その2 「黒ごまスティック」を、とてもくわしく。

なかしましほさんは、
いつもご自身のワークショップで
行っているのとほぼ同じ流れで、
「黒ごまスティック」の作り方を教えてくださいました。


それをできるだけ、そのまま掲載いたします。
一気にお届けしたいので、長い読みものになります。
レシピとしては、常識はずれと言えるかも?
「とてもくわしく」と思ったら、
どんどん長くなったのです。

まずはササッと作ってみたいという方には
簡易版レシピもご用意しました。
こちらからどうぞ。

なかしまさんのレシピブック、
『まいにち食べたい“ごはんのような”
 クッキーとビスケットの本』

をお持ちの方は、
ぜひこれを読んでからもう一度作ってみてくださいね。
きっと新しい発見があると思います。

それではまいりましょう、
基本のクッキー「黒ごまスティック」の、
とてもくわしいレシピ、はじまりです!

はじめに
なかしま まず、オーブンをあたためておきます。
みちこ 170℃でしたよね。
なかしま そうですね、170℃。
モギ (セットする)はい、セットいたしました。
なかしま ありがとうございます。

最初にちょっとだけ
お話をしたいのですが、よろしいでしょうか。
山下 もちろんです、
いつものワークショップのようにお願いします。
なかしま はい。
わたしのクッキーの作り方は、
「手で作る」というのが大きなポイントなんです。
ふつうのバターを使ったクッキーは、
ゴムべらや、泡だて器などを使いますが、
わたしの場合、道具はあまりなくて、
ほとんどを手でつくります。

なぜ手で作るかというと、
上達が早くなるからです。
触ることによって生地の感触を
たしかめることができる。
昨日と今日の生地のちがいとか、
そういうことが手でわかるようになるんです。
ですからぜひ、
わたしのクッキーは
手で作ってほしいなぁと思います。

なかしま それと、
クッキーを作るときは、
とにかくからだの力を抜くのが大事です。
力が入ると、
生地がギュッとかたくなるんですよ。

パンをつくるような場合は
力を入れてこねることで
グルテンを出すんですが、
このクッキーは薄力粉で作っていて
さくさくに仕上げたいので、
なるべく力を入れないようにします。

最初のうちは慣れないと、
どうしてもいっぱい触りたくなるし
力も入るんですね。
そうすると、かたくなったり色が悪くなります。
触れば触るほど、
クッキーの色は悪くなるんです。
山下 お寿司みたいですね。
モギ ほんとだ。
いい職人はネタを触りすぎない。
なかしま そうですね(笑)、
クッキーも、上手な人ほど触らないです。
触れる回数がすくない。
陶芸家さんも、
やっぱり同じようなことをおっしゃってました。
「ちょこちょこ触ってると
 どんどんだめになっていく」って。
みちこ なるほどー。
なかしま なるべくすくない手数で
力を抜いて作ってあげることで、
さくさくのやわらかいクッキーになります。
だからまずは、
とにかく肩の力を抜いてください。
モギ ‥‥おもしろい。
そんなこと、ぜんぜん考えてなかったね。
みちこ なるべく触らないなんて、思いもしなかった。
山下 「力を入れない」と
「触りすぎない」は、二大原則ですね。
材料について
なかしま 材料については、どうしましょう。
ここで読みあげたりしたほうがいいですか?

