かつては夢や幻に彩られていた
イタリアのカルチョ・メルカートですが、
今や「おとぎ話」は、そこにはありません。
ひとつのシャツ、ひとつの街、
ひとりの会長に対する熱い想いは、
過去のものになってしまったのでしょうか。
金や富のために移籍が行われています。
愛は、どこかに行ってしまったのでしょうか。
イタリアのサッカー界は何かが変わりました。
インテルやACミランやユヴェントスに
チャンピオンたちが集まってきた数年前とくらべ、
何かが大きく変わりました。
いまや、イタリア人たちは、
買う立場から売る立場になりつつあります。
去る1月、マンチェスター・シティーが、
カカ移籍のために1億1千万ユーロを
ACミランに提示しましたが、
その時、カカはノーと言いました。
手にACミランの赤黒シャツを持ちながら、
自宅のバルコニーに立ち、
テレビのカメラに向かって、
はっきりとそう言ったのです。
バルコニーの下に集まった
ACミランのティフォーゾたちの前で、
ユニフォームにキスをし、涙ながらに
「このシャツの色を、
ずっと心の中に持ち続けます」と、
彼は言いました。
それは永遠の愛の誓い‥‥に見えました。
しかし、それから半年もたたないうちに、
ドンデン返しが行われたのです。
あの時の涙は、たぶん見せかけで、
マンチェスターCへの移籍を
彼が拒否したのは、
彼の水準に満たないチームだったからなのでしょう。
その証拠に数日前、
数件の魅力的な申し出の中から、
レアル・マドリードの提示を
彼は受け入れました。
それを命令したのは心ではなく、
財布だったのでしょうか。
レアルの提示を受けたカカは
ベルルスコーニを訪れ、
「これは私の人生のチャンスです、
どうぞ行かせて下さい」と
申し出たそうです。
ベルルスコーニは、副首相を‥‥ではなく、
ACミランの副会長をマドリードに送り、
カカを6500万ユーロで譲渡しました。
しかし、この数字は
マンチェスターCの提示額より少ないものです。
しかも、
キャリアの頂点にいる選手を手放すのは、
ACミラン史上初めてのことです。
3年前に、ACミランはシェフチェンコを
チェルシーに譲渡しましたが、
この時の彼は30歳で、
すでに最高の時をすぎており、
キャリアの疲れを背負ってもいました。
それにくらべれば、
カカはまだ27歳です。
5年ごとの欧州議会議員選挙を控えている
首相ベルルスコーニは、
テレビに出演し、カカの譲渡について説明しました。
ACミランの借財を毎年埋め合わせるのに疲れた。
政府の頭として、
国民に犠牲を強いている印象を与えたくない。
そしてACミランという個人的なことのために
国民の犠牲を要求するつもりは無い、
とのことでした。
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ACミランから最良のカカが去り、
宿敵インテルからも、
最良のイブラヒモヴィッチが
去ろうとしています。
ミラノの2つのチームが
良くない状態に置かれています。
ベルルスコーニとは異なり、
自身の買い物を正当化する必要のないはずの
石油業者モラッティ会長もバルセロナに赴いて
イブラヒモヴィッチを譲渡しました。
ちなみに、UEFAチャンピオンズ・リーグの試合ののち、
このスウェーデン人選手はモラッティとケンカになり、
自分をチームから去らせて欲しいと言いました。
さて、イブラヒモヴィッチ譲渡の件は、
彼が不可欠だと思ってはいないのは明らかな
モウリーニョ監督も、合意しており、
インテルは代わりにエトーを要求しています。
エトーについては、
ACミランも興味を示しています。
新監督レオナルドが、彼の構想に
エトーが役立つと考えているのです。
ユーヴェも新監督として
フェラーラと契約しましたが、
これはトップニュースではありません。
本当に話題になっているのは、
裕福なインテルとACミランが
チャンピオン選手たちを売るということに
尽きます。
たぶんこの二人の富豪会長たちも
かつてのような余裕はなく、
サッカーチームという、最高の、
しかしお金のかかる「おもちゃ」に、
疲れてしまったのでしょう。
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