|
原 |
バングラデシュの話にちょっと戻りますけれど。
|
糸井 |
ええ。 |
原 |
国連に、途上国に人材を送り込んでいる
WAFUNIF(ワフニフ)って機関があるんです。
ニューヨークに本部があるだけなんですけど、
これの海外本部を日本につくろうと
はたらきかけているんですよね、いま。 |
糸井 |
じゃ、そこから人材をバングラデシュに? |
原 |
それも、なるべく日本人を送りたい。
騙してでも、といったらヘンですけど。
そうしたら、自分たちの知らない世界で
どんなことが起こっているのか、
知ることができるわけじゃないですか。
|
糸井 |
やっぱり、見せてやりたいんですね。 |
原 |
わたしは、日本人って、
根本的に素直な人たちだと思うんです。
ただ「なにかをやりたい!」っていう
強いモチベーションが、あんまりないんですよ。 |
糸井 |
うん、そうだ。 |
原 |
だから、バングラデシュに送り込まれて
目のまえで
子どもたちが死ぬなんていう場面に遭遇したら‥‥
考え込んでるヒマなんて、ないでしょう? |
糸井 |
まずは、助けないと。 |
原 |
そういう場をつくりたいんです。
だから、ワフニフの海外本部を
日本につくることが、ぜひとも必要なんですよ。
で、そんな話をもちかけていたら、
代表大使になれというんで‥‥それもやってます。 |
糸井 |
そういうところって、
アメリカのおもしろさというか、すごさですよね。
国籍があろうがなかろうが、
原さん個人にたいして、
きちんとドアが開かれてますよね。 |
原 |
アメリカのいいところですね、そのへんは。 |
糸井 |
それにしてもまぁ、
いろんなこと、やってるなぁ。
でも、やみくもに
引き受けてるわけじゃないですよね(笑)。
|
原 |
わたしが改革しようとしている事柄に関係していて、
そのポジションにいたほうが
自分の思うことをはやく実現できそうなものについてだけ、
引き受けることにしています。 |
糸井 |
でも、みんなは、どう思ってるんですか?
原さんの会社の仲間たちは。 |
原 |
デフタパートナーズは、
日本のほかに
アメリカ、イギリス、イスラエル、韓国にあるんです。
で、その各国の最高責任者に
たとえば、ワフニフの本部を
日本につくりたいんだっていうと‥‥。 |
糸井 |
なんだかよくわからない話ですよね、たぶん。
とつぜん、そんなこと言われても(笑)。 |
原 |
うん、なんでそのワフニフだかが
わが社の事業に関係あるのかわからない、はじめは。 |
糸井 |
うん、うん。 |
原 |
たとえば、バングラデシュの事業でも、
アメリカ的な考えかたからしたら、
わたしの「1時間」、わが社の「1億円」を
どの国にどうやって投資したら
もっともリターンが高いか、で判断するんです。 |
糸井 |
貧しいバングラデシュで、やろうなんて言ったら‥‥。 |
原 |
なんで、そんなところを、わざわざ選ぶんだと。
わたしは「バングラデシュだ!」って
言い張ってるんだけれど、
その時点では、みんなはまだ「わからない」。 |
糸井 |
つまり、全員反対。 |
原 |
ええ、考古学のときといっしょです(笑)。 |
糸井 |
で、どうするんですか、そういう場合? |
原 |
頼むからやらせてくれ、と。
失敗したら、わたしが責任を取るから、と。 |
糸井 |
ああ‥‥その環境が、
原さんを強くしたんでしょうね。 |
原 |
ひとり、ユダヤ人の幹部がいるんですが、
この人なんかはね、最後の最後まで「反対」。
理由はひとつで、「儲からないから」だって(笑)。 |
糸井 |
おもしろいなぁ(笑)。 |
原 |
でも、そのユダヤ人の幹部も
今年になったら、
「ジョージ、
これほど儲かるプロジェクトはないよ!」と(笑)。 |
糸井 |
「これ、来るぞー!」って、わかったんですね。 |
原 |
ええ、そうなんでしょう、きっと。
だからいつも、はじめは
なんだかよくわからないけれども‥‥。
しばらくしたら、
なにか事業に関係してくるんだろうなって、
過去の経験から
知ってるんですよね、みんな。 |