忘れないうちに書いておかなくっちゃ。 ほぼ日リニューアル物語

第2回 最初のリニューアル会議
トップページをリニューアルしようよ!
そう叫んでみたものの、
さてどうすればいいのやら?
わからないながらも
ひとりじゃできないことも、ふたりなら。
ふたりじゃだめでも、さんにんくらいなら。
それでもだめなら、4人、5人‥‥。
とにかく、あつまってみたのです。

しかし、いざ、ミーティング! となると
あの人もこの人にも意見を聞いてみなきゃ‥‥
ということになり、
最大で十数名あつまって意見を出し合うことから
はじめることになってしまいました。
創刊当時、糸井重里は
「ほぼ日」のことを一艘の船になぞらえ
社員のことを乗組員と呼んでおりましたが
まさに、その乗組員たちが
「トップページのリニューアル」
という先の見えない霧の中、
航海をはじめたのが
2005年の終わり頃のことでした。

「とにかく、下に長いね」
「過去のコンテンツを探すとき、検索があったら便利よね」
「本のしおりみたいに、よく読むコンテンツに
 印を付けるのとかどう?」
「おお、ほぼ日マイページみたいな?」
「じゃあ、自分の住んでるところの、
 お天気がわかったらいいなぁ」

などと、実現可能かどうかはべつにして
他のサイトとくらべて、ほぼ日に足りないもの、
いまのページをもっと便利にするためのもの、
見やすくするためのものなどについて、
各々が、口々に、意見を出し合ったのです。

そんな勝手な意見を
ひとまず、目に見えるものにしようとできあがった
記念すべき第1回目のデザイン案がこちら。
ラフの日付から察するに製作時期は
年をまたいで、2006年2月ごろ。



うーむ‥‥
ど、どうですかね? このデザイン。

このラフをつくったのは
当時、入社2年目のデザイナーぐっさん。
じつは、大勢であつまって話し合いを
はじめてみてわかったんですけど
「リニューアル」って「ほぼ日」に
長く在籍していればいるほど、
事情やしがらみや歴史や想いがありすぎて
話がややこしくなっちゃうんです。
それで、先入観の少ないぐっさんが、
リニューアルのアートディレクターに
抜擢されたというわけです。

みんなの意見を取り入れたラフを元に
みんなの納得のいくものをつくろうと
ラフを目の前にして、
さらにいろんな意見を出し合います。

「検索機能をつけるには、
 コンテンツのデータ登録する必要があって・・・・」
「そもそもこのマイページってなんだっけ?」
「メニュー紹介文ってどうするの?」
「バナーはいくつ必要なんだっけ?」

具体的なものが目の前にあると
意見はどんどん出しやすくなります。
それこそ、際限がありません。
そして、物事が具体的になればなるほど、
反論も出やすくなります。

「ちょっと構造が複雑じゃない?」
「お天気って、ほんとうに知りたいかなあ?」
「タブでがらっと切り替わるのって
 わかりづらいんじゃな?」
「っていうか、根本的に変わってないかも?」

やいのやいの。わいのわいの。
なんだか、ずいぶんややこしくなってきました。
霧は晴れるどころか、ますます濃くなった気がします。

そして、長い長い会議の終わりに、
一同がぐったりとしているころ、
糸井重里がこう言います。

「調整や追加はいくらでもできるけど、
 根本的なことが決まってないんだよ。
 大切なのは、『ほぼ日』が、
 このリニューアルによって、
 どう変わりたいのか、
 どう見られたいのかということだよ」

‥‥そのとおりです。

デザインのラフを見て、各々が意見を言う。
思えば、これは、
いつでも、だれにでも、できること。
まだできてないことを足したり、
他のサイトを研究してないものを取り入れることも、
じゅうぶん大切なこと。
だけど、それより大切なのは
「どうなりたいか、どう見られたいか」
という根本的な姿勢、コンセプトだ、と。

「リニューアルというのは、
 単純にデザインを変えるということではない」

このまま、好き勝手に意見を言い合っても、
新たな「つぎはぎのページ」ができるだけ。
消耗しきったミーティングでそれを確認した一同は
反省&落ち込みムードに‥‥。

そして、しばらくの沈黙のあと
つぎのミーティングの話も出ないまま、
なんと解散になってしまうのです。

ま、そこからすぐにみんなが
前向きになれないのも無理はないんですけど、
私、ナカバヤシはこのプロジェクトの進行役です。
進行役というのは、進行させるのが仕事なのです。

あわわわ、どうしよう、どうしよう。
そんな心境でおろおろするナカバヤシでした。
みなさーん、リニューアル、
やるんだよねー、ねー、ねー、ねー?

(つづく)




2007-09-19-WED