ほぼ日刊イトイ新聞-酒井うららさんと、イタリアについてしゃべろう！

	さっき、ローマはわりと関西ぽくて、ミラノはもっとビジネスっぽいっておっしゃっていましたが、イタリアの、あの長い昼休みはミラノのような経済都市でもあるんですか？
	うん。
	たっぷり？
	お昼ご飯食べてちょっと休んでから、仕事に戻るみたいな。ちゃんと戻ってくる感じですか、ミラノの方は？
	それは戻ってはくるとは思う。
	わたしが留学したときは画材屋さんとかがお昼休みで、夜、開くかなあと思って行ってみたら、やっぱり開いてないとか（笑）。全部休みになっちゃうんです。
	そのまま休んじゃうの？
	昼休み、取ったまま？
	そうなの！
	（笑）そのあたりは、ミラノの方がちゃんとしてるかな。
	イタリアの人って、基本的にはそういう大らかさがあるんですか？
	もうそういうもんだと思ってるの。
	お昼ご飯もちゃんと２時ぐらいまでに買っとかないと買えないんですよ、４時まで。
	買えない。そう。
	４時とか５時まで。もう絶対開かないの。
	だって昔は、デパートがお昼、休んじゃってたのよ。最近は、ミラノのデパートのラ・リナシェンテは昼休み無し、日曜日も営業してますけど。
	そういうところを探さない限り、何もやることないんですよ。その時間は。
	じゃほんとに日本とか見てると不思議でしょうね、何でみんな、こんな、働いてんのよって。
	うん。
	だから、お客様は神様じゃないの。フィフティ・フィフティなの。
	あ、素敵なことですね。
	それでもやっていけるんですね。
	でもやってけないのよ。ＥＵ統合しちゃったら、もうほんとに大変なのよ、みそっかすで、弱くて。ＥＵ加盟で帳尻を合わせちゃったツケが国民に回ってる。
	さらに、イタリアは、南と北の差があると聞いたことがあります。
	そうなのね。北に住んでる人たちに言わせると、ローマから南は違う国っていうぐらい。
	そうなんですか。へえ。
	もう、ぱっと見て顔が違うくらい、違うのね。肌の色、髪の色、顔つき。
	食いしん坊から言うと、南の食事、シチリアとかナポリとかの食べ物は美味しそうだぞって思うな～。
	（笑）。
	おいしいのよ、ほんとに。それはもうしょうがない。
	（笑）。
	食材も豊かだしね。北で美味しいのは、ジェノヴァのあるリグーリア地方、ボローニャのあるエミリア・ロマーニャ‥‥ 中部のトスカーナにウンブリア‥‥ あ、全部だわ。
	え、じゃミラノは？
	ミラノは‥‥美味いものなし。
	（笑）。
	美味いものなし、観るとこなし、って言われて、そんなことないもん、米料理はミラノだもん（笑）、て言ったりするのよね。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」だってあるもん！　って。 ‥‥でもね、フィレンツェみたいに観光の目玉がたっぷりっていうわけじゃないの。
	他の地方がいっぱいいろんなものがありすぎなんですよね、きっとね。
	そう、あり過ぎなの。でもほんとにミラノはね、やられてきたんですよ、通り道だから。フランスがだだだだーって通ってったら何もない、スペインがどどどーってきたらもう何もなくなるみたいな。凱旋門だって、ナポレオンが建てたんだから、ミラノの凱旋門は。パリに向かって。
	ね、かわいそう、ミラノ。
	で、ミラノ、美味いものないんですか？米料理だけ？住んでた人からしても？
	うん、でもやっぱり美味しいものの種類は少ないと思う、ミラノ。バラエティに富んではいない。
	少ないんだ。何が好きでした？
	サフランのリゾットは好きだったな。
	ああ、美味しそうですー。
	それから、オーソブッコっていってね、すね肉を骨ごと、煮込んだやつ。で、骨の髄もいただく。あと、コトレッタ・アッラ・ミラネーゼ。これは薄べったいビーフカツですね。
	いやー、美味しそう！
	とか、あることはあるんだけど、でも他のとこに行って、どれから食べていいか分かんない、って迷うほどはないのね。パスタの種類なんかももう、ボローニャなんかに行った日にはもう、ちょっとずつ、ぜんぶください！って、言いたくなるくらい。それでも１日、２日では食べ切れません。
	パスタの種類だけで！
	うん、それからワインだって、ミラノのあたりのワインていうのは聞かないのね、あんまりね。
	そうですね。確かに。
	農家の地ワインでおいしいものはあるかもしれないけど、やっぱりジェノヴァの方まで、ボローニャの近辺まで行かないと、ミラノの地酒っていうのはあんまり聞かないです。
	へえ。そうだったんだ、知らないよね、こういうこと。
	ミラノは、唯一、水田があのあたりに多かったので、米料理が得意ではあるんです。「にがい米」っていう映画があったんだけど、その世界かな。いまはどうかわからないけれどむかしはその水田の仕事で出稼ぎの人たちが来ていたくらい。
	全部がつながりました。何でお米なのかとか、知らなかったです。
	でね、ミラノは、私たちが知ってるような主要都市の中でいっちばん海から遠いの。内陸なのね。だからどちらかというと、畑のもの、山のもの、お肉を生かした料理が得意なのかな。（つづきます）