山下 いや、大丈夫です。
ページになったときに掲載するようにします。


黒ごまスティック【材料】

 薄力粉   80g
 全粒粉   20g
  塩    ひとつまみ
 きび砂糖  20g
 黒いりごま 20g

 菜種油   大さじ2
 豆乳    大さじ1.5〜2(水でもよい)

モギ なかしまさんのレシピはどれも、
材料がシンプルですよね。
なかしま そうですね。
手に入れやすい材料だと思うのですが、
もしかしたら菜種油を
手に入れにくい方がいらっしゃるかもしれません。
みちこ 菜種油。
なかしま もし見つからない方は、
「太白胡麻油」を使ってください。
風味や色がついていない透明の胡麻油。
全国のスーパーマーケットで
ふつうに買えます。
同じようにさくさくに仕上りますよ。
生地作り(材料をまぜる)
なかしま 実はきょう、
粉類、黒ごま、砂糖と塩は、
あらかじめ計量して持ってきたんです。

それを、ボウルに入れますね。

山下 なるほど、そこにもう、ぜんぶ入っている。
なかしま はい。
みなさんがつくる場合は、
薄力粉、全粒粉、塩、きび砂糖、
そして黒ごまを
それぞれ計量しながら
こうしてボウルに入れるわけです。

モギ はい。
なかしま 計りたてのボウルの中の粉は、
ギュッとかたまっています。
かたまったままだと、
材料がなじみにくいので、
まずはこれを手で、よく混ぜてあげます。

お米をとぐようなイメージで、
手をこういうふうに猫の手にして。

みちこ にゃー。
なかしま そうですね(笑)、にゃー、ですね。
猫の手にして、こうやって、
ぐるぐるー、ぐるぐるーっと混ぜます。

モギ やさしく触ってますね。
なかしま 猫の手でやさしく、
ぐるぐるーっと混ぜていると、
かたかった粉が、
ほわっと軽くなるんです。
みちこ ほわっと‥‥。
感覚でわかるんですか。
なかしま わかります、わかるはずです、
ほわっとやわらかくなるのが。

やわらかくなった粉には、
これから入れる油と水が、
スッと入りやすくなるんです。
モギ 受け入れ態勢ができる。
なかしま 軽く、くるくるーっと
混ぜるだけでいいんです。

粉をふるいにかける必要がないのも、
わたしのつくりかたのポイントです。
みちこ ラクですよねー。
山下 ここで混ぜるときからもう、
触りすぎない方がいいんですか?
なかしま この段階ではまだ比較的大丈夫です。
ただ、そうですね、
あまりに混ぜすぎると、
粉自体が熱を持って
グルテンが出やすくなるので、
やっぱりこれも、すみやかに。
山下 すみやかに、ほわっと。
なかしま そう(笑)、すみやかに、ほわっと。
生地作り(油を入れる)
なかしま ほわっとしたら、次に油を入れます。

計量スプーンには
いろいろなタイプがありますけど、
こういう深さがあるスプーンが
わたしは計りやすいと思います。

なかしま これで油を大さじ2杯。
この2杯を、しっかり守ってほしいんです。
きっちり一杯。
油を器に入れてから、計ると確かですね。

モギ ぴっちりと大さじ1杯。
なかしま 計ったら、ボウルに入れます。
粉の真ん中あたりに入れてください。

なかしま スプーンに残っている油。
これも大事な分量の一部なので、
指でしっかりとこそげとって入れます。

山下 ここポイントですよね、太字にします。
スプーンに残った油は、
こそげとって入れる。

なかしま 油は大切なおいしさなので。
大さじ2杯をこうやってしっかり2杯、
入れてあげてください。
みちこ 油は大切に。
なかしま そうしましたら手早く、
この油と粉をなじませていきます。
ここがしっかりできていると、
さくさくになるんですよ。
山下 油と粉がなじむと、さくさくになる。
なかしま さっきみたいに、
お米をとぐように、力を入れずに混ぜますね。
みちこ 猫の手で?
なかしま はい、猫の手で。

みちこ にゃーー。
なかしま そうですね(笑)、にゃーですね、
ぐるぐるーっと全体を大きく混ぜます。

なかしま 油はボウルの、真ん中の底にたまりやすいので、
気をつけて混ぜてあげます。

なかしま こんなふうに指がべたべたになったら、
ひとまず指についたのをとって
ボウルに入れます。

なかしま こういうべたべたは、
さらなるべたべたをどんどん生んでいくので、
とってあげたほうがいいです。

なかしま こうやって混ぜると、「そぼろ」というか、
かたまりができてくるのがわかります?

