おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson963
読者の声 - 命を守る言葉

おなじ日本に住んでいるのにまるで
「時差」があるかのように話が通じにくい。

コロナ流行以来そう感じることがある。
これを書いている4月初旬、

2週間前から今この状況が読めて警戒していた人、
今この感染者数になって初めて危機感を持って
気をつけ始めた人、
今この状況になっても宴会をするなど危機感なく
2週間後に後悔するであろう人、

少なくとも3層、
時差かというほど認識にズレのある人々が、
いまこの瞬間を生きている。

感染急増の東京にいる私の言葉は、
まだ感染者が少ない故郷の家族には、
通じにくい。

ニューヨークにいる人から見れば、
東京にいる私の危機感はまだまだ甘く、
遅れた時間を生きる人=時差の人に見えるだろう。

そんな折、北海道在住、医師の読者から、
元気の出るおたよりが届いた!

今週は、「命を守る言葉」
に届いた読者のおたより3通を紹介する。

<ダイレクトに心をふるわすもの>

私も「危機感の伝え方」、すごく気になっていました。

私が、ここ最近で、
説得力を感じた方がお二人います。
それは、北海道の鈴木知事と、
ノーベル賞受賞者の山中教授です。

鈴木知事に関しては、最初は私、
新型コロナへの対応を批判的に見ていました。
しかし、後日、

「この結果責任は、知事が負います」

と言った上で前例のない一斉休校に踏み切り、
数日後には緊急事態宣言を出し、

「大事な人の命と健康を守るため、外出を控えてください」

と言われたとき。
私は、この
「責任は知事(である私)がすべて負います」
との言葉、態度に、心を動かされました。
知事の覚悟が、テレビ画面から迫ってきたからです。
それまでの会見の冷静な口調と違い、
ところどころ言葉につまりながら、
でも心からの緊張感、気合が伝わってきました。
それをきっかけに北海道民は、
かなりの人が「知事がそこまで言うなら」
と外出を自粛したように思います。

もう一方の山中教授は、
4月4日のNHKスペシャルに出ておられました。
山中教授のホームページ開設などを拝見していて、
さらにテレビ出演で、
私は、(さすがにノーベル賞をとられた
山中教授といえども、
感染症のことにコメントをするのは、
専門外でやりすぎでは?)と、
とっても偉そうですが、感じていました。

しかし、出演の冒頭で、とても丁寧に、

・最前線の専門の医療職への感謝と敬意

・自分の背景
(世界中に友人がいて、幅広い情報をお持ちである)

・今日の立ち位置
(あくまでも素人寄りの視点で、質問をしたい)

ということを述べられ、私は、
しこりのようなものがふっと消えた気がしました。
加えて、山中教授ご本人は、
門外漢が口を出していることは重々承知の上で、
専門家と一般人をつなぐために、
自分が炎上する覚悟を決めて話されている。
そのことが伝わってきました。

想い出すのは、以前、このコラムで紹介された、
「駅員さんのお話」です。
ホームが人であふれて危険になったときに、
アナウンスをしてくださった方のお話がありましたよね?
私はあれと同じ感覚を、このお二人の言葉に感じました。
そこにあるのは、

「何とか助けたい」
「そのためには、自分がこのことをするしかない」

その覚悟は、言葉の内容よりも、
何か、空気の震えのようなもので、
心にダイレクトに届く気がします。

(Y.Y)

ズーニーです。
おたよりを読んで、すごく元気が出た。

文中の「駅員さんのお話」とあるのは、
「Lesson256 声に宿るもの」

中央線の信号トラブルで、
駅には人があふれかえりパニックに。
あわやホームから人が落下か、というその時、

まだ若い駅員さんが、
おそらく「全ての電車を止めます」という意味の、
専門用語を、はっきり、大きな声で言った。

不思議なことに、
専門用語の意味がわかるはずのない人々が、
その声を聴いて落ち着いたのだ。

Y.Yさんのおたよりにある、

「何とか助けたい」
「そのためには、自分がこのことをするしかない」
その覚悟は、言葉の内容よりも、
何か、空気の震えのようなもので、
心にダイレクトに届く気がします。

この、「人の心にダイレクトに届くもの」、
私も信じて伝えて行こう、と心底チカラが湧いた。

<解釈と判断と行動と>

知人が定期的に行っている集まりに、
時々参加しています。
この状況で電車に乗って行くのは気がひけますし、
あくまで自由参加なので行く義務もありません。

でも知人は、病で先がない中、
命がある限りはこの場に座ると決めて続けています。

会える時に会っておかなければ、
いずれ二度と会えなくなると考えると、
やはり参加したい。

万が一感染させたら取り返しがつかないことになりますし、
そうなったらと思うとためらいますが、

本人もそれを引き受けた上でそこにいます。

色々この騒ぎで行政から要請が行われています。
要請は相手にゆだねることですが、それが

「解釈をゆだねるのか、行動をゆだねるのか」

中でも難しいのは、

「判断をゆだねられる」

時です。
判断するためには、充分な情報が必要ですし、
勇気もいります。
不安にかられると正常な判断力も鈍ります。

(たまふろ)

解釈と行動と判断と。

あいまいな伝え方だったら、
人によって「解釈」がブレて人は無用に
混乱する。

専門家がきちんと、
例えば、東京から地方への帰省なら帰省で、
「帰省はひかえて、理由はこう。」
と「判断」し、その上で、
罰則はないので各自責任ある「行動」を、
とゆだねれば、受け手は無用に混乱することはない。
さらに、

「判断できない人に、判断をゆだねてないか?」

そこが肝心だ、と気づかされた。

もう1通紹介してきょうは終わろう。

迷いながら、揺れながら、
それでも伝えようと一歩踏み出す読者に共鳴。
私も頑張ろう!

<それでも>

教員をしています。

多様な価値観が認められる現代で、
教室で多くの生徒に発することばについて
考える日々です。

また、個々の生徒と話した内容も、発信される時代です。

思うように伝えられず、
生徒や保護者に攻撃的に責められた経験があります。
公教育の場は、責任も問われます。

責任を求め非難する人は、
想像を越えるほど、攻撃的な態度を取ります。

確かに、責任は負えない。

確かに、責任は求められて当然である。

責任を求めて責める人は、
窮地に立たされているから、
ことばを荒げてもしょうがない。

やはり、しょうがないでしょうか。

そんな気もします。

そうでない気もします。

4/1のコラムを読んで、
伝え方の大事さを、改めて感じました。

まだまだ迷いや不安はあります。
それでも、

大切に、伝わるように、伝えたいです。

(もも)

ツイートするFacebookでシェアする


【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
と悩む人も多く、その人たちに、
自分を貫くテーマを発見したり、
相手の心に響くように伝えるコミュニケーション力を
つけたりできる場を提供したい。」
という志に共感しました。
2時間×12コマで、
文章表現の本格的な基礎づくりから始まって、
相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
さらに、自分にしか書けない主題を発見して書く!
までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

………………………………………………………………………

「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.com までメールでお送りくださいね。
★仕事のご依頼はここに送らないでください。
山田ズーニーtwitter( @zoonieyamada )へお願いします。
または山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をおたずねください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



関連コンテンツ

今日のおすすめコンテンツ

「ほぼ日刊イトイ新聞」をフォローする