2008-12-02-TUE

	さっき、ローマはわりと関西ぽくて、ミラノはもっとビジネスっぽいっておっしゃっていましたが、イタリアの、あの長い昼休みはミラノのような経済都市でもあるんですか？
	うん。
	たっぷり？
	お昼ご飯食べてちょっと休んでから、仕事に戻るみたいな。ちゃんと戻ってくる感じですか、ミラノの方は？
	それは戻ってはくるとは思う。
	わたしが留学したときは画材屋さんとかがお昼休みで、夜、開くかなあと思って行ってみたら、やっぱり開いてないとか（笑）。全部休みになっちゃうんです。
	そのまま休んじゃうの？
	昼休み、取ったまま？
	そうなの！
	（笑）そのあたりは、ミラノの方がちゃんとしてるかな。
	イタリアの人って、基本的にはそういう大らかさがあるんですか？
	もうそういうもんだと思ってるの。
	お昼ご飯もちゃんと２時ぐらいまでに買っとかないと買えないんですよ、４時まで。
	買えない。そう。
	４時とか５時まで。もう絶対開かないの。
	だって昔は、デパートがお昼、休んじゃってたのよ。最近は、ミラノのデパートのラ・リナシェンテは昼休み無し、日曜日も営業してますけど。
	そういうところを探さない限り、何もやることないんですよ。その時間は。
	じゃほんとに日本とか見てると不思議でしょうね、何でみんな、こんな、働いてんのよって。
	うん。
	だから、お客様は神様じゃないの。フィフティ・フィフティなの。
	あ、素敵なことですね。
	それでもやっていけるんですね。
	でもやってけないのよ。ＥＵ統合しちゃったら、もうほんとに大変なのよ、みそっかすで、弱くて。ＥＵ加盟で帳尻を合わせちゃったツケが国民に回ってる。
	さらに、イタリアは、南と北の差があると聞いたことがあります。
	そうなのね。北に住んでる人たちに言わせると、ローマから南は違う国っていうぐらい。
	そうなんですか。へえ。
	もう、ぱっと見て顔が違うくらい、違うのね。肌の色、髪の色、顔つき。
	食いしん坊から言うと、南の食事、シチリアとかナポリとかの食べ物は美味しそうだぞって思うな～。
	（笑）。
	おいしいのよ、ほんとに。それはもうしょうがない。
	（笑）。
	食材も豊かだしね。北で美味しいのは、ジェノヴァのあるリグーリア地方、ボローニャのあるエミリア・ロマーニャ‥‥ 中部のトスカーナにウンブリア‥‥ あ、全部だわ。
	え、じゃミラノは？
	ミラノは‥‥美味いものなし。
	（笑）。
	美味いものなし、観るとこなし、って言われて、そんなことないもん、米料理はミラノだもん（笑）、て言ったりするのよね。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」だってあるもん！　って。 ‥‥でもね、フィレンツェみたいに観光の目玉がたっぷりっていうわけじゃないの。
	他の地方がいっぱいいろんなものがありすぎなんですよね、きっとね。
	そう、あり過ぎなの。でもほんとにミラノはね、やられてきたんですよ、通り道だから。フランスがだだだだーって通ってったら何もない、スペインがどどどーってきたらもう何もなくなるみたいな。凱旋門だって、ナポレオンが建てたんだから、ミラノの凱旋門は。パリに向かって。
	ね、かわいそう、ミラノ。
	で、ミラノ、美味いものないんですか？米料理だけ？住んでた人からしても？
	うん、でもやっぱり美味しいものの種類は少ないと思う、ミラノ。バラエティに富んではいない。
	少ないんだ。何が好きでした？
	サフランのリゾットは好きだったな。
	ああ、美味しそうですー。
	それから、オーソブッコっていってね、すね肉を骨ごと、煮込んだやつ。で、骨の髄もいただく。あと、コトレッタ・アッラ・ミラネーゼ。これは薄べったいビーフカツですね。
	いやー、美味しそう！
	とか、あることはあるんだけど、でも他のとこに行って、どれから食べていいか分かんない、って迷うほどはないのね。パスタの種類なんかももう、ボローニャなんかに行った日にはもう、ちょっとずつ、ぜんぶください！って、言いたくなるくらい。それでも１日、２日では食べ切れません。
	パスタの種類だけで！
	うん、それからワインだって、ミラノのあたりのワインていうのは聞かないのね、あんまりね。
	そうですね。確かに。
	農家の地ワインでおいしいものはあるかもしれないけど、やっぱりジェノヴァの方まで、ボローニャの近辺まで行かないと、ミラノの地酒っていうのはあんまり聞かないです。
	へえ。そうだったんだ、知らないよね、こういうこと。
	ミラノは、唯一、水田があのあたりに多かったので、米料理が得意ではあるんです。「にがい米」っていう映画があったんだけど、その世界かな。いまはどうかわからないけれどむかしはその水田の仕事で出稼ぎの人たちが来ていたくらい。
	全部がつながりました。何でお米なのかとか、知らなかったです。
	でね、ミラノは、私たちが知ってるような主要都市の中でいっちばん海から遠いの。内陸なのね。だからどちらかというと、畑のもの、山のもの、お肉を生かした料理が得意なのかな。（つづきます）