モギ ありますね、そぼろが。
なかしま 白っぽいところと、
黄色っぽい部分があるのを
よく見ておいてくださいね。
(*太白胡麻油だと黄色くはなりませんが、
  同様にしめったような色になります)
みちこ 黄色いのが油の部分。
なかしま はい、この黄色いそぼろを、
両手でほぐしてあげるようにして
すりまぜていきます。
ここも手早さが必要ですよ。

なかしま 両手ですくって、
やさしく、ほぐすように‥‥

なかしま すりあわせて、下に落とします。
力は入れません。
力をいれてこすると逆に
かたまりがどんどんできてしまいます。

ふわっとすくって‥‥

なかしま やさしく両手で、ほぐす。

なかしま そうすると、
さっき白っぽいところがあった粉が、
全体に黄色っぽくなっているのがわかります?

みちこ うんうん。
モギ 黄色い、黄色い。
なかしま この色が、油が粉に
ちゃんと入った証拠なんです。
山下 なかしまさんは今、
かなり手際よくほぐしましたが、
この両手ですりまぜる時間は
何秒くらいやればいいんでしょう?
なかしま 目安としては10秒くらいですが、
それはあくまでも目安なんです。
大切なのは、粉全体に油を行きわたらせること。
全体が黄色っぽくなるまで、
手早くそぼろをほぐすことが大事です。
山下 手早く、ササッと、全体が黄色くなるまで。
なかしま そうなったら、ここはもうOKです。
次のステップまではこれ以上、触りません。
山下 「触りすぎない」の原則。
なかしま 全体に油がいきわたっていれば、
すこしくらい、
かたまりのつぶが残ってても大丈夫です。
生地作り(水を入れる)
なかしま そうしましたら、ここに水を入れていきます。

みちこ あ、お水でいいんですか。
モギ 本のレシピには、
豆乳と書いてあったのでそうしたんですけど。
なかしま はい、豆乳だと味によりコクが出たり、
よりパリっとしあがりますが、
お水でもぜんぜん大丈夫です、
おいしく焼けますので。
みちこ なるほど、なるほど。
なかしま お水の入れ方ですが、
1箇所に入れずに、かならず、
全体に振り入れるように入れます。
お水って、粉がすぐに
ギュッと吸い込んでしまうんですね。
なので1箇所に入れると、
分量の水では
まとまらなくなってしまうことがあります。
モギ 何も考えずに入れてたかも‥‥。
なかしま では、全体にまぶすように、
水を入れますね。

なかしま きょうは大さじで2だとちょっと多いので、
1.5入れます(入れる)。

そしたらここは、とくに手早く。
すぐ混ぜます。

やはりお米をとぐように‥‥
みちこ にゃー。
なかしま にゃーです(笑)。
猫の手で、ぐるぐるぐるーっと混ぜます。

なかしま するともう、すぐに、
生地がまとまってきます。

なかしま このくらいにまとまったら、もうOK。

なかしま あとはボウルをこう、
生地で軽くこすってお掃除してあげましょう。

なかしま そうすることで、
生地がまたひとつにまとまるので、
おそうじ分もこみで‥‥はい、できあがり。

みちこ え?
なかしま これでもう、いいんです。
生地が完成。
モギ これでいいんですか。
山下 水を入れてから、10数秒?
なかしま ええ。
でもやっぱり時間は目安で、
手早くまとめたら完成ということです。
で、これ以上は触らない。
山下 ぼくが作ったときは、
もーっといじってました。
モギ わたしも、だーいぶいじってた。
なかしま これが、ちょうどいい生地のかたさです。
ちょっと指で押してみてください。
一同 ‥‥はい。

