糸井 |
この門から、公園へと続いてるんですね。 |
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細川 |
そうなんですよ。
閉館日は門も閉まっているんですが。 |
糸井 |
きれいな公園ですね。
そうか、旧細川家ということは、
有栖川宮公園みたいなものですね。 |
細川 |
そうです。はい。
その辺まで
池がありましてね。
あ、この下の神田川のところ、
とても桜がきれいなんですよ。
私は江戸川橋からここまでよく歩いてくるんですけど、
桜の時期はとてもいいんですね。 |
糸井 |
いや、いいですねぇ。
庭園だったときというのは、
ここの家の主だけが見る庭園なわけですよね。 |
細川 |
そうですね。 |
糸井 |
昔の人はそういうのって、
寂しいなと思わなかったんですかね。 |
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細川 |
御家中の方と言うんでしょうかね、
執事の方が6、7人とか
コックさんも3、4人いましたし。 |
糸井 |
村みたいな。 |
細川 |
ええ。お手伝いさんが何人いたかな。
恐らく7、8人いたんじゃないかと、
私が子供の頃は。 |
糸井 |
暮らしがあったんですね。つまり、この中に。 |
細川 |
そうですね。この辺の周りも
全部細川家に関係のある学者さんとか、
それから漆をやってる方とか、
運転手さんとか、そんな方々の住まいが
ずっとありましたので。 |
糸井 |
今想像する、いわゆるお屋敷とは
全然違うスケールということですね。 |
細川 |
そうですね。
これも古い家でしてね。
上に洋館があって、下に和風の館があって。
今洋館のほうは
前川製作所さんが迎賓館のようにしておられて、
半分は「和敬塾」という学生の寮なんです。 |
糸井 |
来る途中に見えました。
和敬塾。
細川邸だったわけですね。
ああ、きれいだなぁ。
こんな公園、知らなかった。
ちょっとあきれてます。 |
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細川 |
静かな公園ですが、
有栖川公園ほどには人が知らないので。 |
糸井 |
手入れもすごいですね。 |
細川 |
大変ですね。
この建物が去年まで開いてたんですけども、
老朽化したので今クローズしてるんですね。
今度、区のほうでも
ちょっと考えて
何かにしたいと言ってますが。 |
糸井 |
今は、じゃ、区の管理に? |
細川 |
文京区の管理になっています。
子供の頃に、実はここに居ましたんです。 |
糸井 |
ここに、ですか? へぇ‥‥。 |
細川 |
はい。上のほうの洋館のほうとこちらと両方、
代わる代わるに行ったり来たりしてまして。 |
糸井 |
庭の広い家の子って感じで。 |
細川 |
ここは孔雀が2、3羽放されてましてね。 |
糸井 |
孔雀って、どう猛なんですよね、意外とね。 |
細川 |
そうですね。こちらから
一周して参っていきましょうか。 |
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糸井 |
どうぞ、どちらでも。
こんなに人の来ない──。 |
細川 |
本当に。
区のほうで、そのうち
レストランだかなんかも考えたい
とかいう話もあるようですが。 |
糸井 |
そういう考えもありますね。 |
細川 |
能舞台なんかの話も
アイデアとしてあるとか聞きましたね。 |
糸井 |
区の管理で、こんなにいい管理ができていて。
庭師の人もけっこう気の利いた人ですよね。
タンポポの残し方とか
じつはけっこうやってますね。
上手い。
好きでやってるんだろうなぁ。 |
細川 |
糸井さんは私よりだいぶお若いですから、
タンポポを食べられた
なんていうことはないでしょう? |
糸井 |
ないです。話は聞いてます。 |
細川 |
私は疎開してるとき
タンポポばかり採りにやらされてたもんですから。
その頃に教えられてたのは、
洋タンポポと和タンポポとありましてね。
食べるには洋タンポポのほうが
柔らかくていいと言うんですね。
私はてっきり和タンポポだと思ってたら、
そうではなくて。 |
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糸井 |
ああ、逆だったんですね。 |
細川 |
ええ、ガクのところが
洋タンポポのほうが
サラダにするにはいいらしいんですね。 |
糸井 |
タンポポ茶とかというのは
たしか今も売ってますね。 |
細川 |
ありますね。タンポポ茶、はい。 |
糸井 |
この庭園をつくったのは、
もう江戸時代ということですか。 |
細川 |
そうですね。恐らく護立の頃に
だいぶ直してるとは思いますけども。
このちょっと横のところに、
有斐学舎という
熊本から出てきた学生さん達の奨学のために、
寮をつくっていたんですね。
100人ぐらいそこにいましたでしょうか。
今はもうそれはここから場所を移して、
志木のほうにあるんですが。 |
糸井 |
それは細川さんのとこの? |
細川 |
はい。祖父が奨学金を出してつくった学生寮で、
いろんな学校の学生さん達が。 |
糸井 |
きれいな公園だぁ‥‥。これもなんか、 |
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細川 |
これも中国のなんか由緒あるものなんだそうです。 |
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糸井 |
でしょうね。 |
細川 |
頭、どうぞお気を付けて。
かえってお散歩に引っ張り回しまして。 |
糸井 |
いやいや、いいものを見ました。
ありがとうございました。 |
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(細川護熙さんとのお話は、これにて終りです。
御愛読いただき、ありがとうございました!) |