映画『海街diary』の、唯一の写真展です。
撮影監督でもある写真家・瀧本幹也さんの撮った
美しいプリントを、大きく、ぜいたくに展示。
会場であるTOBICHI2の裏側って「墓地」なんです。
ブラインド上げると、大きな窓に全面「墓地」。
インタビューの中で
「映画のひとつのテーマは、死」だって
是枝監督もおっしゃってますが
その「墓地」を大胆に「借景」しながらの
ユニークで、雰囲気ある展示となりました。
映画の写真集や原作コミックなど
「海街」の「かけら」を持って帰れるような
お買いものコーナーもありますよ。
また、劇中で使用されていた
ちゃぶ台や扇風機、座布団などの実物も展示。
写真作品もふくめ、すべて「撮影OK」です。
もういちど映画を観たくなるような、
まだ見ていない人は、
そのまま映画館へ行きたくなっちゃうような、
そんな「ちいさな写真展」です。
なお、最終日の3日(月)は
当初「17時クローズ」としておりましたが
ご好評につき、
開場時間を「19時」にまで延長いたしました。
ぜひぜひ、足を運んでくださいね。
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会期 7月29日(水)~8月3日(月)
会場 TOBICHI2
住所 東京都港区南青山4-28-26
時間 11時~19時
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写真展の会期中、となりの「TOBICHI」では
『海街diary』のドキュメンタリー番組
『映画「海街diary」が生まれるまで』(約1時間)を
1日に3回(土日は5回)、上映いたします。
深作欣二監督、伊丹十三監督、宮﨑駿監督など
数々の巨匠の映画のメイキング映像を
撮り続けてきた、テレビマンユニオン副社長の
浦谷年良(としろう)さんが
みずからカメラを回した、約1時間の作品です。
日本映画の専門チャンネル等で
これまでに何度かオン・エアされているだけ。
現時点では、ここでしか見ることができません。
映画をごらんになった方には
とくに「なるほど~」という内容となっていますので
この貴重な機会を、お見逃しなく。
入場は無料、1日3回上映(12時・15時・18時)。
ただ、8月1日(土)と2日(日)の2日間に限り
「12時・13時半・15時・16時半・18時」の
「5回上映」をいたします。
午前11時から、写真展を開催しているTOBICHI2の
「1階の常設ショップ内」で整理券を配ります。
観覧ご希望のかたは
ご希望の回の整理券を、事前に入手してください。
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会期 7月29日(水)~8月3日(月)
会場 TOBICHI
料金 無料
住所 東京都港区南青山4-25-14
時間 12時・15時・18時
(1日3回上映・上映時間は約1時間)
※8月1日(土)2日(日)は
12時・13時半・15時・16時半・18時の5回上映。
※整理券配布場所はTOBICHI2です。
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1975年。深作欣二監督による東映ヤクザ映画
『県警対組織暴力』の撮影現場に密着した、浦谷さん。
そのときの映像は
『日曜スペシャル 菅原文太・男の生き方』という
ドキュメンタリーに結実し、大反響を巻き起こしました。
ときはめぐって、1985年。
10年前のドキュメンタリー番組を覚えていた
伊丹十三さんが
「あの『県警対組織暴力』で菅原文太を撮ったように、
俺の映画でもメイキングを撮ってくれないか」
と浦谷さんに持ちかけました。
これが、映画『タンポポ』のメイキング誕生秘話であり、
同時に、日本における
「メイキングのはじまり」(!)でもあるのです。
ちなみに、赤坂の蕎麦屋で依頼を受けた浦谷さん、
思わず
「われわれ、本編よりおもしろいものを
撮ってしまいがちなんですけど、いいですか?」
と言ってしまったことは、知る人ぞ知るエピソード。
対する伊丹さんも
「もちろん、いいよ。
というか、おもしろくなきゃ、こまるわけよ!」
と、キッパリと。しびれるやりとりです。
また、当時「メイキング」なんて言葉は
まだまだ一般的じゃなかったのに、
伊丹さんは、さらりと「メイキングを‥‥」と
おっしゃったのだとか。
「アル・デンテ」という言葉を
エッセイ集『女たちよ!』で日本中に知らしめた
伊丹さんらしい逸話ですよね。
ともあれ、浦谷さんの撮るメイキングが
圧倒的におもしろい4つの理由を、以下に列挙します。
つまり、浦谷さんは、撮影中の監督の肉声を
ずっと聞いて(録音して)いるのです。
つぶやきみたいなものまでふくめて、すべて。
『海街diary』の撮影現場では、
医師役・堤真一さんの
「こんな役、要らないんじゃない?」という発言が
突然ポーンと飛び込んできました。
その後、堤さんの疑問に是枝監督が答えるシーンが
メイキングのなかに出てきますけど、
ここなどは、
マイクが発言を拾っていたからこそ成立した、
ちょっとドキドキする場面。
ちなみに、メイキングを撮るために
「監督の肉声をぜんぶ聞いている」ような人は
「他にはいないと思う」とのこと。
そして浦谷さんは、このある種「特異な」方法を、
深作欣二監督『県警対組織暴力』のときから
続けているのです。
世のメイキング番組でよく見る、
俳優さんたちが
「この映画はこんなふうに素晴らしいので、
ぜひ観てください」と宣伝する場面。
この、ある意味お決まりの場面は、
浦谷さんのメイキングには、出てきません。
映画の宣伝部のセッティングで
「はい、回してください」という場面では、
けっしてカメラを回さない。
その代わり、他の取材班が回さない場面を、
虎視眈々と狙っている。
深作欣二監督『県警対組織暴力』のときも、
そんな浦谷さんたちの姿を、
主演の菅原文太さんが
いたくおもしろがったそうです。
「こいつら、
いったい、何を撮りに来たんだ?」と。
でも、よく伊丹さんに
「本編よりおもしろいものを‥‥」なんて
おっしゃいましたね?
「ぼくらの撮るメイキングが
本編よりおもしろくなり得る可能性は、
たしかにあるんです。
それは、本編には映ってないけど、
メイキングには映っているものがあるから。
つまり『監督』ですよ。
撮影現場でいちばんおもしろがっているのは、
監督ですよね。
それはもう、まちがいない。
本編にはけっして映らない人の
『あたまのなか』を、苦悩や葛藤も含めて、
メイキングでは描くことができる。
伊丹映画には伊丹さん自身は出てこないけど、
伊丹映画のメイキングでは、
伊丹さんの『あたまのなか』を
たっぷり見せられるんです」(浦谷さん)
なんと明快なメイキング哲学!
上記のような理由から、
浦谷さんの撮る「メイキング」は、
じつに見応えのある「ドキュメンタリー番組」と
なっているのです。
単なる映画の宣伝ツールではなく、
もちろんその役目も果たしながら、
スリルやおどろきや発見があり、予定調和でなく、
何より「おもしろい」。
そして、もういちど映画を観たくなってしまう。
『海街diary』のメイキングも、
そんな出来栄えのドキュメンタリーです。
映画のことを思い出しながら、
どうぞゆっくり、お楽しみください。