一同 ああーーー。
なかしま やわらかさとしては
自分のほっぺたくらいの
やわらかさを目安にまとめます。
モギ わたしのは、もっとかたかったかも。
豆乳の量がすくなかったのかな?
山下 あの‥‥なかしまさんはさきほど、
「きょうは大さじ2だと多いので1.5入れる」
とおっしゃいましたが‥‥
たしか本のレシピには、
豆乳・大さじ2と書いてありましたよね。
なかしま そうですね、本ではそうしました。
山下 きょうはなぜ、水をすくなくしたのでしょう?
なかしま まず、水の適量は、
その日の天候、湿度、粉の種類で前後します。
冬は乾燥しているから多めに、とか、
梅雨の湿気が多いときはすくなめに、とか。
山下 なるほど。
なかしま それと、
レシピブックの大さじ2という水の量は、
あえてすこし多めに書いている数字なんです。
みちこ へええー、そうなんですか。
なかしま 慣れないときには、
粉に油をすりまぜるところが
うまくいってないケースが多くって、
そこがうまくいってないと
水を多めにしないと生地がまとまらないんですよ。
実際、「生地がまとまらない」
とおっしゃる方は、
すりまぜが足りてない場合が圧倒的に多いです。
で、水を多く入れるので固く焼き上がるという。
山下 つまり、この生地は、
粉にしっかり油が入っているから
適量の水でまとまったんですね。
なかしま そういうことです。

水の量については、
何度か繰り返して作るとわかってくると思います。
手で作っているので、
感触で「あ、これくらい」と。
みちこ 自分のほっぺたくらい。
なかしま そう(笑)。
モギ なるほどー。
手で作ると上達しやすいというのは、
こういうことなんですねぇ。
成形する
なかしま 完成した生地を、今度は伸ばしていきます。

モギ オーブンシートの上で。
山下 オーブンの天板の大きさに合わせて
あらかじめ切っておいたオーブンシートです。
みちこ なかしま先生のクッキーは、
生地を寝かさないんですよね。
なかしま そうなんです。
植物性の油の生地は、すぐに焼かないと、
油が表面にしみだして色や風味が悪くなるんです。
ですから、
食べたいときに生地をつくるのが
ひとつのコツですね。
モギ 寝かさなくていいのも、ラクなのよねー。
なかしま それでは伸ばします。
だいたい4ミリの厚さまで伸ばしていきます。

なかしま 力を入れすぎないように。
ここで力が必要な生地は、
あまりいい生地じゃないんです。

なかしま 伸ばした形は丸になっても、
四角になっても大丈夫なので、
気にしないでスーッと伸ばしてあげます。

なかしま 向きを変えてあげて‥‥。

なかしま きちんと水分と油分が入った生地は、
力を入れなくても、すっと伸びてくれます。

なかしま また向きを変えます。

なかしま なるべくすくない回数、転がして‥‥。
‥‥はい、これくらいでOKです。

モギ うわーーー。
みちこ 感動的!
一同 (拍手!)
なかしま そんな(笑)、伸ばしただけですよ。

山下 あっという間の出来事でした。
モギ わたし、この10倍は転がしてたわ。
みちこ わたしも。
山下 やっぱり、力を入れずになるべく触らない、
なんですね。
なかしま そうですね、
何度もゴロゴロやっていると、
焼き上がりの色が悪くなったり
食感が悪くなるので、
自分がイメージする厚さまで、
なるべくすくない回数で
伸ばしてあげるのがポイントです。
モギ あと、わたしの場合、
はじっこが薄くなって
そこからひび割れてきちゃったんですけど‥‥。
なかしま はじっこだけ薄くなると、
そこだけ焦げてくるので
なるべく均等な厚さにしたいですよね。

めん棒を転がして、
「最後に」ぐっと力を入れると
はじっこが薄くなりやすいんです。
均等に伸ばすコツは、
最初と真ん中にちょっとだけ力を入れて、
あとは力を抜くんです。
もう、途中でめん棒を放すくらいの感じで。
いってらっしゃーい、と。

