細川 |
この間、小学校のときに描いた絵が
出てきたんですよ。
父が本当に成績表まで全部取ってるぐらい
几帳面な人ですから、それが出てきまして。
その小学校のときの絵を見たら
なかなか上手なんですよね。
自分で言うのもどうかと思うけど。
やっぱり子供の頃はみんな誰でも
素直に「絵を描いてみろ」と言われたら
描いてたわけだから、
私は絵を始めるときにそう思いました。 |
糸井 |
大人になったら、そのときとは違いますか。 |
細川 |
ええ、違いますね。
やっぱり照れがあって、なかなかね。 |
|
糸井 |
細川さんでも、それは? |
細川 |
ええ、ありました。
ありましたけども、
今はもうなくなりました。 |
糸井 |
絵のときに一番あったんですか。
何のときに一番ありましたか? |
細川 |
そうですね。
絵も書も同じ程度だったでしょうかね。 |
糸井 |
それはやるしかないんだよと思ったわけですね。 |
細川 |
ええ、そうです。 |
糸井 |
その意味では、
知事をおやりになってるときでも、
何々について知ってるという前提で
罠のように質問とかされてきたときに、
知らないっていうことも
駆け引きとして必要ですよね。
知ってたり、知らなかったり。
そのときには大丈夫だったんですか。 |
細川 |
ええ、わりとそれは。
それは国会のほうでもわりに
そういう質問って多いんですけど、
それはなんとかごまかして答弁してましたけども。 |
糸井 |
そうですか。なんとか。
それは恬(てん)として
恥ずかしくないんですよね。 |
細川 |
そうですね。私はわりにあっさり、
「いや、ちょっと不勉強で
よくわかりません」と、
よく言ってました。 |
|
糸井 |
それが言えるだけで
ものすごく楽になりますよね。 |
細川 |
そうですね。
なんでもかんでも知ってるわけが
ありませんものでね。
でも、やっぱり一番困るのは、
糸井さんなんかもしょっちゅう
おありでしょうけど、電車の中とか駅とかで
いろんな人に捕まって、
あちらはよく知っておられるから
前から知ってるように
いろいろ言われることがありますでしょう。
それで、全然名前が思い浮かばない
ということがしょっちゅうあって。 |
糸井 |
はい、私もです。 |
細川 |
「どうも、どうも」って言うわけですけど、
「どうも、どうも」って
外国語にはない言葉ですからね、
これは便利な言葉ですよね。
そう言いながら誰だったかなというのを
それとなく、ある程度の年配以上の人だったら、
「お子さんはどうしておられますか」とか、
探りを入れる。
|
|
糸井 |
ヒントを探して。 |
細川 |
いい加減なことを言いながらね。 |
糸井 |
とうとうわからないというのもありますしね。
そうか。細川さんの立場だったら、
こちらからさんざん選挙のときに
お世話になった的な人も
まじることがあるわけですよね。きっと。
|
細川 |
そうですね。
「初めまして」とは、絶対言えないですものね。 |
糸井 |
言えないですね。 |
細川 |
初めてじゃないことはわかってるので。 |
糸井 |
それは僕はなくてすんでますね。
知らないって、ぎりぎり言えますね、まだ。
知らないとか、
「申し訳ないですけど、
いつ頃にお会いしましたっけ」
というのでごまかしてますね。 |
|
細川 |
だけど一遍、
「いや、どうもどうも」と言ったら、
その人は熊本の人だったんですけど、
「あなた、ほんなこて、
わしの名前ば知っとるな」
って、こう来たんですよね。
これにはまいりましたね。
「名前ば、言うてみなさい」
とこう言われたから。
これはまいりましたね(笑)。 |
糸井 |
どのシチュエーションで会ったかだけでも
わかれば楽なんですけどね。
でもだんだんと畑仕事やなんだって
言ってるときにはなくてすんだんですね。
「上の人」という言葉をよく使うけれども、
上の人というものに対して知らなすぎるゆえに、
なんかちょっとなめる傾向が、
下の人はあるんですよ(笑)。
あの展覧会からずっと思ってたことですけど、
だいぶ自分も損してきたなということを、
今日もお会いできて、
改めていろんな役割の人が
いるんだなっていうふうに思いました。
とても良かったです。
ありがとうございます。 |
細川 |
こちらこそありがとうございます。 |
糸井 |
(南)伸坊とかが付き合える人なんだから、
きっと楽なんだろうなとは思ってたんですけど。 |
細川 |
南さんと赤瀬川さんと、藤森さんで
ろくろを回しに湯河原へ来られたんですよ。
皆さん、楽しんでなんか面白いものを
いろいろつくられましてね。
今度そのうち機会がありましたら、是非
南さんや赤瀬川さんとご一緒に
お出かけくださいませ。
一昨日の夜だったかな、
ご一緒に食事をしたんですよ。
お三方とご一緒にね。
とても楽しい会でした。 |
糸井 |
いや、僕も友達のことですからあれですけど、
なんだろう、いいんですよね‥‥。 |
|
細川 |
いつでも本当になんの気兼ねもなく。 |
糸井 |
ある意味向上心のない人々っていう(笑)。
こんな人ばっかりになったら楽なんですけどね。
展覧会に人が行きますようにと祈っております。 |
細川 |
ありがとうございます。本当に。 |
糸井 |
僕らが200人でも300人でも
増やすお手伝いができればと思います。
たいへん楽しかったです。
ありがとうございました。 |
細川 |
本当にありがとうございました。
熊本にいらっしゃるときは、
また護光に是非ご連絡をいただいたら
喜ぶと思いますので。 |
|
|
(対談はここで終わりますが、
もう1回、公園を散策しながらの
お話を、おとどけします。
どうぞお楽しみに!) |