怪・その38
「白くて暗い店内」
関西地方へ旅行した時のことです。
メイクに使う家電製品を忘れたため、
やむなく現地調達をすることになり、
滞在先のホテルからほど近い
家電量販店へ行きました。
店内に入り、目当てのものは1Fにありましたので
他のフロアへの移動はせずに済みましたが、
店内に入った時からすごく違和感がありました。
なんだか店内が白いんです。
照明の明るさではなく、
ただ白いというか、靄というか煙っぽいというか。
とにかく視界が明瞭ではありません。
電気屋さんの店内が白くて暗いっておかしいな。
さらに臭い。
何とも言い表しがたい、強いて言うなら
何十倍にも濃くしたタバコの焦げ臭さが
店内にたちこめています。
特に天井、建物の上の部分は
なぜか見たくありませんでした。
決して視線を上にせず、動かさない。
その時はそれが精一杯でした。
幸い1Fで用事は済み、
すぐ買い物は終わりましたので、
そこから早々に立ち去りました。
友達に付き合ってもらっていたから、
というのもありますが
私自身すぐここから離れたかった。
暗い(白い?)し、臭いし、
ザワザワするような音まで聞こえてきて
落ち着きません。
元々、私は家電量販店で
いろいろ物色するのが好きなのに、
こんなことは初めてでした。
後に分かったのは、何十年も前に、
その場所で未曾有の大火災があり、
大勢の犠牲者が出たということでした。
(そこは当時は電気屋さんではありません)。
私は霊感が全くありません。
具体的な物を目にして
怖い思いをすることもありません。
ただ、嫌だなと感じる場所は
視界がぼんやりします。
この場所にまつわる過去の事故を知った時、
ここで体験した事が重なり
妙に納得できたのを覚えています。
(ジャスタウェイ)