なかしま そうすると、均等になります。
一同 へえええーーーー。
なかしま あとはこういうカードとかナイフで
線を入れます。
下までぐっと突き刺す感じで。

モギ 太さは自由でいいんですか?
なかしま はい、ここはもう、好みの太さに。
食感が変わりますので、
太いのや細いのを、
いろいろたのしんでいただければ。

なかしま こんな感じですね。
焼く
なかしま これをこのまま天板にのせて、
オーブンで焼きます。

山下 天板は、あたためておくオーブンに
入れておかないんですね
なかしま はい、入れておきません。
ここで生地と一緒に入れます。

なかしま 何段かあるオーブンなら、真ん中の段に。
熱が逃げないよう、すばやく閉めます(閉める)。
モギ 170℃で30分、ですよね。
なかしま そうですね、
きょうは25分で様子を見ましょう。
はじめてのオーブンなので。

なかしま オーブンによってクセがあるんです。
何度か焼いて、
自分のオーブンの
クセをしってほしいですね。
片側だけ焦げるなら
途中で手早く向きを変えるとか、
表面だけ焦げやすいなら
温度を10〜20度下げてみる、とか。
クセを知れば、工夫ができるので。

みちこ 170℃っていうのは、
お菓子を焼く温度としてはわりと低いですよね。
なかしま 低いです。
すこし低めの温度でじっくり焼くことで、
中までしっかり火が通って、
風味がぐんと出てくるんです。

生地が厚かったり薄かったりしても
焼き時間が変わってしまうので、
4mmという厚さも大切ですね。

いずれにしても、
できるだけ同じ感じの生地を作って、
170℃で30分で焼くことからはじめてみて
いろいろ試してみるといいと思います。

焼けるのを待つあいだ

成形された生地は、オーブンの中へ。

それが焼き上がるまでのあいだ、
生徒3名たちは、
なかしま先生に教えていただいたことを思い出しながら、
「黒ごまスティック」の生地を作ってみました。


▲先生が見ているから、ちょっと緊張。


▲みんなで作るのって、ほんとにたのしい。


▲にゃーーー! はとくに元気よく。


▲お父さんの蕎麦打ち体験のようにも見えます。

完成
なかしま 25分、過ぎましたね。
ちょっと、見てみましょう。

モギ どうです?
なかしま いいと思います。
全体が薄いきつね色になっていて。
まだ焼けていないときは、
白っぽくて、指で押すとふわふわ沈むんですよ。

これは大丈夫。
出しますね。

一同 わあーーー!(拍手)
山下 きれいな色だわー。
なかしま ここでポイントです。
かならずこのまま、
天板にのせたまま冷ましてください。

天板の上で冷ますときに、水分が抜けるので。
ここでおろしちゃうと、
水分がすこしこもってさくっとしなくなるんです。
天板にのせて冷ますことも含めて、
焼き時間だと思ってください。
一同 なるほどー。
なかしま 冷ましているあいだに、
洗い物とか済ましてしまうといいですよね。

モギ そうそう!
なかしまさんのクッキー作りは、
洗い物が、ほんとにラクですよね。
バターを使ってないから、ほんとに簡単。
みちこ 道具もすくないし、植物性の油だし。
山下 よし、じゃあぼくはコーヒーを淹れます。

(20分ほど経ちました)
なかしま だいたい、粗熱がとれましたね。
あつあつだと正しい味が出ていないので、
熱がとれてから味見をしてください。
みちこ おいしそう‥‥。

