなってきて、
その息抜きに自分でコーヒーを
淹れるのって、かっこいいのかも、と。
山下 ああー、ぼくも長いことフリーだったので、
そうですね、「息抜き」と称しては
日に何度もコーヒーを淹れていましたっけ。
福田 雑誌とかをながめていると、よく、
自分でコーヒーを淹れてる人が載ってますよね。
その雰囲気がいいなあと思って、
まず道具を買うところから始めました。
山下 かたちから入った。
福田 完全に、かたちからですね。
山下 そうかあ‥‥
そう言われると、ぼくもそうかもしれない。
福田 かたちから?
山下 高校生のころに、
お小遣いでサイフォンを買ったりして
「コーヒーって、いいよね」
なあんてやってましたけど、
結局あれは立派に、かたちからですよね。
福田 おとなにあこがれて。
山下 完全にかっこつけです。
にがいのを一生懸命がまんして、
「やっぱりブラックだ」(笑)。
福田 いまは山下さん、ブラックですよね。
山下 そうですね、基本的に。
おいしいブラックはほんとにおいしい。
福田さんは?
福田 ブラックもいいですが、
ミルクが入ってるのも好きです。
山下 はいはい、
それはそれでおいしいですよね。
ミルクや砂糖入りもけっこう飲みます。
福田 あとほら、ぼくらはお酒が飲めないから。
山下 そうそう! そういう理由もありました。
お酒を飲める人がうらやましかった。
「ナイターをみながら飲むビールは最高!」とか、
そういうのを聞くと、なんかくやしくて(笑)。
福田 「露天風呂で、湯船にお盆を浮かべて飲む
 あの、おちょこ一杯がうまいのよ」
っていうのがうらやましいんです。
山下 ‥‥露天風呂で日本酒。
それは、黄桜ですね?
カッパ黄桜。
福田 やめてください(笑)。
山下 まあ、そういうですね、
うらやましい気持ちがあったので、
「じゃあぼくらふたりは、
 いろんなところでコーヒーを飲もうじゃないか」
ということになって、
ある雑誌でそういう連載をはじめたわけです。
福田 『Re:S』という雑誌でした。
今は雑誌からネットに場所を移してますけど、
この雑誌で3年? そのくらいやりましたよね。
山下 いろんなところで飲みました。
大島に向かうちいさな飛行機の中とか。
福田 富士の樹海の洞窟の底とか、
真冬の「海ほたるパーキングエリア」とか、
いろんなところで豆をひいて、
ドリッパーで淹れて。
山下 そのコーヒーの、おいしかったこと!
福田 あれはあれで、続けたいですねー。
山下 やりましょうよ。
このコンテンツの中でいつか再開しましょう。
あの連載のおかげで、
さらにコーヒーへの興味も深まりましたもんね。
福田 はい、それはありました。
山下 しょっちゅう、
コーヒーのことを考えるようになって。
福田 で、あの‥‥
このコンテンツの名前は
「コーヒーさがし」となってますけど、
「さがす」というのは、何をすれば‥‥?
山下 うーん‥‥。
そこからさがす感じですね、もう。
福田 目的からして、さがす。
山下 ほら、何をやればいいのかわからなくて、
とりあえずぼくたち
「喫茶店」を開いたじゃないですか。
福田 はい。
「純喫茶 カッパとウサギ」。

山下 会社のベランダにテーブル出して。
福田 あれ、たのしかったですね。
山下 ほぼ日の乗組員を、お客さんにして。
あれこそ、「何をしたらいいかわからない」
ぼくらの心理のあらわれだったと思います(笑)。
福田 とりあえずやれば、何かになるだろうと(笑)。

山下 とにかく飲んでもらおう、と。
福田 ‥‥あれはみなさん、
よろこんでいただけたんでしょうか?
山下 それはもう! ‥‥たぶん(笑)。
乗組員たちの「コーヒー話」が面白かったので、
あれもときどき小出しにして、掲載しましょうね。
福田 ぜひ、そうしてください。
面白いお話がもったいないです。
山下 じゃあ、まずは、
ぼくと福田さんのコーヒーの淹れ方とか、
道具のお話とか、
そういうことをお話しするところから
のんびり始めてみましょうか。
福田 そんなんでいいんでしょうか。
山下 まずはそこからまいりましょう。
いろいろ考えましたが、
そうやってシンプルに正直に
できることから始めるのがやっぱりいちばんかと。
そしていずれは、レポートやインタビューも。
福田 ですね、やっぱり、
さがしに出かけたいですよね。
山下 そうですね、出かけましょう。
で、ええと‥‥
きょうはふたりでいろいろと
自分の道具を持ってきたわけですが‥‥。

(つづきまーす)

2009-07-31-FRI

   
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