「Anche i ricchi piangono.(金持ちたちも泣く)」
このフレーズがイタリア人は好きです。
特にお金持ちではない人たちは。
似たような言い方に
「富は幸福をもたらさない」がありますが、
これらのフレーズは、
自分たちの裕福さを言い訳するために、
お金持ちたち自身が
言い出したものと思われます。
「いや、金があっても幸せとは限らんよ、
わたしたちだって、泣きたくなることはあるさ」
といった感じでしょうか。
イタリアサッカー界のお金持ちたちが、
泣いているかどうか、ぼくは知りませんが、
彼らがお金を使うことを楽しんでいるのは確かです。
イタリアで最も裕福な2チームといえば、
ベルルスコーニ首相のACミランと、
石油業者モラッティのインテルですが、
彼らは次期のカルチョ・メルカートで
記録的な金額を使おうとしています。
特にインテルは、
UEFAチャンピオンズ・リーグが、
まだチャンピオンズ・カップと呼ばれていた
1965年以来、
ヨーロッパで最も権威のある
この大会で優勝していません。
つまりマッシモ・モラッティは、ここ数年、
ものすごい大金を使いながらも、
いくつかの選手権で勝利したに過ぎないのです。
反対に宿敵ベルルスコーニは、
ACミラン会長になってからの20年間に、
世界中のどの会長よりも多くの勝利を手にしています。
マッシモ・モラッティはお金持ち、いや、大富豪ですが、
今回もUEFAチャンピオンズ・リーグで
マンチェスターUに敗退させられて泣いたのち、
(ほらね、お金持ちも泣くんです)
もう泣きたくないと決心しました。
今回は、インテルの副会長で第2番の株主である
マルコ・トロンケッティ・プロヴェーラが
モラッティを助けてくれるでしょう。
トロンケッティ・プロヴェーラは
モラッティの幼なじみであり、
ゴムの大会社ピレッリや、
イタリアで最も重要な電話会社テレコム・イタリアの
社長でもあります。
トロンケッティ・プロヴェーラと
彼の妻で元モデルのアフェフは、
いつもインテルの試合を見守っています。
そして、彼らの心のチームであるインテルが
国際的なレベルで勝利できないのを見ることに、
もう疲れてしまったのでしょう、
いよいよ彼らは決断しました。
次期のカルチョメルカートには、
かつてしたことのないほど
モラッティに協力しようと。
イブラヒモヴィッチを
レアル・マドリードとチェルシーが
欲しがっているという噂には、
まさにトロンケッティ・プロヴェーラ自身が答えました。
テレビや新聞を通して、
彼がこんなことをしたのは初めてです。
彼は公に、こう明言しました。
「私たちの別格選手イブラヒモヴィッチには、
きっちりと値段がついております。
1億ユーロ支払う人が、
彼を買えるでしょう」と。
これはどうみても
全く受け入れがたい言い分です。
サッカー史上、この値段は、
これに近い数字さえ、
出たためしがありません。
|
|
トロンケッティ・プロヴェーラは、
素晴らしく美しい妻の横で
「我が社ピレッリは
インテルのスポンサーでありまして、
私とモラッティのチームであるインテルが、
我が社と同様の
世界的レベルを手に入れることに、
大きな関心を持っております。
我々はインテルを、
バルセローナやマンチェスターU、
チェルシーなどと肩を並べる
最強のチームにしようとしております」
と、付け加えました。
そしてすぐに、
フェルナンド・トーレスの購入が可能かどうか、
インテルがリバプールとコンタクトをとった
という噂が、聞こえて来ました。
トーレスはフォワードセンターの選手で、
昨年夏にはスペイン代表を
EURO2008の優勝に導きました。
トロンケッティ・プロヴェーラと
マッシモ・モラッティのお金があれば、
トーレスのみならず
(リヴァプールが彼を手放した場合ですが)
チェルシーのカルヴァロや
ASローマのデ・ロッシにも
手が届くことでしょう。
そうなれば、
この大金持ちたちは
泣くことをやめるでしょう。
|