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ばなな | ごぶさたしてます。 よろしくおねがいします。 |
糸井 | いえいえこちらこそ、 ありがとうございます。 |
ばなな | 糸井さんと対談したことがないので、 けっこう緊張してるんです。 |
ほぼ日 | ええっ? |
ばなな | ないんですよ。 |
糸井 | この人とは、しょうもない話以外、 したことないんだ。 |
ばなな | いつも、半裸とか短パンとかで。 |
ほぼ日 | ええー? あ、吉本家の海水浴ですね。 |
糸井 | まほちゃん(ばななさんのこと)に 食べ物を褒めさせたら ほんとに超一流だよね。 本気だからね。 |
ばなな | 本気ですよ。 |
糸井 | 淀川長治さんに近いね。 |
ばなな | 食いしん坊界の(笑)? |
糸井 | そうそうそう。 食い物を褒めさせたら。 もうパン粉ひとつだって褒めますよ。 |
ばなな | ええ、褒めますよ。 |
ほぼ日 | その食いしん坊界の淀川長治さんから 飯島さんのことを 伝えていただけたらなぁと思っています。 |
ばなな | おまかせください。 |
糸井 | 食べに来てるよね、 明らかにね。 |
ばなな | はははは。 あ、それで、わたしたちが食べてるところ、 みんな、じーっと見てるんですか。 |
ほぼ日 | いえ、ぼくらもご相伴にあずかります。 |
ばなな | ですよね。よかった! |
糸井 | ここに飯島さんは加わるの? |
ほぼ日 | 料理中は話に加われないんですが、 キッチンから、ときどき、 参加していただきます。 |
飯島 | 料理をすこしずつ出していくので 食べてくださいね。 まずは、こちらです。 |
飯島 | タイで覚えたミャンマーサラダです。 |
ばなな | あ、なんとなく、この ピーナッツっぽいところが。 |
飯島 | ほんとは「ペニーワート」っていう水草で つくるサラダなんですけれど、 芹で代用できるなと思って。 |
ばなな | 糸井さん、どうぞ、お先にどうぞ。 おとり分けしましょうか。 |
糸井 | いやいや! |
ばなな | でも、おとり分けしてみたりして。 (と、やや緊張ぎみに箸をとる) |
糸井 | ミャンマー料理って、 ベトナム料理みたいなもの? |
ほぼ日 | ざっくり言うと、そうです。 |
ばなな | (皿をじっと見てとり分けながら) ‥‥とり分けが上手な人っていますよね。 例えば、ここにこんだけ人数がいたら、 いちどに均等にとり分けちゃう人。 そのともだちにいつも 「おまえのとり分けは汚い」って怒られる。 |
糸井 | ああそう? そんなこと、ないよね。 それでは、いただきます。 あらためて、よろしくお願いします。 |
ばなな | いただきます。 よろしくお願いします。 ‥‥わざとらしすぎますか? |
ほぼ日 | 大丈夫です(笑)! |
ばなな | はははは。 いただきまーす。 |
糸井 | いただきまーす。 |
ほぼ日 | 楽しんで食べてください。 (と、一同、ふたりをじっと見る) |
ばなな | 楽しめない! この、この雰囲気(笑)! みんながズラリ! みたいな。 |
糸井 | オレもちょっとさぁ、うん。 なんか、壇上に乗せられた感じがしますよ。 |
ほぼ日 | 糸井さん、料理の鉄人の審査員とか なさってたじゃないですか。 |
ばなな | ああ、そうだ。 |
糸井 | 出てた。 あれ、いづらくてやめたんだ。 |
ほぼ日 | 人前だったり、緊張して食べると、 味、わからなくなりますか? |
糸井 | ううん。そんなことはないけどね。 (もぐもぐと食べながら) あのね、道場さんがなんで、 あんなに勝ったかっていうのは、 もう、はっきりと秘密があって。 |
ばなな | はぁ。 |
糸井 | それは最後に庶民的な 温かい料理を配るんです。 そこで、全部の印象が 「この人の料理は、おいしかった」 で終わるんです。 |
ばなな | へぇー! |
糸井 | 汁物とか「とり分けます」って言って、 必ず、どんな人でもわかるおいしさのものを とり分けるんです。 と、最後に、 「いやー、やっぱり、おいしい!」となる。 |
ばなな | そうか。 それが作戦だとしたら、 すごいことですよね。 |
糸井 | 道場さんは、わかってると思うよ。 必ずそうだったからね。 |
ばなな | 日本人の心をギュッとつかむ。 |
糸井 | ぼくは田舎の子だから、よくわかるんだけど、 田舎の子でも絶対わかるおいしさ、 普遍的なおいしさって、あるじゃないですか。 |
ばなな | うん。 |
糸井 | それの、ほっかほかの温かいやつを、 とり分けてくるんだもの。 |
ばなな | それがテレビに映ってるんですか。 |
糸井 | 映ってます。 |
ばなな | じゃあやっぱり、すごい作戦ですね。 すごいなぁ。 |
糸井 | それに、例えばフレンチの外国人が 対抗したって、無理だよね。 |
ばなな | うん。 |
糸井 | 「レミーのおいしいレストラン」 って、映画があるでしょう。 |
ばなな | ねずみのやつ。 |
糸井 | うん。 あれが、やっぱり、その辺を、 わかってる人がつくったんだと思うんです。 原題もそうだけれど、 やっぱり、ラタトゥイユなんだよ。 |
ほぼ日 | 南フランスの、野菜のごった煮料理ですね。 |
糸井 | 要するにみんなにわかるおいしさがあるんです。 |
ばなな | なるほど。 (まだ、本題に入っておりませんが、 プロローグのように第1回をお届けしました。 次回につづきます。どうぞお楽しみに!) |
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(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN |