飯島 『LIFE』で、
自分でよかったなって思うのは、
ハンバーグの焼き時間を
きっちり書けたことです。
ばなな (たけのこごはんを食べながら)
うん。
糸井 (たけのこごはんを食べながら)
うんうん。
飯島 焼き加減をみるのに、
串をさして、透明な肉汁が出るのを
目安にすることが多いんですが。
ばなな 全国的にそうですよね。
飯島 わたしもそれをやってたんですけど、
その肉汁が出てしまったハンバーグを、
誰が食べるのかってなったときに。
ばなな 穴が開いてるものね(笑)。
飯島 これは、焼き上がるまでの時間を
きっちり計ったら、
みんながおいしいぞ、
ふっくらして、肉汁が無駄に出てない
ハンバーグをみんなに食べてもらえる、って。
肉汁って、出過ぎると、
ソースも薄まるし、
肉自体パサパサになっちゃうので。
糸井 (どんどん食べながら)
うんうん。
飯島 それを、小麦粉をちょっと
玉ねぎに絡めて入れることによって。
ばなな おおー。
飯島 肉汁も程よく出ては中におさまって、
しかも、食感が、入れないより入れたほうが、
少し歯ごたえが出て、よかったんです。
糸井 (たけのこごはんを食べ終えて)
オレのすごさは、
こういうとき、ちゃんと食べてることだな。
聞きながら、相づち打ちながらな。
ばなな ほんとねぇ!
(ちなみに、ばななさんのお茶碗には
 まだたっぷり、たけのこごはんが入っています)
糸井 はははは。
ばなな さすがだ!
いま、ほんとに、すごいなって思った!
糸井 はははは。
ここはやっぱりキャリア(笑)。
ばなな さすがだなぁ。
そんなことですごい尊敬する。
糸井 あんなに真剣に喋ってて、
真剣に聞いてるくせに、
食べてるでしょ。
ばなな うんうん。
糸井 やっぱり、まほちゃんは、まだまだ、
お嬢さんだなと思いました(笑)。
ばなな 45歳にしてお嬢さん‥‥。
飯島 では、次に、
重松清さんや谷川俊太郎さんにも
お出ししたロールキャベツを、
糸井さんとばななさんにも。
糸井 知らないんですよ、ぼくこれ。
ほぼ日 重松さんは
4つもお召し上がりになったんですよ。
ばなな これを、4つ。
シゲマツ、やるなぁ。
あ、呼び捨て(笑)。
糸井 あのあと、ダイエットに走ったんですよ。
これで満足したんじゃない。
ばなな 何かが終わったのかな。
糸井 谷川俊太郎さんが、この間、
飯島さんのホットケーキを食べて、
「ぼくのホットケーキの旅は、終りました」
って言ったんです。
ばなな ‥‥(しみじみ)
よかったですねぇ。
糸井 (ロールキャベツを食べる)
ああー‥‥、ああ!
これは、
‥‥まだ‥‥言えない(笑)!
飯島 最初、ホワイトソースにしようか、
コンソメにしようかとか、
いろいろ考えてたんですけど、
トマトにしました。
ばなな いろいろあるんですね。
ほぼ日 重松さんは、ここにいらしてすぐに、
「ケチャップ味はイヤなんだよね」って
おっしゃったんですよね。
飯島 そうですよね。
わたしがこのソースを温めてるとき、
「重松さんにとってのロールキャベツは」
って訊ねたら、「コンソメです」って。
ばなな ああ、ああ。
飯島 「ケチャップ味はちょっと‥‥。
 コンソメが一番だよ」みたいな感じで!
ほぼ日 「おふくろがコンソメで」みたいな。
飯島 それを聞いたときに、
ここで、固まってしまって。
しまった、トマト味だ!
一同 (笑)
ほぼ日 完全に固まってましたね。
糸井 はははは。
ばなな はははは。
糸井 (どんどん食べながら)
大丈夫だよ、これ。
すっすといっちゃう。
はぁ‥‥。
これはあれですか。
トマトジュースを使ってるんですか?
飯島 これは、カットトマトです。
ばなな 自分では思いつかないですね。
糸井 思いつかないねぇ。
ばなな おいしい。
糸井 まほちゃん、どうしよう。
対談にならないよ。
ばなな もういいから食べよっか(笑)。
糸井 はははは。
ばなな しゃべるのは、やめよう。
糸井 はははは。
ばなな 何しにきた。
糸井 「しゃべるのやめようか」っていうのも、
ひとつの大きな感想だけどね。
ばなな うん。
糸井 昔、掛布が野球中継の解説席にいて、
アナウンサーがいろいろ聞いてきたら、
「ここは、黙って見ましょう」って言ったの。
ばなな ははははは。
それに似た感じかな。
糸井 うん。
ばなな (何口目かのロールキャベツを口に運んで)
うわー、おいしい‥‥。
おいしいですね。
糸井 うーん!
ばなな なんだろう。
糸井 なんだろう。
ばなな なんだろうねと思う。
糸井 ねぇ。
言いたくなるんだけど、
言えないんだよ。
ばなな でも、前に、飯島さんはいっぱい食べてるな、
っていうの、わかります。
自分じゃない味を。
糸井 うんうんうんうん、うん。
ばなな すごい、お店で食べてるな、って。
で、どうしたらそうなるか、
研究してるっていうか。
糸井 そうですよね。
飯島 はい。ロールキャベツも、
けっこう、行列のできる店とか。
ばなな ふふふふ。
飯島 いろいろ行って、
「この行列はこれでいいのか?」とか
「ちょっとここは見習うべきところだ」とか、
それで、自分で調理しながらやってみて、
もうちょっと肉がこうだったらいいな、とか、
そういうので、柔らかくしたり。
糸井 ふーん。
ばなな 撮影とかで、コストが
限られてるときは、どうするんですか?
飯島 それは、自腹です。
ばなな やっぱり。
それは大きいですよね。
糸井 うーん。
飯島 自分で払わないと、実になりません。
実になりすぎてしまいましたけど!
ばなな そのままでいらしてください。
すばらしいことです。


(「しゃべるのやめようか」って、
 どうかしゃべってください‥‥。
 次回に、つづきます!)

2009-05-22-FRI


(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN