第8回アートという言葉

──
みうらさんはこれまで、
ずっと「エロ肯定派」でこられたのでしょうか。
みうら
いや、そんなことはありません。
むしろずっと逃げてきました。
ぼくはね、最も
隠さなきゃいけないことがありまして、
それはS寄りのNだということです。
写真
──
「S・M」の‥‥N?
みうら
実はS・Mのあいだには
「N」というものがあって、それは
ニュートラルとかノーマルなんて位置です。
「S・N・M」の順番ですね。
学生時代、彼女といっしょに部屋にいるとき、
押し入れにごっそり隠していたS寄りのものが
ふとんといっしょに
飛び出してしまったことがありました。
単なるSM雑誌だったのですが、その瞬間、
「友だちが置いていきよった」
と、必死で彼女に弁解している自分がいました。
その態度はいったいなんなんだろう。
もし、ぼくが本格のSやMなら
堂々としていられたと思うんです。
この悩みはS寄りなN。
どちらかというと「ドN」だったからでは
ないでしょうか。
──
悪いことじゃないのに
弁解してしまう‥‥。
みうら
でも、あるとき開き直ったのです。
ドNにはドNのやり方がある。
1冊2冊じゃ後ろメタファーが出る。
「膨大な量」さえあれば
人は人を責めない。
責めるどころか、驚くんじゃないかと。
──
わははは。
みうら
それは、この仕事をやっていて気づいたことでもあります。
「いやげ物」もそうでしたが、
人は「ものすごくある状態」だと、
ひとつのことを責め立てず、ただ
「ウワァーッ」と言うんです。
しかし、そこまで行くには
膨大な量と、膨大な努力が必要です。
──
お金もかかります。
みうら
そうですね。
あとは、展示方法も重要です。
家の蔵の陰からエロが出てきたら
単なるエロジジイとなりますが、
それが現代美術館に置いてあった場合、
人はアートだと誤解しますね。
アートってね、ものすごい
誤解の言葉でもあるのです。
──
アートかエロか‥‥、微妙な線引きですね。
みうら
このエロスクラップのことも、たまに
「あれはアートなんじゃないか」
と、おっしゃってくださる方もいます。
ぼくは、心のなかで
しめしめと思っています。
でも、ここで言うのもなんですが‥‥
ここで言ったら「なーんだ」と
思われてしまいますがね。
写真
──
はい。
みうら
これだけ、言っておきます。
これは決してアートじゃないです。
ただ、何がアートかというと、
量がアートなだけです。
それでは本日の動画をおたのしみください。
ポイント
本日の「エロ編」動画ポイント

□S・N・Mのうち、自分がどこにいるのかを
 自覚しておきましょう。

□隠しておきたいものは、
 膨大な量で見せればさほど気にされない、
 という状況にすることができます。

□エロスクラップをはじめようと思った方は
 まず100冊、やってみましょう。

□アートとエロには境があります。
 まず、自分でどちらかを決めておきましょう。

□エロの周期は臭気です。
 エロスクラップは、自然と一体です。

2015-01-28-WED

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