なかしま 割りますね。
ちゃんと水と油が入った生地を焼いていれば、
力を入れずに割れます。
こんなふうに、
指をそえるだけで‥‥。

モギ おおー、ぽろぽろと。
なかしま お皿に並べましょう。

なかしま どうぞ、食べてみてください。
一同 ‥‥‥‥では。

一同 (食べる)‥‥はああーーー。

山下 ‥‥ちがうね。
モギ ‥‥ちがう。
みちこ さっくさくで、ごまと粉の香りが‥‥。
山下 本を見ながら作ったクッキーも
十分おいしいと思ってたけど‥‥。
モギ もっとおいしくなるんだ。
みちこ 奥が深いですねぇ。
山下 なかしまさんのお菓子は、
きょうのこれが基本なんでしょうか?
なかしま クッキーに関しては、
きょうの作業がぜんぶの基本です。

いちばん作りやすくて
味のちがいもわかりやすいので、
何度も作ってほしいです。
そう‥‥繰り返してください。
何度も繰り返すことが大事ですね。
繰り返し作って体感してほしい。
気がついたら、
自然と力を入れずにできるようになりますので。

慣れてきても、
やっぱりその人らしさが出るんです。
同じレシピなのに、ちょっとずつちがってくる。
それがたのしいんだと思います。

▲このあと、生徒たちの生地もオーブンへ。
 ぜんぶで3時間を超えるワークショップになりました。
反省
もう、長くなりついでです。
今回の最後に、
3人の生徒の反省となかしま先生のアドバイスを。
モギ 最初にほめていただきましたが、
先生のに比べて、わたしのはかたい。
どうやら強くこねすぎたようです。
あと、油と水を同時に入れて作りました。
どうせ一緒になるものと思って。
なかしま え?! 油と水を同時に?
それはすごい(笑)。
油と粉は役割がちがうんです。
かならず、順番を守ってください!
みちこ わたしは、油をすりこむところが
ぜんぜん足りなかったです。
ちょいちょいで終わらせちゃいました。
全体に黄色くなるまで、ですね。
なかしま 粉に油が入っていれば熱が伝わります。
そこが不十分だったのが、
ナマ焼けの原因でしたね。
山下 なにしろ焼きが足りなかったです。
きっちり170度で30分焼いたんですが‥‥。
オーブンがいけないのかなぁ。
なかしま 山下さんのおうちのオーブンは、
家庭用としては十分なものです。
途中で何度もオーブンを開けた、
とおっしゃってたので
それが良くなかったのではないかと。
なかしま先生、ありがとうございました!

‥‥が、このコンテンツはまだ終わりません。
もっと「くわしいレシピ」にするために、
今度は「動画」を撮らせていただくことに!

次回、なかしまさんのアトリエにお邪魔して、
引き続き、おいしいおやつのお話をうかがいます。

(つづきまーす)


「黒ごまスティック」簡易版レシピ

【材料】
 薄力粉   80g
 全粒粉   20g
  塩    ひとつまみ
 きび砂糖  20g
 黒いりごま 20g

 菜種油   大さじ2
 豆乳    大さじ1.5〜2(水でもよい)

【準備】
 オーブンは170℃に予熱しておく。
 オーブンシートを天板の大きさに合わせて切っておく。

【作り方】

・ボウルに粉類と塩、黒ごま、砂糖を入れ、
 お米をとぐように手でぐるぐるっと混ぜる。
   ↓
・油を加える。
 スプーンに残った油を指でていねいにこそげとる。
 油に粉をなじませるようにして、
 手でぐるぐるっと混ぜる。
   ↓
・粉と油のかたまりが、そぼろのようにできてきたら、
 両手ですり合わせてかたまりをつぶす。
 ほぼさらさらになればOK。
   ↓
・豆乳を全体に回しかける。
 お米をとぐようにぐるぐるっと混ぜて
 生地をひとつにまとめる。
   ↓
・生地を4mmの厚さにのばし、カードで切れ目を入れ、
 170度のオーブンで30分、
 うっすら焼き色がつくまで焼く。
 焼き上がったら取り出して、天板の上で完全に冷ます。
 切れ目にそって割る。


2012-05-08-TUE

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